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『Duel Decks: Anthology』でデュエルしよう
『Duel Decks: Anthology』でデュエルしよう
Blake Rasmussen / Tr. Tetsuya Yabuki
2014年11月24日
ひとつ告白しましょう――私は何かを解体するのが好きです。
『統率者』のデッキや「対戦キット」、そして『デュエルデッキ』。私はそれらを崩してデッキ・パーツを取り出し、中でもお気に入りのカードを、これまで育て上げてきた統率者戦用のデッキに加えてやります。例えばごく最近の話をするなら、『基本セット2015』 対戦キットを開封して空気に晒すことには、かなり心が痛みました。それでも《クルフィックスの預言者》の美しさには抗えず、私が持つ3つの緑青中心の統率者戦用デッキたちに採用しない理由はありませんでした。
しかし、どうやらそんな私でも決して解体できない製品が登場したようです。
『Duel Decks: Anthology』の発売は12月5日であり、まだその日を迎えていません。ですがここで働く者に与えられる多くの特権のひとつに、発売前の製品を試すことができる、というものがあります。そこで私は、この信じられないほどカッコいいパッケージに入った4組の『デュエルデッキ』を激しい戦いの渦へと投じました。
とはいえ、すべての戦いが見応えのあるものだとお約束はできません。すべての試合をそのまま書き写すわけにはいかないのです(そうしたいのはやまやまですが)。それでも、おそらく皆さんがご存知の者たちとの戦いから、いくつか面白いゲームをお見せできるはずです。
ルールは簡単。私たちは勝敗に関わらず、2ゲームを戦います。各々が好きなデッキを選ぶことはできません(こうでもしないと、皆さんは私がジェイス・デッキを6度にわたって使う様子を眺めることになってしまいますから)。それぞれの使用デッキはランダムに決まるわけです。ただしひとつだけ、当時同じ製品に入っていたデッキ同士が戦うことはありません。つまり『Goblins』対『Elves』の試合は行われないということです。私たちとしては、『Goblins』対『Chandra』や『Elves』対『Liliana』の試合を楽しみにしています。時代を越えた戦いが見たいのです。
さて最初に現れたのは、ショーン/Sean。マジック:ザ・ギャザリング英語版公式Twitterアカウント(@Wizards_Magic)の「中の人」として、ご存知の方がいるかもしれません。ショーンは『Demonic』デッキを携え攻め込んで来ました。私は『Elves』の加護を受け立ち向かいます。
準備万端といった様子のショーンは、開幕から《暗黒の儀式》で不穏な空気を醸し出し、続けて......《薄暮のインプ》? かの《暗黒の儀式》から「ヒッピー」という動きには到底及びませんが、それでもショーンは早い段階で私にプレッシャーをかけたかったのです。
しかしそんな彼にとって不幸なことに、私が負った序盤の傷は《幸運を祈る者》と《ラノワールのエルフ》がすぐさま癒やしてくれました。すると......
あらら、そして......
《待ち伏せ司令官》と《エルフの行列》の力も加わり、私は《幸運を祈る者》で毎ターン18点ものライフを回復しながら少しずつ攻撃を進めていきました。
さあ、一方のショーンは何を仕掛けてくるのでしょう? もちろん、これで終わる彼ではないはずです。きっと、とてつもなく恐ろしいことが彼の『Demonic』デッキから飛び出すに違いない、そうでしょう?
あるいは、より多くのインプを従えて来るかもしれません。
「ミスったなあ」手札の《奈落の君、苦弄》をじっと見つめ、ショーンがつぶやきました。奇しくも、《暗黒の儀式》が1枚あれば、という状態でした。
80点という法外なまでのライフに傷をつけることができず、私の盤面を一掃することも叶わず、ショーンと彼のインプたちは私のエルフ軍団に屈服するのでした。
幸い、ショーンが『Demonic』デッキを使ったからといって『Divine』デッキがへそを曲げる、ということはありませんでした。彼にはもう一度、今度は白の天使デッキを用いて『Garruk』デッキと戦う使命が与えられたのです。それはつまり、ビーストと天使の戦いでした。
天使たちにとって不運だったのは、出足でつまずいてしまったことでした。好き勝手に暴れ回る《アルビノ・トロール》から、聖域を守ることを余儀なくされたのです。最初は《治癒の軟膏》、続けて《来世への旅》――それらは確かにいくらかのライフを守り、エコー・コストの支払いを合わせれば実質的に《Time Walk》的な役割を果たしました。しかし、それがのちに響くことになります。
そう、《アルビノ・トロール》は道中の助けにと《象の導き》をその身にまとったのです。こうして、象に導かれた《アルビノ・トロール》はショーンのライフを......14点に減らしました。そして......
「あああ、《平地》が欲しい」
ショーンはむしろマナ・フラッド気味に見えたので、私は冗談だと思いました。しかし、そうではなかったのです。7枚目の《平地》が置かれたそのとき、彼の戦場で孤軍奮闘していた《セラの天使》に心強い味方が現れました。
突如、私のライフは6点まで落ち込み、私から見た戦場はこのようになりました。
もう私に選択の余地はありません。攻撃する「しかない」のです。しかし、有効打になり得るものはほとんどありません。私は7/7の《アルビノ・トロール》だけで攻撃しました。勝利の目はまだありました。ですが、それが成就するかはショーンの選択によります......
