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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:エルフ~ドルイドたちの成長儀式~(モダン)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:エルフ~ドルイドたちの成長儀式~(モダン)
by 岩SHOW
まさかね。カード足りてないんだよなぁ、なんて言ってた『イクサラン』発の白い吸血鬼たちをフィーチャーしたデッキが注目を浴びることになるとはね。詳しくはコチラ。新しいセットの新しい部族が新しいデッキを生み出す、デッキマニアにとってテンションが上がるとはこういうことだ。皆も負けないように、いろいろなことにトライしてほしいね。
さて、『イクサラン』にはそもそも次元に生息していないため、ただの1つも新カードを得られなかったメジャー部族がある。人間・マーフォーク・吸血鬼・ゴブリンと肩を並べる、色を代表する部族・エルフだ。このセットでは従来のセットにおいてエルフが担うことの多かった役回りをマーフォークがいただく形となっている。上記の各色代表部族は、色まで変わって新しいカードを得ているというのに......そう嘆いたエルフフリークが世界中にいるとかいないとか。ただ、エルフと書かれたカードはゼロでも、新戦力を何も得なかったわけじゃないぞ。エルフデッキと相性の良いカードはバッチリあるのだ。
《イトリモクの成長儀式》は、表面は弱い《ニッサの誓い》のようなもので、まあ最低限カード1枚分の働きはするがちょっと重い、というエンチャント。だが、クリーチャーを4体以上コントロールしているという条件を満たしてターン終了を迎えれば、まさかの《ガイアの揺籃の地》と同じ能力を持った、爆発的にマナを生み出す土地になる。クリーチャーが0体でも緑マナ1つを得ることができるので、ガイアに勝ってさえいる。
普通の方法じゃこんな強力すぎる土地を作るわけにはいかないが、スタンダードやモダンでガイアが使えたら......という夢は叶えてあげたい。そんなデザインチームの親心までうかがえそうなこのイトリモク。エルフとの相性は抜群も抜群、大抜群!というわけで、今日はイトリモクを成長させるべくエルフのドルイドたちが集結するデッキを紹介しよう!
4 《森》 1 《寺院の庭》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《剃刀境の茂み》 2 《地平線の梢》 1 《ペンデルヘイヴン》 1 《魂の洞窟》 1 《ウェストヴェイルの修道院》 -土地(18)- 4 《エルフの神秘家》 4 《遺産のドルイド》 4 《ラノワールのエルフ》 4 《イラクサの歩哨》 4 《献身のドルイド》 4 《ドゥイネンの精鋭》 1 《療治の侍臣》 4 《エルフの大ドルイド》 4 《背教の主導者、エズーリ》 -クリーチャー(33)- |
1 《イトリモクの成長儀式》 4 《集合した中隊》 4 《召喚の調べ》 -呪文(9)- |
2 《戦争の報い、禍汰奇》 1 《漁る軟泥》 1 《無私の霊魂》 1 《エイヴンの思考検閲者》 1 《弁論の幻霊》 1 《エルフのチャンピオン》 1 《再利用の賢者》 1 《カメレオンの巨像》 3 《流刑への道》 1 《安らかなる眠り》 1 《石のような静寂》 1 《崇拝》 -サイドボード(15)- |
まあ...言ってしまえば従来のモダン式エルフデッキに《イトリモクの成長儀式》を足しただけ、ではあるのだが......これがどれほどデッキに噛み合っているのか、というところを中心に話をしていきたい。
そもそも、スタンダードではこのエンチャントを駆使したデッキが出てこないのはなぜか? 答えはその変身タイミングにある。クリーチャー4体以上でターン終了を迎えて、ようやく変身して土地となる。このタイミングで変身するとということは、大量のマナを用いてクリーチャーやソーサリー、プレインズウォーカーなんかを唱えることはできない。インスタントか、いつでも起動できる能力のみを使用可能で、他のことがしたかったら相手のターンを挟んで次のターンを迎えなければならない。条件を満たしたらすかさず変身してさらにクリーチャーを展開できる、というデザインだったら評価はまた違ったものになっていたのではないだろうか。
モダンにおいては、この変身タイミングのズレもどうということもなく。《召喚の調べ》に《集合した中隊》と、相手のターンにイトリモクから出るマナを注いでクリーチャーをさらに展開することが可能だ。タイムラグなくマナを使えれば、そりゃあこの土地はバケモンだ。というわけで、この理想的な動きができるように成長儀式の設置とクリーチャー展開をうまい具合に噛み合わせるよう心掛けたい。
エルフデッキはそもそもがマナを生産する能力に長けている。《エルフの神秘家》《ラノワールのエルフ》で1マナのマナエルフが8枚体制。
これに加えて3体のエルフから3マナを生み出す、しかも召喚酔い関係なしの《遺産のドルイド》と、緑の呪文を唱えるとアンタップする《イラクサの歩哨》とのコンボがあれば、最序盤からとんでもないマナを得ることが可能だ。《エルフの大ドルイド》も全体を強化しつつ、エルフの数だけマナを......キリがないな。
このデッキにはさらにこれらに加えて《献身のドルイド》+《療治の侍臣》による無限マナコンボも搭載されている。これに加えてイトリモクも成長させようってんだから......エルフのドルイドたち、暴れすぎ。森のそこら中で儀式が行われているカオスな状態になっていることだろう。
そんなに得たマナでどうするのか? もちろん、ゲームに勝つために使うわけだが、そのマナの注ぎ先は1種4枚のみ。《背教の主導者、エズーリ》だ。
これの全エルフを強化する能力を連打しまくって、1体あたりパワー20くらいのエルフの軍団で圧殺を狙うという寸法だ。ただただマナを生み出すことに特化し、決め手はシンプルに。わかりやすくていいね、モダンのエルフは。他に《ウェストヴェイルの修道院》からのオーメンダール召喚や(これも儀式じゃないか)、大ドルイドで強化したり特に何もしなかったりで数を揃えてただ殴る、というのがこのデッキの勝利手段だ。ただ殴る、という事態はまあまああるだろうね。
サイドボード後は《召喚の調べ》《集合した中隊》によるサーチを前提とした1枚挿しクリーチャー軍団が大活躍。このコラムでも何度か説明してきたが、墓地コンボ系デッキ相手に《漁る軟泥》、《死の影》など用いつ黒いデッキ相手に《カメレオンの巨像》といった具合に特定の相手にぶっ刺さる1枚挿しをサーチして優位に立つという戦術を「シルバーバレット」と呼ぶ。吸血鬼に効く銀の弾丸、ということからきた用語だろう。知らなかった人は覚えておいてね。長く読んでくれている皆には、まいどやで。おおきに。
とりあえず1枚の採用になっているが、そもそもエルフデッキはこれまで《召喚の調べ》《集合した中隊》の合計8枚以外に呪文を採用することがほぼなかったデッキだ。そこに9枚目として採用されるカードがある、というだけでもちょっとした・しかし無視できない変化だ。これからこの9枚目の呪文枠が定番になるのか、それとも元の8枚が変わらず主流になるのか。願わくば、前者であってほしいものだ。
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