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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:死せる予言(モダン)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:死せる予言(モダン)

by 岩SHOW

 待機という能力はなかなかに面白いものだと思う。やや割高な通常コストを払うか、安く済む代わりにタイムラグが発生する待機で用いるか。対戦相手にはそれがいつか唱えられるのが見えているわけで、そういった駆け引きもできる。使っても使われても面白いものが大半だったと認識している。個人的には「いつか蘇っても良いんじゃないかなメカニズムランキング」の上位につけていたりする(何の話だ)。

 その中でも一際インパクトが強いのが、通常のマナ・コストを持たない、待機経由でしか唱えることのできない呪文サイクルだ。いずれも過去のとんでもない効果の呪文のリメイクであり、使いたいと思わせる魅力を放っている。

 待機が明けるまでにはそこそこの時間がかかるが、何もそんなちんたらしなくても使う方法はある。最も多いのは、続唱とのコンボだ。続唱呪文を唱えると必ずこれらの呪文がめくれるようにデッキ構成を調整し、マナ・コストを持たない呪文を無理やり唱えて美味しくいただこうというわけだ。

 モダンにおいてこの動きを主軸とした「リビング・エンド」は根強い人気を持つデッキで、ここぞというタイミングで用いると大きな勝利をもたらしてくれるデッキでもある。このデッキがコストを踏み倒すのは《死せる生》。戦場のクリーチャーを墓地に、墓地のクリーチャーを戦場に戻すちゃぶ台返しここに極まれりという1枚だ。

 この《死せる生》のように専用デッキは組まれないが、真面目に待機明けを待つ形で広く利用されているのは《祖先の幻視》。コントロールデッキが耐えに耐えての3枚ドローから息を吹き返している光景は多々見られる。

 今日のデッキは、このモダンで人気を二分する待機呪文を両方使ってしまった、豪華絢爛な逸品だ。これらの呪文を唱えるために《予言により》を用いる、他に類を見ないデッキの姿をとくと見よ!

1310HaZzZaRd - 「死せる予言」
Magic Online Modern Challenge #11063111 18位 / モダン (2017年12月30日)[MO] [ARENA]
10 《
1 《沈んだ廃墟
1 《ディミーアの水路
4 《トレイリア西部
1 《ボジューカの沼
3 《廃墟の地
1 《幽霊街

-土地(21)-

4 《秘法の管理者
2 《意思切る者
3 《通りの悪霊
4 《縞カワヘビ

-クリーチャー(13)-
4 《祖先の幻視
4 《死せる生
1 《否定の契約
3 《呪文嵌め
2 《呪文貫き
4 《差し戻し
4 《予言により
4 《謎めいた命令

-呪文(26)-
2 《敏捷な妨害術師
3 《倦怠の宝珠
2 《ハーキルの召還術
4 《神聖の力線
4 《虚空の力線

-サイドボード(15)-

 《予言により》は毎ターン時間カウンターを得て、点数で見たマナ・コストがそのカウンターの数以下である呪文を{0}で唱えさせてくれる、独特な能力を持ったエンチャントだ。

 この能力を用いれば、《死せる生》も《祖先の幻視》も3ターン目からバンバン唱えられてしまう。ウハウハホクホクな状態を楽しんじゃおうというデッキなのだが、このデッキの核であるエンジンは不真面目に見えるものの、やろうとしていることはとても真面目というか、実直なデッキである。

 基本的な動きは、相手の行動をとにかく打ち消していく。自分のターンには土地を置くのみで特に行動せず、対戦相手にターンを譲る。何かしてきたら打ち消して、特に危険なことをしてこなければクリーチャー・カードをサイクリングする。そう、伝統的な青のコントロールデッキの動きをするのだ。

 まあいつまでもそうやって構え続けるわけではなく、序盤をしのいだら《予言により》を設置し、《祖先の幻視》で手札を補充する。あるいは、対戦相手がクリーチャーを複数展開していれば《死せる生》で押し流す。この時クリーチャーが何体か戦場に帰ってきたら、それらでゲームエンドまで持っていくべく対戦相手の後続をまた打ち消しまくる。「ドカンと決めてはい終わり」というコンボデッキではないのだ。

 むしろ《死せる生》は《神の怒り》《滅び》的ポジション、ほぼ青単色のこのデッキにおける除去呪文として運用することになる。なのでクリーチャー・カードも13~15枚程度と、従来の《死せる生》デッキと比べて格段に少なくなっている。数は必要ない、《縞カワヘビ》1体でもいれば十分だという、その設計思想がカッコイイ。

 このデッキにおいて《トレイリア西部》は激シブな活躍をしてくれることだろう。

 手札が減ったら《祖先の幻視》に、盤面をリセットしたいなら《死せる生》に。そして、《死せる生》でクリーチャーを戻したいけど相手の墓地にもクリーチャーがわんさか、という状況であれば《ボジューカの沼》を持ってきたりと、このデッキにおいて最も大事なカードと言っても決して過言ではない。こういう状況に合わせたカードを探してゲームをコントロールする、というのは古くからプレイしている方々にはウケそうなものだ。

 《予言により》に依存している部分があるので、安定感抜群というデッキではないが......こういうデッキを完璧に使いこなせると、なんだかカッコイイ。人とは違うマジックを極めたい方にはオススメのデッキだ。

 初めて使う際には、《予言により》によって{0}で唱えられるカードは各ターンに1枚のみだということを忘れずにね! この一文はうっかり忘れてしまいがちなので、そこだけは気を付けて!

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