「ブロックなしで」
「ブロックなし?」
「ブロックなし」
「ブロックなしだね!」
2枚の強化呪文があとに続き、私の《アルビノ・トロール》は、《来世への旅》を受け《象の導き》を得ていたそいつは一気にサイズを上げ、14/14にまで達しました――それはショーンを倒すのにちょうどぴったりのサイズだったのです。
この決着は、他のコミュニティ・マネージャーの興味を惹きつけられるほど見事なものでした。「Magic Online」公式Twitterアカウント(@MagicOnline)で知られるアリソン/Alisonが、私たちが大騒ぎしているのを見るなりこの戦いに参加したいと言い出したのです。
1戦目はアリソンが『Garruk』デッキに飛びつき、つい先ほどショーンを打ち倒したビーストたちをデッキに戻しました。それなら私は? もちろん『Jace』デッキです。
《熟考漂い》、《排撃》、《嘘か真か》、《大クラゲ》。いやはや、まさに私のためにデザインされたデッキと言えるほどです。シャッフルを終えると、高笑いが抑えられませんでした。
その後の展開を考えれば、高笑いが出るのも仕方がないことです。そう、こんな初手を引いてしまったのですから。
どうやったら負けるって言うんです?!
ゲームは想定した通りに進みました。《排撃》が《アルビノ・トロール》に刺さり、《ブラストダーム》への対処は《卑下》で。毎ターン、私はカードを引いて「どうぞ」と言うだけで、ターンを渡しました。
「ねえ、一体なにしてるの?」あるターンで、アリソンは小声で尋ねました。
「青いデッキのなすべきことさ」 テーブルにあることを体現しながら、私は答えました。エンド前、《嘘か真か》、君の負け。
私は慎重に盤面を築き上げていきました。こっちには《尖塔のゴーレム》、あっちには「変異」クリーチャー。それまでは。
「《板金鎧の金屑ワーム》」
こいつは厄介でしょう。対処するのは極めて難しい。ところで、おや、そこの「変異」クリーチャーは何かな?
そうそう、そうだった。
「意地悪」アリソンは笑いました。確かに、彼女がそう感じるのも無理はありません。そのとき、私の盤面はこうなっていたのですから。
ええ、この試合は私の勝ちです。ジェイス最高!
残念ながら、2ゲーム目は劇的な展開や面白さにやや欠けてしまいました。アリソンが『Demonic』デッキを使うことになり、一方私は『Liliana』デッキを手にしました。
「なんかイヤな予感がする!」シャッフルを終えるとアリソンが言いました。果たしてその予感は的中し、唯一恐れていたことが起きてしまったのです。彼女は3枚目の土地が引き込めませんでした。ようやく引いた頃には、ネズミの群れに《霊光の追跡者》、その他様々なクリーチャーが彼女を完全に包囲していたのです。
それでもこうして様々なデッキ同士を戦わせて楽しんでいると、マジックのデザイナーであり、ここDailyMTGで「ReConstructed」の記事を執筆している、ガヴィン・ヴァーヘイ/Gavin Verheyが引き寄せられて来ました。ガヴィンもまた構築戦をよく知るプレイヤーのひとりであるため、私にとって厳しい戦いになるのは間違いありません。
1戦目は私が『Chandra』デッキを引き当て、ガヴィンは『Liliana』デッキで勝負に挑みます。面白いことに、私たちは両者とも強化能力を持ったクリーチャーを複数展開するところからゲームを始めました。私の側には《炎族の喧嘩屋》と《焼炉の仔》、そしてガヴィンの側には実に恐ろしい《吸血コウモリ》が2体いました。それらの脅威はガヴィンを勢い付かせます。そう、ちょうどこんな風に。
しかしフタを開けてみれば、『Chandra』デッキ内に《敵愾》が入っていたおかげで、チャンドラの敵愾心は《吸血コウモリ》2体(とガヴィン)よりも強いことが証明されたのです。
無事《敵愾》を残したままアンタップを迎えると、私は火力呪文を何発か撃ち込み、そのダメージはただちに怒れるエレメンタルの「ギャング」団を生み出しました。(私はエレメンタルの群れを「ギャング」と呼んでいます)。燃え上がる「ギャング」たちがガヴィン目がけて殺到し(刮目せよ!)、《吸血コウモリ》たちの悲鳴をリリアナまで届けてやりました。
最後のゲームは、ガヴィンが抽選の結果『Goblins』を従え、私の『Garruk』デッキと対峙しました。昔ながらの緑を表現するガラクとは今や心から通じ合っているため、私は勝機を感じました。そう、狡猾なるミスター・ヴァーヘイが何か策を弄してこなければ。
ゲームは私が快調なスタートを切りました。《ルートワラ》に加えていつでも放てる《激励》を抱え、ガヴィンの小型クリーチャーたちを寄せ付けません。そこへさらに《鋸刃の矢》が続き、応酬は激しさを増します。
「こりゃ負けっこないね」 私は「ウィニー殺し」のアーティファクトを置きながら言い放ちました。
「うん、そうかもしれないな」
それでも、ガヴィンは劣勢ではあるものの諦めてはいませんでした。《ボガートの悪ふざけ》が死したゴブリンたちを1点のダメージに変えていき、すると私はゴブリンを殺し過ぎると危ないことに気づき、恐れるようになりました。ガヴィンが2枚目の《ボガートの悪ふざけ》をプレイすると、その恐怖はさらに広がります。
幸運にも、策は私の方にも舞い込みました。《獣の襲撃》!(私としては、《獣の襲撃》には常に感嘆符を付けてやるべきだと思います。)2体のビーストに《怨恨》も続き、私はガヴィンの仕掛けた多くの悪ふざけを打ち破ったのでした。
これらのデッキで戦わせたい組み合わせはまだまだあるため、自分の分を手に入れても解体できそうにありません。『Jace』対『Goblins』だったら、『Chandra』対『Demonic』だったら、そして『Elves』対『Divine』だったらどうなってしまうのでしょう?!
皆さんもぜひ12月5日にこの製品をお手に取って、実際にプレイしてみてください。
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