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企画記事
市川ユウキのプロツアー『マジック2015』レポート デッキ調整録編
市川ユウキのプロツアー『マジック2015』レポート デッキ調整録編
by 市川ユウキ
0.導入
公式記事では初めての寄稿となります。初めまして、市川ユウキと申します。
私は普段はマジックを「Magic Online」、いわゆる「MO」を中心にプレイしています。
グランプリとか、プロツアーとか、プレミアイベントの時だけ現実世界に「JOIN」してプレイしているというわけです。
MOでのプレイ風景などを定期的にニコニコ生放送でウェブキャスティングしていますので、興味のある方はぜひ見に来てください。コミュニティを「瀬畑」などで検索していただければ出てきます。
と、宣伝も兼ねながら自己紹介を済ませましたので、いよいよ本題のプロツアー 『マジック2015』の調整録と大会レポートを、前後編に分けて綴って行きたいと思います。
1.第一印象
プロツアー開催の約一か月前、新セット『基本セット2015』の全カードリストが発表されました。第一印象をまとめるとこんな感じです。
■白
■青
《霊気渦竜巻》 | 《至高の評決》、打とう。(提案) |
《幻影の天使》 | 信心深くは無いが青単信心に入れたら良いアクセントになるかも? |
《ギルドパクトの体現者、ジェイス》 | 土地が戻せたら《地下世界の人脈》を剥がせたのに!! |
《ジェイスの創意》 | 《好機》との比較、インスタントドローは貴重。 |
《軍事情報》 | 青単信心もクロックを並べてから張りたいので2マナである意味は薄く、《タッサの二叉槍》に軍配が上がりそう。 |
■黒
《リリアナ・ヴェス》 | 黒単信心を強化する1枚!《アスフォデルの灰色商人》を引けば勝つ盤面なども多いのでマイナス効果も有用そう。 |
《血の署名》 | これも黒単信心を強化する1枚。2ターン目の能動的なアクションは意外と貴重。 |
《潰瘍化》 | 黒系のアグロデッキに入る? 《胆汁病》を押しのけて採用する理由を見い出せなさそう。 |
《無駄省き》 | このカードが黒単信心にとって無駄!ってなりそうだけど、試してみよう何事も。 |
■赤
《激情のゴブリン》 | 《火拳の打撃者》との比較。軽いのは良いけれどマナが掛かる点ではマイナス。 |
《ゴブリンの熟練扇動者》 | 出たターンに1点、次のターンに6点! 単体で全体除去を打たせる強さ、弱いわけない! 《かき立てる炎》とも噛み合う。因みに本体は強制アタックじゃないんですよね、賢いゴブリン。 |
《かき立てる炎》 | 赤アグロ、ないしはバーンの押し込みに。無理なくコントロールデッキの《ヴィズコーパの血男爵》や《テューンの大天使》も処理できて素晴らしい。上記の通り《ゴブリンの熟練扇動者》や、《炎樹族の使者》(召集のタネになりながら能力で出たマナも有効に使える)との相性も良いですね。 |
■緑
《召喚の調べ》 | サーチカードはワクワクする!《再利用の賢者》などをデッキから探してこられるのは構築の幅が広がりそう。横に広げて膨大にマナを出す緑信心デッキと相性が良さそう。 |
《起源のハイドラ》 | これも緑信心デッキを強化する1枚。誘発で指定されたパーマネントは唱えているわけでは無く、そのまま場に出るので打ち消しにも強い。 |
《世界を目覚めさせる者、ニッサ》 | 強そうだけれども森を一定数確保しなければいけないから構築が難しそう。一番合っているのはやはり緑信心デッキ? |
■土地
《戦場の鍛冶場》 | 赤白バーンの安定感アップ! 赤単タッチ白アグロや白単タッチ赤アグロなども構築可能に。 |
《コイロスの洞窟》 | こちらも白メインのアグロデッキの安定性を高めそう。黒単信心タッチ白なんかにも? |
《ラノワールの荒原》 | 黒単信心タッチ緑の安定感アップ! 黒単信心が得たもの多いなー......。 |
《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 | な、なんだってー! 《変わり谷》から黒マナを出しながら《夜帷の死霊》とか、各種ダメージランドからのダメージも軽減するナイスガイ。黒単信心トップメタ濃厚......!! |
と、いったところ。ざっくりと総評すると、
- 前環境トップメタなのに黒単信心強化され過ぎ! 黒単信心の最適解を作った人が勝ちそう。
- 緑信心も構築の幅が広く、しっかり作れたらトーナメントレベルになりそう。
- 赤系はバーンもあり得るが《ゴブリンの熟練扇動者》を要したスライも組めるか?
