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コラム

週刊連載インタビュー「あなたにとってマジックとは?」

「あなたにとってマジックとは?」第4回:プラチナプロ編

週刊連載インタビュー「あなたにとってマジックとは?」第4回:プラチナプロ編

by 瀬尾 亜沙子

 世界中で2千万人を超えるプレイヤーとファンを持つ世界最高の戦略トレーディングカードゲーム『マジック:ザ・ギャザリング』。この記事では、5月末開催の記念すべき「モダンマスターズ・ウィークエンド」から、8月末開催の「世界選手権2015」まで、「あなたにとってマジックとは?」というインタビューをまとめた記事を毎週連載していきます。

 『マジック・オリジン』、この夏発売の新セットでは、5人のプレインズウォーカーが何故プレインズウォーカーになったのかという理由が明かされます。プレイヤーの象徴でもあるプレインズウォーカーにも、それぞれ違った人生背景が隠されているのです。では、「マジックプレイヤーは何故マジックプレイヤーになったのか?」そこにはどんなストーリーが隠されているのでしょう......この連載記事でその謎を明らかにしてみます。


 さまざまな方に「あなたにとってマジックとは?」という質問を投げかけているこの企画。今回は皆さんご存じのプラチナ・プロプレイヤー、市川ユウキ・山本賢太郎・渡辺雄也の3名にご登場いただきます。輝かしい戦績を残している彼らにとって、マジックはどういった存在なのでしょうか?


市川 ユウキ

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BIGMAGIC所属のプロプレイヤー。プロツアー『ニクスへの旅』とプロツアー『マジック2015』で2連続トップ8入りして一気に世界レベルに上り詰めた。「瀬畑」の名前で行なっているニコニコ生放送も人気。


――あなたにとってマジックとは?

市川趣味です(笑)

――いつもそうおっしゃってますもんね。ものすごい時間と労力をつぎ込んでいると思いますが、それでも「趣味」なんですか?

市川:気軽に手軽にやるものだけが「趣味」というくくりに入るとは思っていないです。どれだけ時間を注いでも、あくまで趣味は趣味なので。あと、仕事という感覚もないですし。

――なるほど。「趣味」ということは、あくまで楽しいからマジックやってるということでしょうか?

市川:もちろん楽しいからやってますよ! 大変なことも多いですけど、それでもやれるのは楽しいからだと思いますし。
 よく「ガチ勢」「エンジョイ勢」ってくくる人がいるんですけど、あれ納得いかないんですよね。ガチ勢こそ真のエンジョイ勢だろ!って私は思います(笑)

――ガチだからこそ、もっとも楽しんでいるということですね。ちなみに、マジックのどんなときが特に楽しいですか?

市川:難しいですね......練習が実って勝ったときがわかりやすく楽しいですけど、負けて友達と飲みに行くのも楽しいですし。

――勝って飲みに行っても楽しいのでは......?

市川:確かに(笑)

――マジックやってれば勝っても負けても酒がうまい! ということですね。

市川:そうですね、どっちでも楽しいです。

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――マジックはどういうきっかけで始めましたか?

市川:小学生のとき、兄貴と一緒に始めたんですけど、中学に上がった時にまわりがやめちゃって続かなかった感じですね。10年後にMagic Onlineで復帰して、しばらくネットだけでやってましたけど、グランプリ・神戸2012からリアルの大会にも出始めました。

――もしマジックをやっていなかったら、今どんなふうになっていると思いますか?

市川:僕、マジック以外にほぼ趣味ないんですよね。ずっと仕事ばかりしていたので。だから変わらず仕事に打ち込んでいると思います。

――今はマジックが唯一の趣味って感じなんですね。

市川:そうですね、ほかに定期的にやっている趣味みたいなのはないです。

――個人的に、「趣味」という言葉には「飽きたらやめる」というイメージもあるのですが、市川さんがマジックやめようかなと思うことってありますか?

市川:プロツアー予選をまわってる終盤は、「このシーズン権利を獲得できなかったら、競技プレイのペースを落とそうかな」って思ったことはありました。ただ、マジック自体をやめようと思ったことはないです。

――ペースは多少変わるとしても、今後もマジックをずっと続けていきそうな感じですか?

市川:そうですね、身内と集まってドラフトとか、マジックはいろんな付き合い方ができますから、100%切れることはなさそうですね。

――どうもありがとうございました。


山本 賢太郎

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Hareruya Pros所属のプロプレイヤー。プロツアー『テーロス』ベスト8、2014年の世界選手権ベスト4入りなどの戦績を持ち、現在プラチナ・レベル。通称「ヤマケン」。


――あなたにとってマジックとは?

山本一番好きなこと......ですかね。

――普段はどれくらいマジックやってらっしゃるんですか?

山本:基本的にMagic Onlineで1日2~3時間を、週5~6回くらいのペースですかね。ほぼ日課的な......。リアルの大会には、グランプリとプロツアーだけ出るっていう感じですね。

――大きい大会以外は出ないスタンスなんですね。とすると普段の土日は何をしているんですか?

山本:何してるんだろう......。ほかの遊びとかは別にしてないので、あんまり平日と変わんないです。Magic Onlineの時間がちょっと増えるくらいで。

――マジックがなかったら無趣味な生活という感じですか?

