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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ジェスカイ・トラフト(モダン)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ジェスカイ・トラフト(モダン)

by 岩SHOW

 ワールド・マジック・カップの会場にて1年ぶりにシャハール・シェンハー/Shahar Shenharの雄姿を目にした。プロツアーに比べると半数ほどの参加者となるワールド・マジック・カップの会場では彼の長身は大変目立つのだ。

 今年もイスラエル代表を務めたシェンハーは、過去の世界選手権を2連覇している(20132014)。しかも19~20歳でそれを成し遂げているんだから恐ろしい。まだまだ若く、これからもどんどんと力を蓄えて活躍していくプレイヤーだろう。

 彼について考えると、やはりその世界選手権優勝の時のことを......特に1回目の優勝時、スタンダードとモダンともに白青赤の3色デッキを使っており、トリコマスター(当時はまだこの色を表す氏族・ジェスカイという概念はなかった)としての印象を強く刻み付けてくれたものだということを思い出すね。

 ちょうど、最近のモダン環境ではシェンハーが使用したものと同じ3色を用いるデッキが活躍中だ。今日はそんな、なぜか今流行中のデッキを紹介しよう。「ジェスカイ・トラフト」だ。

Mark Stanton - 「ジェスカイ・トラフト」
StarCityGames.com Modern Classic Roanoke 優勝 / モダン (2017年12月3日)[MO] [ARENA]
3 《
1 《
1 《平地
2 《蒸気孔
2 《神聖なる泉
1 《聖なる鋳造所
4 《沸騰する小湖
4 《溢れかえる岸辺
4 《天界の列柱
2 《硫黄の滝

-土地(24)-

4 《瞬唱の魔道士
4 《呪文捕らえ
3 《聖トラフトの霊

-クリーチャー(11)-
4 《血清の幻視
4 《流刑への道
2 《呪文嵌め
4 《稲妻
3 《稲妻のらせん
2 《電解
4 《謎めいた命令
2 《論理の結び目

-呪文(25)-
1 《イゼットの静電術師
1 《ヴェンディリオン三人衆
2 《ピア・ナラーとキラン・ナラー
2 《払拭
2 《軽蔑的な一撃
1 《削剥
1 《天界の粛清
1 《否認
1 《コジレックの帰還
1 《至高の評決
1 《仕組まれた爆薬
1 《思考を築く者、ジェイス

-サイドボード(15)-
StarCityGames.com より引用)

 コントロールと表現されることもあるが、どちらかというと腰を下ろして盤面をコントロールするというよりも手数で押し切るデッキであるため、今回はそのように分類した。まあどっちでも良いんだけども、スタンダードのコントロールデッキをイメージするとかなり異なることに戸惑う人もいるかなと思ってね。

 デッキ名のトラフトというのは《聖トラフトの霊》のことだ。

 3マナ2/2、サイズはド平凡ながらも呪禁という最高レベルの除去耐性と、攻撃すると4/4飛行の天使・トークンをお供に呼び出し攻撃させるという攻めっ気に溢れた能力を持っている。このクリーチャーの前に立つクリーチャーをひたすらに捌いていって、ドンドンドンと攻撃して、相手のライフを0にする、そんなデッキだ。

 相手のライフが4点以下なら最後はトラフト本体がブロックされようが構わずダメージをねじ込むことも多々。伝説のクリーチャーなのでわざと突っ込ませることもある。色やデザインは全く異なるが、《ボール・ライトニング》に近いものがあるね。このカードを軸としていることからも、コントロールよりはアグレッシブに攻める要素があるデッキだということが伝わるんじゃないかな。

 デッキの動き自体は複雑なものではない。対戦相手の行動に合わせて妨害を行っていき、隙を見てトラフトを投下し殴りに転じていく。妨害手段は除去 or 打ち消しだ。最序盤はこれらを構えながら動くことが多いため、対応型のデッキであるという意味ではコントロールと呼べるかもしれない。

 大事なのはいつまでも構えるわけではなく、かなり早いターンから攻める側に転じるということ。その口火を切るのは、トラフト以外で採用されている2種類のクリーチャー《瞬唱の魔道士》と《呪文捕らえ》だ。

 どちらも瞬速能力を持っており、これにより対戦相手の行動にあわせて戦場に投下することができる。瞬唱は既に使った呪文を使いまわし、《呪文捕らえ》は自身の能力で今まさに相手が唱えようとしている呪文をキャッチする。これらの能力で妨害したら、次のターンからはクリーチャーとして使って殴っていくというわけだ。

 能力が大変に強力ではあるのだが、それを使うことにとらわれ過ぎるとなかなか戦場へ送り出すことができず、結果として対戦相手の寿命が延びてしまうことも。これらを思い切ってただの瞬速クリーチャーとして展開して殴ることも大切だ。もちろん、一緒にトラフトが殴りに行ければ言うことはない。

 除去呪文も、火力が多めの構成になっている。細かいクリーチャーを展開してこない相手だと判断したならば、これらを対戦相手本体めがけて投げつけていこう。

 モダン環境のデッキは基本的にどれもこれもややこしいヤツらばかりだ。何か問題が起きる前に、対処できるものは対処して、あまり相手にかまい過ぎずにさっさとゲームエンドまで持っていく。このデッキの設計思想はそういうものだ。この手のデッキでゲームに勝利すると、何とも言えぬほっとした気持ちになれる。安堵感ナンバーワンデッキかもしれないね。「相手に無茶苦茶される前に逃げ切ったぞ!」ってね。

 こういった類のデッキは往々にして難しく見えるし、事実そうではあるのだが、このデッキ自体はそう難しいものではないと思う。構成自体はシンプルなものだ。

 大事なのは、相手への慣れだろう。最初のうちはどのタイミングで仕掛けるべきか、何を妨害しなければならないのかがわからないので負けるのはしょうがない。その敗北を糧にして、とにかくいろいろなマッチアップを経験すれば......自ずとあなたは強くなっている。勝率も高まっていくことだろう。理論上、きちんと妨害がハマって相手が立て直すまでに殴りきればどんな相手にも勝てる。

 これからモダンという広大なフィールドで長く戦っていきたいと思うのであれば、候補に考えても良いデッキだろう。呪文の構成を少しいじるだけで、いろいろな相手に対応可能だというのもセールスポイントだね。じっくりとマジックの腕を上げたいなら本当にオススメだ!

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