- 白軸アグロもあり得るか? 単純なデッキパワーにやや疑問。
- 青白系コントロール、青単信心は得たものは特に無いが愛好者が多いので一定数居そう。
こんな感じでした。私個人としてはこの環境はずっと青白系コントロールを使用してきたので、これといった強化がされずに少しガッカリ。逆にあまり使用してこなかった黒単信心系が大幅に強化されるなどの状態に不安を覚える初週となりました。
2.調整会と菊名合宿
翌週から本格的に調整会が始まりました。
晴れる屋トーナメントセンターさんの一角を借りて練習したり。
また、関東のプロプレイヤー集団が集まる虎の穴、いわゆる『菊名合宿』に参加したり。
練習により、プロツアーで使用するだろうデッキの候補が浮上してきました。
■やはり強い黒単信心
調整段階から環境の標準として組み上げられた黒単信心デッキ。
会場で一番多いと思われる黒単信心に勝てないデッキは環境の標準以下、それでプロツアーに出るのは得策ではないでしょう。
7 《沼》 4 《ラノワールの荒原》 4 《変わり谷》 4 《草むした墓》 4 《疾病の神殿》 2 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(25)- 4 《群れネズミ》 4 《生命散らしのゾンビ》 4 《冒涜の悪魔》 4 《アスフォデルの灰色商人》 -クリーチャー(16)- |
4 《思考囲い》 4 《突然の衰微》 2 《胆汁病》 1 《ゴルガリの魔除け》 4 《英雄の破滅》 4 《地下世界の人脈》 -呪文(19)- |
メインでの緑成分はわずかに4枚の《突然の衰微》と1枚の《ゴルガリの魔除け》ですが、それらは十分にタッチする価値があります。
《突然の衰微》はアグロデッキに対して有用な除去であるにも関わらず、黒単信心同型対決のキーカードとなる《地下世界の人脈》や、対青白系コントロールで癌となる《拘留の宝球》や《払拭の光》に触れるなどの汎用性が特徴です。
《ゴルガリの魔除け》も《突然の衰微》と似たような理由で採用されています。タッチ緑をすることによって各マッチアップでの無駄カードが少なくなり、不利なマッチアップでの1ゲーム目を落とし辛くなりました。
これらのタッチは『基本セット2015』で新しく加入した《ラノワールの荒原》や、《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》が可能にしています。
"環境の標準"と冒頭で書きましたが、標準にしてはこのデッキは余りにも強く、幾多の新デッキをなぎ倒してしまいました。
新カードが発表されて強化されたと思った緑信心デッキですが、この黒単信心デッキと、後述する青白コントロールに対して相性が悪く、没となりました。流石に前環境の覇者が強化されたら鬼に金棒です。果たしてこれを乗り越えられるのか。
◇《リリアナ・ヴェス》は弱かった、しかし実は隠れた逸材が・・・!
黒単信心系をプレイテストしてみたところ、《リリアナ・ヴェス》が弱いことがわかりました。《リリアナ・ヴェス》を使ってみての感想としては、カードプールが広いこともあって相手の展開してくるカードが全て強く、押される展開や逆に押し込む展開に取って、場に触らないカードはあまり強くないと言うことでした。
同型では[+1]を起動してもすぐに《英雄の破滅》で壊されてしまったり、青白系コントロールには出たらそこそこ仕事をするのですが、5マナかけてやることとしてはそこまで強いアクションでは無かったです。アグロデッキにはまあお察しですね。
しかし恒久的にアドバンテージを取るカードは対コントロールを考えるとサイドに欲しいところです。そんな中で渡辺雄也プロが発見したカードはなんと......