山本:そうですね。マジックを切り取ったら、仕事と日常の生活以外ほとんどないです。

――ではマジックと出会っていなかったら、どうなっていたと思いますか?

山本:たぶんほかのゲームをやるなり、何かしらの趣味を見つけてたとは思うんですが、マジック以上には続いてなかったと思います。

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――いつごろからマジックをやっているんですか?

山本:中学3年くらいに、弟がマジックをたまたまやってて、教わったのがきっかけですね。そこからはあまり大会に出てない期間とかもあったんですけど、ずっと友達とドラフトとかはしてたので、引退という時期はなかったです。

――特にマジックの好きなところはどこですか?

山本:マジックは構築ももちろん面白いですけど、リミテッドという遊び方ができるというのが一番すごい点かなと。リミテッドがあるから、2~3年やってない人もふらっと遊びに来るみたいな遊び方もできるし。ほかのカードゲームに比べて優れている点かなと思います。

――リミテッドがお好きなんですか?

山本:友達と3対3のチームドラフトをやるのが一番好きです。単純にドラフトが面白いというのもあるんですけど、0-2してる友達に「何負けてんだよ!」とかそういうのもあるし(笑)
 マジックが構築しかなかったら、こんなにずっとはやってなかったと思います。毎回違うデッキで遊べるっていうのがすごいなと。

――確かにそうですね。ということは、当分はこんな感じで続けていく感じでしょうか?

山本:マジックが続いてる限り、一生やってるとは思います。(プロ・プレイヤーズ・クラブのレベルが)プラチナとかゴールドから落ちたとしても、友達とドラフトやっていくと思うので。

――どうもありがとうございました。


渡辺 雄也

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TEAM MINTおよびUltra PROにスポンサードされるプロプレイヤー。カイ・ブッディに並び世界最高記録のグランプリ優勝7回など、数えきれない戦績を持ち日本最高のプレイヤーと目される一方、アニメ好きとしても有名。通称「ナベ」。


――あなたにとってマジックとは?

渡辺体の一部ですね。小学生のころからずーっと一緒に育ってきたので、切っても切り離せない、それこそ体の中身がマジックなんじゃないか、みたいな(笑)。マジックがない状態はもはや考えられないですね。マジックするのと息を吸うのはほぼ同義(笑)

――それはすごい! 自分の大きな割合を占めているということですね。

渡辺:95%くらいマジックです。あとの5%はアニメですね(笑)

――なるほど(笑) アニメは5%だけなんですか?

渡辺:僕はアニメ大好きですけど、やっぱりアニメには人生かけてないですから(笑) マジックには人生かけてますけど。

――マジックに出会ったのはいつですか?

渡辺:小学校の時に別のカードゲームをやってたところから、友達とマジックを始めたんですけど、中学校に上がってから、マジックばっかりずっとどっぷりですね。

――もしマジックがなかったら、今ごろどうなっていたと思いますか?

渡辺:ずっとアニメ見てるんじゃないですかね(笑)。マジックの時間も全部アニメにあててる可能性ありますね。今はマジックの息抜きにアニメ見る、みたいなスタンスですけど、アニメの息抜きに何かするとかになっちゃうかも(笑)
 ほんと、マジックがないのは考えられないですね。マジックがなかったら海外に行くことも、こんなに多くの方と知り合うこともなかったですし。

――そうですね。

渡辺:最近、ちょっとだけ英語がわかるようになりました。海外のインタビューとか受ける時は、さすがに通訳の人がいないと伝わらないことも多いですが、ゲームする分には全然問題ないくらいにはなりました。

――すばらしいですね。マジックやってると自然に英語も身につくと。

渡辺:英語もそうだし、マジックやってなかったら絶対外国の友達なんてできなかったんで、交友関係でもほんとに感謝してます。

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――マジックが体の一部としてしみついているというのを、実感することはありますか?

渡辺:自分ではよくわからないんですけど、カードの手さばきがほかの方から見るときれいに見えるらしいですね。海外の人とかにも言われて実感しました。ずっとさわってるから、体にしみついてるのかなとは思います。

――特に練習したわけではないんですか?

渡辺:自分としては、ずっとやってきて自然に身についたというか、いつ身についたかも覚えてないようなものですね。
 だから、教えられないんですよ。よく、「マジックうまくなるにはどうしたらいいですか?」って聞かれるんですけど、そういうときは質問してきた人に「どういうところがわからないですか?」って逆に聞いて話を広げるんです。でも、「カードさばきがうまくなるにはどうやるんですか?」って聞かれると、「うーん......自然にこうなるんだけど」って、困ります。

――体の一部になるまでカードさわってれば自然にできるってことですかね。

渡辺:1週間くらいずっと触り続けてればうまくなるかも。僕ももう15年くらいカード触ってるんで。マジックのカードじゃなくて、クレジットカードとかでも無意識でシャカシャカやっちゃいます(笑)

――相当しみついていますね。今後もずっとそういう感じで続けていく感じでしょうか?

渡辺:殿堂になるまでは間違いなく続けます。多くの方に推してもらってるので。殿堂になったら今のままプロマジックを続けるか、一線を引くかは、その時の自分の状況をかんがみてという感じですね。
 マジックできなくなるのは僕も嫌なので、とにかく来年の10月までは第一線でやり続けると決めてます。

――どうもありがとうございました。


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