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『戦乱のゼンディカー』のメカニズム
『戦乱のゼンディカー』のメカニズム
Matt Tabak
2015年8月31日
再び、ゼンディカー次元の冒険に出るときが来ました。再び、エルドラージという空前の脅威に立ち向かうときが来ました。そして何より、マジックの新しいカードをチェックし、『戦乱のゼンディカー』で登場する能力について知るときが来ました。
覚醒
ゼンディカーの土地は、自らを守るべく常に重要な役割を果たしています。インスタントやソーサリーの中には覚醒を持つものがあります。これは、土地を目覚めさせて戦いに加えることができる能力です。
覚醒には、数字と、その覚醒コストという2つの部分があります。覚醒を持つ呪文を唱えるときに、選択を行ないます。通常通り、そのマナ・コストを支払って呪文を唱えることもできます。そうした場合、最初に書かれている効果が得られます。例えば、邪魔なクリーチャーやプレインズウォーカーがいて{1}{B}{B}を支払える場合、《破滅の道》を唱えて平穏を取り戻すことができます。
しかし、もしかしたらもっと楽しいことをしたいかもしれません。
この呪文を、その覚醒コストで唱えることを選ぶこともできます。そうした場合、あなたがコントロールしている土地1つもその呪文の対象として選びます。呪文を解決すると、その最初の効果に加えて、対象として選んだ土地は速攻を持つ0/0のエレメンタル・クリーチャーになります。それは土地でもあります。あわせて、その土地に決められた数の+1/+1カウンターを置きます。例えば{5}{B}{B}が使える場合、《破滅の道》をその覚醒コストで唱えることができます。対戦相手のクリーチャーやプレインズウォーカーは黒焦げになり、あなたは新しく輝かしい4/4の土地・クリーチャーを手に入れることになります。その土地はマナ能力を保持しており、必要ならばタップしてマナを出すこともできます。気をつけていただきたいのは、ほとんどの土地は無色であることです。覚醒能力を使ってそれをクリーチャーにしたとしても、色を得ることはありません、
なぜ、土地が単に4/4のエレメンタルになるのではなく、+1/+1カウンターが置かれた0/0になるのだろうとお思いの方もおられるでしょう。良い質問です!理由のひとつは、すでにクリーチャーである土地を対象としたいことがありえるということです。2枚目の《破滅の道》を持っているなら、対戦相手の戦力を削ると同時に、最初と同じ土地でも、違う土地でも対象とすることができます。2体の4/4より、1体の8/8土地・クリーチャーがいい場合もあるかもしれません。覚醒にはどちらの選択肢も用意されています。
ただし、注意点がいくつかあります。覚醒コストで呪文を唱えるとき、その呪文が必要とする対象それぞれに適切な対象を選ぶ必要があります。これには、覚醒能力のものも含まれます。つまり、たとえ土地・クリーチャーが欲しいだけでも、対象となるクリーチャーやプレインズウォーカーを選べないならば《破滅の道》を唱えることはできないということです。覚醒を使わずに呪文を唱える場合、覚醒能力のための対象の条件は無視します。
また、覚醒を持っていて通常は対象を必要としない呪文を覚醒コストで唱えることを選んだ場合、その呪文に対象を選ぶ部分を加えることになります。その呪文が解決される前に、対象としている土地が不適正になった場合、その呪文は打ち消されます。もともと対象を必要としない最初の効果を含めて、その呪文からは何の効果も得られません。多く起きることではありませんが、必ず気をつけていただきたいことです。
結集
同盟者が帰ってきました!最初の『ゼンディカー』ブロックで登場した、エルドラージに立ち向かうためにチームワークと積極性(そう、積極性です)を使う集団です。再びともに戦うべく、『戦乱のゼンディカー』で帰ってきました。結集は能力語であり、ルール上の意味を持ちませんが、同盟者があなたのコントロール下で戦場に出たときに誘発する能力を強調するために使われています。