《世界を目覚めさせる者、ニッサ》!!!!
私は、緑がメインカラーのデッキ以外に入るとは全く思っておらず、目から鱗でした。
確かに恒久的に4/4のクリーチャーを生み出す能力は青白コントロールに滅法強く、黒単信心デッキの弱点である《ヴィズコーパの血男爵》を出されてもニッサから生み出されるクリーチャーは無色であるため、意に介しません。
2マナの除去を《肉貪り》では無く《突然の衰微》にしたことによってジャンド・モンスターズなどとの相性もやや悪くなっていたので、そのようなマッチアップでも輝く《世界を目覚めさせる者、ニッサ》はまさに黒単信心が希求していたカードだったのです。
■意外とやれる?青白系コントロール
一方、菊名合宿勢では三原槙仁プロ、津村健志プロが熱心に青白系コントロールを調整していました。
4 《神聖なる泉》 4 《島》 4 《変わり谷》 4 《欺瞞の神殿》 4 《啓蒙の神殿》 4 《静寂の神殿》 3 《コイロスの洞窟》 -土地(27)- 1 《霊異種》 -クリーチャー(1)- |
4 《中略》 3 《今わの際》 1 《究極の価格》 4 《拘留の宝球》 4 《解消》 1 《払拭の光》 4 《思考を築く者、ジェイス》 4 《スフィンクスの啓示》 4 《至高の評決》 3 《太陽の勇者、エルズペス》 -呪文(32)- |
2 《払拭》 4 《ニクス毛の雄羊》 3 《否認》 2 《神討ち》 4 《ヴィズコーパの血男爵》 -サイドボード(15)- |
青白系コントロールのスタートは晴れる屋さんの『スタンダード神決定戦』にて優勝した木原惇希氏の青白タッチ黒コントロールのリストでした。
『基本セット2015』から入ったカードはわずかに《コイロスの洞窟》のみですが、前環境から引き継いでの完成度の高さには目を瞠るものがありました。
一定数は居ると思われた緑信心デッキや、青信心デッキに対しての相性は抜群で、またそのデッキパワーの高さから中途半端なローグデッキは一掃する長所もあります。
合宿が始まった当初から三原プロ、津村プロは青白系で行くことを腹積もりしていて、青白系をずっと使い込んでいた私も経験値の高さからそれに乗っかろうかと考えていたのですが......。
◇辛いサイド後、また黒単信心タッチ緑を前に挫折
私たちの見立てでは黒単信心に続いて2番目に使用者が多いと思われた青白コントロール、もちろん他のプレイヤーも同じようなことを考えているでしょう、課題はサイド後でした。
メインは圧倒的な勝率を誇るのですが、サイド後はそうは行きません。
相手は青白キラーなサイドカードを豊富に用意できますが、青白コントロールはそのカラーリングの特性上、有効なサイドプランをなかなか取り辛いのです。
特に黒単信心タッチ緑への相性は贔屓目に見てもあまり良くなく、メインはごくわずかに有利でしたが、サイド後は圧倒的不利に感じられました。
サイド後に増える《強迫》、どのモードも青白コントロールには脅威になる《ゴルガリの魔除け》、またどれほどのプレイヤーが採用してくるかはわかりませんでしたが、日本製の黒単信心タッチ緑の最終兵器《世界を目覚めさせる者、ニッサ》は出ただけで諦めたくなるような破壊力を持っていたのです。
《否認》や《神討ち》のような限定的な非アクティブカードを入れると対戦相手の手札破壊によって、有用だったら捨てられ、別にハンドにあっても問題が無いのであれば残され、終始対戦相手の有利にゲームを進められてしまいます。
なので、サイドボードは《罪の収集者》などのアクティブなカードで、もっとタップアウトして攻めていった方が良いのではないかという結論で合宿最終日を迎えました。
■ダークホース、《ゴブリンの熟練扇動者》入り赤単アグロ
そんな中、関西から練習のために都内に遠征して来ていた行弘賢プロが構築していた《ゴブリンの熟練扇動者》入り赤単アグロは今まで環境に無かったタイプのデッキで、非常に鮮烈に見えました。
