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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:グリクシス・ミッドレンジ(スタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:グリクシス・ミッドレンジ(スタンダード)
by 岩SHOW
ファンが一番多い3色の組み合わせってどれだろうか。これ!というデータを見たことはないのだが、個人的にはこれだろうなと思っているものがある。青・黒・赤の3色の組み合わせ、アラーラの次元の断片になぞらえて、「グリクシス」と呼ばれるものだ。
昔からこの3色の組み合わせはテクニカルなデッキを生み出し、世界中のマジックプレイヤー、中でもコントロール愛好家には好かれていたものである。特に《粛清するものクローシス》が出てきた頃は、このかっこよすぎるドラゴンを使いたいがために、一度はこの3色のデッキを組んだという経験を持つプレイヤーが老若男女問わずいたものである。
また、3色デッキとは離れるが、『ラヴニカへの回帰』発売前のプロモーションによれば、イゼット(青赤)が前ギルドでも一番の人気であり、ディミーア(青黒)もかなり上位につけていたという記事があったことを記憶している。人気の2色が組み合わさった3色なのだから、やはりグリクシスが一番人気か? 皆の大好きなニコル・ボーラスもこの3色に属しているしね。
現在、グリクシス・カラーのデッキと言えばまずレガシーが思い浮かぶ。《秘密を掘り下げる者》《瞬唱の魔道士》《若き紅蓮術士》《渦まく知識》《稲妻》《思考囲い》《意志の力》《コラガンの命令》などなどパワフルなカードを取り揃えており、ビートダウンもコントロールもできますよという器用さで、環境でも高い人気を誇るカラーとして君臨している。
モダンでも上記のクリーチャーに《死の影》と軽量呪文を組み合わせたデッキが活躍。ヴィンテージでも《ダク・フェイデン》と《概念泥棒》のコンボを軸にしたデッキが......とくれば、じゃあスタンダードは?と思うのが自然な流れ。ところがスタンにはエネルギーと赤単ばっかりが......なんて思った方も少なくないだろう。
ノンノン、これからスタンダードでもグリクシス旋風が吹き荒れる予感だ! これ、マジ!
1 《島》 1 《沼》 2 《山》 3 《異臭の池》 4 《水没した地下墓地》 4 《尖塔断の運河》 3 《泥濘の峡谷》 4 《竜髑髏の山頂》 4 《霊気拠点》 -土地(26)- 4 《光袖会の収集者》 2 《才気ある霊基体》 3 《つむじ風の巨匠》 2 《機知の勇者》 2 《人質取り》 1 《多面相の侍臣》 4 《栄光をもたらすもの》 1 《スカラベの神》 -クリーチャー(19)- |
4 《致命的な一押し》 4 《蓄霊稲妻》 1 《削剥》 2 《大災厄》 2 《ヴラスカの侮辱》 2 《反逆の先導者、チャンドラ》 -呪文(15)- |
1 《豪華の王、ゴンティ》 1 《多面相の侍臣》 4 《強迫》 2 《チャンドラの敗北》 2 《否認》 1 《削剥》 1 《至高の意志》 1 《川の叱責》 1 《不帰 // 回帰》 1 《王神、ニコル・ボーラス》 -サイドボード(15)- |
グランプリ・アトランタ2017にて惜しくもTOP8に届かず9位という結果を残したデッキがこの「グリクシス・ミッドレンジ」だ。
「ミッドレンジ」とは中速デッキ全般に用いられる分類名で、これといった特徴が伝わるものではないのであまり用いたくはないのだが......このデッキも、いい意味で何かに寄せている・特化しているものがあるデッキではないので、この名前で紹介させてもらった。
クリーチャーは軽いところも重いところも取り揃えている、まさしく中速デッキ的な編成。相手が自分より遅ければ積極的に殴り、その逆であればブロッカーとして長けていたり除去を兼ねていたりで戦線維持に貢献する、そんなバラエティー豊かな面々が集結している。
中でも、《人質取り》《栄光をもたらすもの》《スカラベの神》とパワフルな4~5マナ域は、これらを共存させたデッキを作りたいからこのデッキを組みましたという気持ちが伝わってくるラインナップだ。環境で強いカードを別々で使う道理はないだろう?という貪欲さは好感度大。盤面の脅威を取り除きつつ相手のライフを詰めにかかれる、何とも恐ろしい海賊ドラゴンコンビを、神で使いまわせるというわけだ。
この海賊ドラゴンコンビの水増しであり、対処の難しい相手のクリーチャーへの相討ち要員ともなるのが《多面相の侍臣》。
《クローン》の系譜に属する1枚で、最近は『アモンケット』発売時よりもかなり評価が高くなってきた。不朽で使いまわせるというのは、消耗戦になってマナの使い道を先に見つけた方が優位に立てる現在のスタンダードでは注目ポイントだ。ある時はノリノリの海賊に、ある時は火を噴くドラゴンに、状況に合わせて最適なものに変身させていきたいものである。
赤と黒が合わさることで、呪文も圧倒的な破壊力。クリーチャーの生存を許さず、徹底的に除去していく姿勢は「グリクシスしらみつぶし」と呼んでも良いレベル。《大災厄》の効果を最大限に活かせるようなプレイングを心掛けると良い結果に繋がるだろう。
コントロールデッキと当たった際には、ほとんどの除去を《否認》や《強迫》と入れ替えてしまえば良いのでサイドボーディングも楽。コントロールデッキの数がもっと増えれば、このあたりの呪文バランスも変わってくるのだろう。地域ごとにメタゲームも異なるものなので、その辺は各自調整ということで。
サイドに潜む《王神、ニコル・ボーラス》はお守り枠的な意味合いも強いが、いざともなれば対戦相手に地獄を見せつけてくれることだろう。なんでもそつなくこなしながら、ゲームを自分の掌中に収めていき、殴りきる。そんなゲームがしたければ、一度このデッキを試してみよう。ティムール(青赤緑)ばかりがスタンダードの3色デッキではないという事実を思い知らせてやろう!
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