結集能力を使い方はきわめて単純です。デッキに同盟者を詰め込んで、戦場に送り出すのです!同盟者が1体あなたのコントロール下で戦場に出るたびに、あなたのすべての結集能力が誘発します。それらの能力は、好きな順番でスタックに置くことができます。最後にスタックに置かれた能力が最初に解決され、以降も同様です。結集の能力を持つ同盟者が他の同盟者と同時にあなたのコントロール下で戦場に出るなら、同時に戦場に出た他の同盟者1体につき1回ずつ能力が誘発し、この能力を持つ同盟者自体に対しても1回誘発します。
まさに、積極的ですね。
収斂
チーム・ゼンディカーの「デッキを挙げた総力戦」のひとつとして、収斂はゼンディカーの全住人がともに戦っている様子を表現しています。こちらも能力語でありルール上の意味を持ちませんが、収斂はそれを唱えるために何種類の色のマナを使用したかによって効果が変わる呪文を強調しています。
《光輝の炎》を唱えるためには、{2}{R}を支払う必要があります。そのため、1色を使っていることは確定していますが、残る2マナを支払う方法はさまざまです。《光輝の炎》を唱える時に赤マナだけで支払ったとしましょう。そうすると、《光輝の炎》は各クリーチャーに1点のダメージを与えます。しかし3つの異なる色を支払った場合、例えば{B}{R}{G}や{U}{R}{W}ならば、《光輝の炎》は各クリーチャーに3点のダメージを与え焼きつくすことになります。
各呪文に支払えるのは、そのマナ・コストに限られます。すべてに5点のダメージを与えたいと思ったとしても、《光輝の炎》に{W}{U}{B}{R}{G}を支払うことはできません。しかし、追加のコストを支払った場合や代替コストで収斂を持つ呪文を唱えた場合も、実際に支払われたマナを見ます。したがって、何らかの理由で呪文を唱えるためにもう1マナが必要な場合には、《光輝の炎》で4点のダメージを与えることができます。一方で、唱えるためのコストが少なくなる場合にも同じことが言えます。何らかの理由で呪文を唱えるためのコストが1マナ少なくなっている場合には、与えられるダメージは2点までになります。
スタックにある収斂を持つ呪文がコピーされた場合にはご注意ください。それは、単にスタック上に生成されたものです。そのコピーを唱えるためのマナは支払われていないので、それを唱えるために支払われた色の種類は0になります。そのコピーは、おそらく何の効果も発生させないでしょう。
上陸
上陸は最初の『ゼンディカー』ブロックで登場した強力なメカニズムで、今回も戻ってきます。これもまた能力語で、上陸と記されている能力は、土地があなたのコントロール下で戦場に出るたびに誘発します。
上陸は、土地がどういう理由であなたのコントロール下で戦場に出たかに関わらず誘発します。通常の土地のプレイもあります。土地を戦場に出す効果もあるかもしれません。何でもかまいません。土地が1つ出るたびにすべての上陸能力が誘発し、あなたはその順番を選ぶことができます。上陸能力の中には、《オラン=リーフのハイドラ》のように、特定の基本土地タイプを持つ土地が戦場に出た場合にボーナスの効果を得ることができるものもあります。それは《森》という名前のカードだけではありません、「森」というタイプを持つ、基本でない土地も見かけることになるでしょう。それらもすべて、《オラン=リーフのハイドラ》に2個の+1/+1カウンターを置くことになります。
ここまで、この戦いのゼンディカー人の側について多くを見てきました。しかし、エルドラージ側につきたい方もいるかもしれません。そんなあなたは怪物かもしれませんが......そこにも、新しいクールな能力が用意されています。例えば......