18 《山》 4 《変わり谷》 -土地(22)- 4 《火飲みのサテュロス》 4 《鋳造所通りの住人》 4 《ラクドスの哄笑者》 4 《灰の盲信者》 4 《火拳の打撃者》 4 《ゴブリンの熟練扇動者》 2 《チャンドラのフェニックス》 -クリーチャー(26)- |
4 《ドラゴンのマントル》 4 《稲妻の一撃》 4 《かき立てる炎》 -呪文(12)- |
《ゴブリンの熟練扇動者》はカード単体だけで見ても非常にクロックが早く、また《鋳造所通りの住人》や《火拳の打撃者》とのシナジーもあります。
またその手数の多さから環境のトップメタであるだろう黒単信心系、青白系コントロールに対してメインボードの勝率は圧倒的でした。
◇サイドボードには登場時に環境を激変させた"あのカード"が
サイド後も青白系コントロールの《ニクス毛の雄羊》を苦としない爆発力があり、アグロデッキの鬼門とされている"サイドボード後"も比較的有利に戦えるように思えました。
また最近使われておらず、もうスタンダード落ちしてしまったのではないかと忘れてしまうような《燃え立つ大地》が環境に非常にマッチしていることがわかりました。
黒単信心系は同型や対青白コントロールを考えた時に緑か白をタッチしなければならず、またタッチも各種ダメージランドや、《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》によって無理無くできるため、それは予想されることでした。
そのため黒"単"信心系と表現していますが、基本土地は7~10枚と少なく構成される可能性が高く、《燃え立つ大地》は青白系コントロールと黒単信心系、二つの巨大なメタデッキに対して有効だったのです。
しかしこの手のデッキは黒単信心系のデッキよりさらに私はプレイした経験が少なく、
殆ど隙の無い環境トップメタ、黒単信心タッチ緑
熟練度 ★★☆☆☆
ずっと回し続けた青白系コントロール、しかし勝利のイメージは掴めない
熟練度★★★★★
上記2つに有利な赤単アグロ、しかし一番プレイ経験は少ないアーキタイプ
熟練度★☆☆☆☆
という悩める三択に。
『一番丸い選択なのは黒単信心か、しかしミラーマッチを制する技量や、ローグデッキを前に適切なプランが取れる経験値が足りない、やはり一番慣れている青白コントロールに骨を埋めるか......しかし黒単信心系にサイド後不利なのは自分の中で誤魔化しきれない......!! ここは赤単アグロという選択もあり得る、しかしプレイングスキルの無さからこれを選択するのは勇気がいるなあ、やはり日頃からもっと色んなデッキを触っていれば......ブツブツ......』
などと独り言を言いながら菊名合宿の帰路につきました。
3.朗報?悩める筆者を導く新デッキ!
まだプロツアーで使うデッキを決めかねながら、私は本戦の一週間前に行われたグランプリ・台北に出場していました。
結果は初日8勝1敗からの2日目0勝5(ry
この話はこれ以上やめておきましょう、私はプロツアープレイヤーの中でも珍しい『敗北から学ばない』タイプのプレイヤーなのです!
閑話休題。
2日目にスーパーサンデーシリーズスタンダード部門に出ていたプレイヤーからとあることを小耳に挟みました。
三原プロ「青白コントロールで出たんだけど、ジャンドカラーでプレインズウォーカーを連打してくるデッキと当たってかなりキツかった、《宿命的報復》の2枚目を追加でサイドに取る必要を感じた」
山本賢太郎プロ「黒単信心タッチ緑で本戦にも出ようと思っていたけれど、手ごたえが全く無かった。ジャンドカラーでプレインズウォーカーを連打してくるデッキに対して《突然の衰微》も《胆汁病》も腐りやすく、《英雄の破滅》4枚だけじゃ追いつかない。」
ん......なんだそのデッキは!?
