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折れ、曲げ、砕かれし
折れ、曲げ、砕かれし
Adam Styborski / Tr. Yusuke Yoshikawa
2015年7月2日
私の記憶が確かならば、自分の誕生日に掲載される記事を書き、そこで素晴らしい新カードを紹介できるのは、私にとって初めてのことだ。誕生日は、たいてい静かに友人と食事をとって過ごす。贈り物はちょっと変わったもので、そして今、それは私の手の中にある。
アート:Dan Scott |
今年の誕生日、つまり今日には、私は今週末のグランプリのためにモントリオールへ移動する飛行機の中にいるはずだ。自分への最初の贈り物として、カナダを訪れたときのお決まりにしている「シュルツ・デリ/Schwartz's Deli」で食べ物を買い、喜びの声とともに週末に移っていくことだろう。
今日、君たちには私からもっと良いものをお贈りしよう。『マジック・オリジン』の新カードで、統率者戦で強力な動きを見せそうなものだ。その名は〈意志を砕く者〉、そのパンチは強烈だ。
対象であること
〈意志を砕く者〉はまさに青らしさを感じさせる類のカードだ。《龍王シルムガル》を思い起こさせるが、数ある青のレアの中でもそれを軸としてデッキを組みたくなる雰囲気を感じさせる。君たちが抱えるであろう宿題は楽しく、簡単なものだ。
- 対戦相手の側のものを対象に取ることは多くの場合強力なプレイではあるが、青のほとんどの選択肢は《ブーメラン》以下のものである。
- 《夢への放逐》のようなエンチャントと異なりクリーチャーであるため、それを守るのは難しく、しかし見返りは確かに大きい。
- 5マナで2/3というのは印象的でなく、守りを支えることはできないだろう。そして、それ自体ではクリーチャーを盗むことはできず、何かで支援する必要がある。
これらは、高い壁だが達成しうる条件である。私は《シルムガルの命令》のことを知って以来、青黒の統率者デッキを組みたくて仕方がなかった。そして、使えうる青黒の伝説のクリーチャーをすべて目を通していくと、戦場のクリーチャーを対象とすることができるものが1つ見つかった。《Skeleton Ship》だ。
(※訳者よりお詫び:当初の掲載内容では、《Skeleton Ship》が《幽霊船》と誤って掲載されておりました。以下、お詫びして修正いたします)
今のところ、《Skeleton Ship》は統率者として強力なものではない。5マナで0/3、《島》がなければ戦場で維持することもままならない。しかし、その起動型能力は確かに〈意志を砕く者〉が求めてやまないものだ。戦場で最高のクリーチャーを盗めるなら、邪魔な-1/-1カウンターも気にするものではない。
大きな疑問は、何かを対象とする能力や、他のクリーチャーが対象とされると利益を得られるものを軸として、どのようにデッキを組むか、ということになる。私の答えは、それぞれの要素を加えることだ。
これは創造的でよく磨かれた統率者デッキというわけではなく、通過点にすぎないものだ。しかし、〈意志を砕く者〉という主題とそのための手段が、可能な限り固められている。
- 《卑怯》や《夢への放逐》といったカードは、対戦相手のクリーチャーおw対象とする行為で利益を得る別の道を得られる。《カラストリアの血の長、ドラーナ》、《魂の大鍋》、《難局》、そして《霜のタイタン》まで、《Skeleton Ship》の代わりに繰り返し対象とする手段が含まれている。
- 《殺戮の祭壇》、《狂気の祭壇》、《漸減》、《ファイレクシアの塔》は、必要のないクリーチャーを消費する手段となる。
- 《隷属》や《捕縛》のようなカードで対戦相手のクリーチャーを奪うだけではなく、《押収》や《決断の手綱》といったカードも入れている。
- 対戦相手のクリーチャーを持ってきて使えることから、《邪悪な双子》、《賢いなりすまし》、《大笑いの写し身》、《影武者》のようなカードは、〈意志を砕く者〉が戦場にいなくとも奪ったクリーチャーを使い続ける方法となる。
- 仕掛けを組み上げる時間を得るための防御的なカードも必要だ。《Forcefield》、《危険な櫃》、《新たなるファイレクシアの魂》、《ファルケンラスの貴族》、《蛇術師》、《プロパガンダ》、《リスティックの研究》は対戦相手の危険なプレイから身を守る助けとなる。
- マナ・アーティファクトも少々。《シルムガルの碑》、《威圧のタリスマン》、《ディミーアの導き石》は、マナを伸ばしたり、伸ばしたマナを別の必要なもの、例えばクリーチャーに変える方法となる。
ギャップを埋める
当然ながら、何か新しくエキサイティングなものを軸としてデッキを組むことは、デッキの「オリジン」を刻む最初の一歩である。次に必要なのは、ゲームをプレイすることだ。磨かれておらずまったくテストもしていないデッキなら、すでに時を経て進化してきたデッキをプレイするときと異なり、より広く物事を見ていく必要がある。
欠けているものは何か? これは最大の疑問であり、そして多くの場合、最も解明する価値のあることだ。一目見て、私は多くのクリーチャーに継続的に圧力をかけられることになるだろうと予測する。クリーチャーも多くなく、序盤に出して速攻を和らげるものもない。小型で速いクリーチャーは、ただでさえ遅いこちらのデッキを速度で圧倒してくるだけでなく、盗んだりコピーしたりしても効果的ではない。我々は小兵ではなく大物を求めているのだ。その解答は、ゲーム序盤を支えつつ終盤での利便性も持っている、《呪文滑り》や《大クラゲ》のようなものの中にあることだろう。
掘り進めていくべきものは何か? 私はすでにコントロール奪取とコピーの効果にこだわってきた。最終的には、これでは多すぎるということになるだろう。対戦相手のコピーになるだけでは、手に余るような状況を打開するのは難しくなるだろう。対戦相手がそれに合わせてくるのはもっと簡単だからだ。その解答は、他のテーマを加えることにあるだろう。例として、墓地循環やパーマネントを対戦相手の手札に戻すことがある。他の方向に進むことで、ゲームに意味のある影響を及ぼす機会がより多く得られることになる。
したいことは何か? 数回ゲームをしただけではデッキをよく理解することはできない。一度試しただけで新しい物事を評価してしまう誘惑には抵抗しよう。カードを引く手段が必要なのか、より多くのマナか、より多くのクリーチャーをプレイすることなのか、対戦相手のものへの対策がもっと必要なのか、そうしたことはデッキをプレイした経験によって知ることができる。このデッキにはマナが十分なのか、そうでないのかを判断するのは難しい。カードを引くことのような段階に至っては、本当に必要なのかどうか予測することさえ難しい。先入観にとらわれず、どのようにゲームが進行していったかを正当に評価することは大変なことだが、最良と最悪のシナリオを避け、何が求められているのかの基準線を保つことだ。そのデッキの十分なプレイを経ることで、次の段階への展望はより明確になっていることだろう。
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