嚥下
次元全体を荒廃させるには、多くのエネルギーが必要です。嚥下は、必要な燃料を得られる新しい能力です。ご覧いただきましょう。
嚥下は、きわめて単純な能力です。嚥下を持つクリーチャーがプレイヤーに戦闘ダメージを与えたなら、そのプレイヤーのライブラリーの一番上のカードは追放されます。食べられてしまうのです。嚥下され、飲み込まれてしまうのです。お分かりいただけたでしょう。カードは表向きに追放されます。嚥下は対戦相手のライブラリーを枯渇させますが、エルドラージはそれだけでない何かを考えているかもしれません(または、彼らには何でもお見通しかもしれません)。事実、そうなのです。
昇華者
このセットでは、追放領域にある対戦相手がオーナーであるカードというのは、とても便利なものです。追加のクリーチャー・タイプとして「昇華者」を持つエルドラージを探してみてください。それぞれが、対戦相手がオーナーである追放されたカードを墓地に置く必要がある、何らかの能力を持っています。(追加のコストとしてこの行動が必要となるソーサリーが1枚あり、そのカード名には「昇華者」の単語が入っています。いかがでしょう?)
カードをいつ墓地に置くかのタイミングはカードによって異なり、効果もまたさまざまです。各効果については、それぞれのカードを注意深くお読みください。例として、《荒廃を招くもの》の能力は、これを唱えたときに誘発します。この能力は、《荒廃を招くもの》それ自体の前に解決されます。
あなた自身のカードを「昇華」することはできません。対戦相手がオーナーであるものだけです。多人数戦のゲームでは、2枚以上のカードを扱う場合、異なる対戦相手がオーナーであるカードを選ぶことができます。
《荒廃を招くもの》がエルドラージ・末裔・トークンを生み出すことにお気づきでしょうか?私もです!それについて少し見ていきましょう。
エルドラージ・末裔
『エルドラージ覚醒』セットでは、エルドラージ・落とし子が登場していました。0/1のクリーチャーで、生け贄に捧げるとマナを得ることができます。ちょっとした便利なやつです。ブロックにも使えて、巨大なエルドラージへとマナ加速もできます。ですが、攻撃することはほとんどありませんでした。さて、そこに小さな進化がありました。
エルドラージ・末裔は、エルドラージ・落とし子に非常によく似ています。エルドラージをテーマにした呪文から、さまざまな形で生み出されます。戦場に出たときの誘発型能力であることもあります。「死亡した」ときの誘発型能力にも見られます。ソーサリーにも見られます。どのように生成されたかに関わらず、エルドラージ・末裔はすべて「このクリーチャーを生け贄に捧げる:あなたのマナ・プールに{1}を加える。」の能力を持ちます。これはマナ能力であり、スタックを使わず、対応されることもありません。土地のタップと同じです。そしてさらに重要なのは、エルドラージ・末裔が1/1であることです。さあ、攻撃です!
欠色
エルドラージは、マナの色と関係なく働くことがあります。このセットのエルドラージの中には、欠色と呼ばれる能力を持つものがあります。
欠色を持つカードは無色です。そのマナ・コストに有色マナが含まれていても、です。《連射する暴君》は、赤のカードではなく無色のカードです。欠色はすべての領域で作用します。例えば、あなたのライブラリーから無色のカードを探すように書かれているカードがある場合、《連射する暴君》を見つけることができます。そして《連射する暴君》の能力が表しているように、このセットでは無色であることが非常に有利に働きます。欠色を持つカードには、それが無色であることを示しつつ、実際に唱えるために必要なマナの色もわかる特別な枠が使われています。
無色なのは欠色を持つカードだけではありません。より大型のエルドラージや、エルドラージをテーマとしたインスタントおよびソーサリーの一部は、従来の形で無色です。つまり、唱えるために有色マナを必要としないのです。
「真に無色」であるクリーチャーはアーティファクトではないことをお忘れなく。単に色を持っていないだけです。
以上が、今回のご説明です。ひとつの危険な対立。ふたつの強力な軍勢。多くのクールなプレイが生まれることでしょう。準備はよろしいですか?
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