三原プロ「SCGオープンで上位に結構いたみたいだよ。ほら、リスト(タブレットPCで表示しながら)」
こ、これは・・・・!!
4 《血の墓所》 4 《ラノワールの荒原》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《疾病の神殿》 4 《悪意の神殿》 2 《奔放の神殿》 1 《森》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(24)- 4 《森の女人像》 4 《クルフィックスの狩猟者》 -クリーチャー(8)- |
3 《突然の衰微》 3 《ミジウムの迫撃砲》 2 《ゴルガリの魔除け》 1 《戦慄掘り》 3 《英雄の破滅》 3 《骨読み》 2 《ラクドスの復活》 1 《化膿》 3 《歓楽者ゼナゴス》 2 《紅蓮の達人チャンドラ》 2 《見えざる者、ヴラスカ》 1 《リリアナ・ヴェス》 2 《頂点捕食者、ガラク》 -呪文(28)- |
4 《思考囲い》 2 《肉貪り》 1 《ゴルガリの魔除け》 1 《ラクドスの魔除け》 1 《化膿》 2 《殺戮遊戯》 4 《嵐の息吹のドラゴン》 -サイドボード(15)- |
......あ、あんまり強そうに見えない!!
と、リストを初めて見た時は思いましたが、なるほど叩き台としては十分に思えました。『除去と低コストのクリーチャー、それと大量のプレインズウォーカー』という構成は黒単信心、青白コントロールに有利なコンセプトであったためです。
台北から帰国したら月曜日、プロツアー本戦のためのフライトが木曜日ですので、出発まで3日しか無い危機的状況です。
黒単信心タッチ緑の使用を断念した山本プロと協力して、各自Magic Onlineの2人構築、8人構築で試行回数を重ねた後にトーナメントプラクティスで時間を合わせてプレイする日々。『ジャンド・プレインズウォーカーズ対メタデッキ』のテストを重ねました。
4.使用したデッキとそれの解説
こちらのリストが、私がプロツアー本戦で使用したデッキです。
4 《踏み鳴らされる地》 4 《奔放の神殿》 4 《悪意の神殿》 3 《森》 3 《ラノワールの荒原》 2 《変わり谷》 2 《草むした墓》 1 《血の墓所》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(24)- 4 《エルフの神秘家》 4 《森の女人像》 4 《クルフィックスの狩猟者》 -クリーチャー(12)- |
2 《思考囲い》 3 《ミジウムの迫撃砲》 2 《戦慄掘り》 2 《究極の価格》 1 《突然の衰微》 1 《ゴルガリの魔除け》 1 《化膿》 1 《ラクドスの復活》 4 《歓楽者ゼナゴス》 2 《紅蓮の達人チャンドラ》 4 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》 1 《見えざる者、ヴラスカ》 -呪文(24)- |
2 《マグマのしぶき》 2 《思考囲い》 4 《霧裂きのハイドラ》 2 《破滅の刃》 2 《漁る軟泥》 1 《ゴルガリの魔除け》 1 《ミジウムの迫撃砲》 1 《ラクドスの復活》 -サイドボード(15)- |
各パーツの説明をします。
■《世界を目覚めさせる者、ニッサ》が4枚
これが叩き台と比較して一番大きな変更点でしょう。もちろん《頂点捕食者、ガラク》や《リリアナ・ヴェス》も試しました。
《頂点捕食者、ガラク》はやはり7マナというコストが気になりました。重い割に盤面を返すほどでも無いのでコストに見合った働きをしてくれないなあという感想でした。
《リリアナ・ヴェス》は黒単信心の調整の項でも書きましたが、やはり盤面に触れない重たいカードは極力入れたくないなあという同様の感想に。《紅蓮の達人チャンドラ》と組み合わせると《リリアナ・ヴェス》のマイナス能力で持って来たカードをタイムロス無く使える!凄い!→オーバーキル、うん。
黒単信心の調整で《世界を目覚めさせる者、ニッサ》の強さは認識していたので、取りあえず試しに入れてみるかとなるのは自然な流れで。最初は2枚、強いな、もう1枚、このカード常に引きたいな、4枚!というような感じで気付いたら4枚に。
4/4を作って攻撃して、返しに相手のクリーチャーの攻撃で破壊されたとしてもじゃあもう1枚、4/4を作って~と言うようなライフレースが行え、プレインズウォーカー特有の「破壊されるような盤面でキャストしても弱い」という定石が適用されないように思えました。
◇デッキコンセプトを作る圧倒的なカードパワー
「除去を連打して、手札にあるプレインズウォーカーや《ラクドスの復活》をキャストしてアドバンテージ勝負をする。」
という中途半端なデッキコンセプトから一転、
『マナ加速や除去を挟みつつ相対的なゲームスピードに差を付けて《世界を目覚めさせる者、ニッサ》や《歓楽者ゼナゴス》で、時には彼らを使い捨てながらライフレースを差し切る。』
というゲームプランが行え、デッキの根幹を覆すことに。これによって他のカードの選択も決めやすくなりました。
■マナクリーチャーの増量
デッキの核となる《世界を目覚めさせる者、ニッサ》と《歓楽者ゼナゴス》は、出るターンが早ければ早いほど効果的なプレインズウォーカーですので、それらを早く出す構築になるのは必然と言えます。
■各種除去の組み合わせ
散りばめられている除去呪文の数々は
など環境を代表するクリーチャー群に対応できるカードの必要枚数を考え柔軟に取り揃えていった結果です。
具体的にはこんな感じですね。
必要枚数は試行回数を重ねて感覚で決めました。
上のマナ域のカードに行くほど《思考囲い》でも対処できる可能性が上がるので、比較的低マナのカードに対応できる除去呪文の方が多くなっています。
■マナベースの調整
あとはマナベースを少し調整します。
このデッキは《森の女人像》と《クルフィックスの狩猟者》が入っているので、対戦相手の《変わり谷》はそこまで辛くはないのです。が、《歓楽者ゼナゴス》と《世界を目覚めさせる者、ニッサ》で殴りきる構成になったので、それに加勢してくれる《変わり谷》は数枚でも入れたいところです。
また、《世界を目覚めさせる者、ニッサ》と《歓楽者ゼナゴス》を4枚ずつフルで投入したことによって対戦相手のプレインズウォーカーへの耐性が自然と付いたので、《英雄の破滅》を減らせることに気付きました、それによってデッキ内で{B}{B}を要求する呪文が無くなり、黒マナを絞れるように。
デッキ内での1マナの呪文は《エルフの神秘家》と《思考囲い》なので、アンタップインの2色ランドは黒緑系を多めに採用。
《ラノワールの荒原》と《草むした墓》で《ラノワールの荒原》の方が1枚多いのは、序盤のダメージ量ではほぼ同じなのに対し、後半に引いた時のダメージ量では《ラノワールの荒原》に軍配が上がるためです。具体的には《ミジウムの迫撃砲》の超過や、《世界を目覚めさせる者、ニッサ》を出しながら土地を即攻撃に向かわせられる6マナ目の場合です。
この辺りは微々たるものかも知れませんが、シーズン最後のプロツアー、悔いは残せません。
ギリギリまで調整調整。(この辺りは時間が無く、大会前日のホテルで話し合って決めました。)
5.最後に
以上が私の調整過程です、いかがだったでしょうか。
時間が無く最後の方はドタバタな感じになってしまいましたが、一緒に調整してくれた山本プロも含め、私たちはデッキの完成度に手ごたえを感じていました。
それでは、後半の「大会レポート編」でまたお会いしましょう。
市川
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