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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:「Hollow Vine」を検証!(モダン)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:「Hollow Vine」を検証!(モダン)
by 岩SHOW
少々月日をさかのぼって......『破滅の刻』発売前後の話。巷では、ある新カードがヤバいんじゃないかと囁かれていたものだ。そのカードは《虚ろな者》。
ファラオ的ルックスで、腕を失ったりと不完全な状態のこのゴーレム。普通に使えば5マナ4/4能力なしとリミテッドでも極力お世話になりたくないスペックなのだが、唱えるに際してそのターンに捨てたりサイクリングしたカード1枚につきコストが{2}少なくなるという能力を備えている。1枚捨てていれば3マナ4/4、上出来だ。2枚なら1マナ4/4、《野生のナカティル》超え! 3枚なら0マナ4/4、どうなっているんだこのゲーム......と、なんともドリーミングな1枚。
スタンダードならサイクリングを主としたデッキで使うのかな、程度のカードなんだが、フォーマットを超えてモダンやレガシーに突入すれば、マナを支払うことなく手札を捨てる方法なんざ山ほどある。この0マナ4/4を早いターンに展開して圧倒するデッキが作れるんじゃないかと......世界中のデッキビルダーが注目したものである。
そして、ヤツが現れた。その名は「Hollow Vine」。Hollowは《虚ろな者》、Vineは《復讐蔦》の英名からとってつけられたデッキ名だ。モダンには既にこの《復讐蔦》を墓地から素早く蘇らせて悪さをしようというデッキは存在しており(うわ、これ書いたのもう1年4か月も前なのか......)、愛好家が細々と使っていた。通常の「ドレッジ」デッキの安定感ある動きの方がトーナメント向きであるため、あくまでファンデッキ的な位置づけではあったが、爆発力はピカイチで使っていて面白いデッキであった。
このデッキに《虚ろな者》を投入するとヤバい、もといヤヴァインじゃないか?という試みで組まれた「Hollow Vine」。新環境当初はSNSを中心に大いに話題になったものだ。
『破滅の刻』発売から早いもので3か月。すっかり「Hollow Vine」の噂も聞かなくなって、どうしているのだろうかと調べたら......ブームの頃に比べて随分と落ち着いてはいるものの、マニアたちが《復讐蔦》のごとく、しつこく使い続けてそれなりに成績も残しているようだ。
よし、今回はこの「Hollow Vine」の最新型を使用して、本当にぶっ飛んだ動きができるのか検証してみようじゃないか。検証というか、良いスクショが撮れるのかチャレンジといったところかな。まずは使用するリストを紹介しよう。コレだ。
5 《山》 1 《冠雪の森》 2 《踏み鳴らされる地》 4 《樹木茂る山麓》 4 《血染めのぬかるみ》 2 《銅線の地溝》 -土地(18)- 4 《傲慢な新生子》 4 《僧院の速槍》 3 《ゴブリンの先達》 4 《復讐蔦》 4 《虚ろな者》 4 《通りの悪霊》 2 《わめき騒ぐマンドリル》 -クリーチャー(25)- |
4 《稲妻》 4 《信仰無き物あさり》 4 《安堵の再会》 2 《ティムールの激闘》 3 《強大化》 -呪文(17)- |
1 《ゴブリンの先達》 2 《稲妻の斧》 2 《古えの遺恨》 2 《破壊的な享楽》 2 《血染めの月》 2 《栄光の幕切れ》 4 《虚空の力線》 -サイドボード(15)- |
こんな形になっているとはね。赤緑の2色でまとめられ、《復讐蔦》コンボを備えつつも《僧院の速槍》《ゴブリンの先達》によるビートでの勝利も勝ち筋として備えている。これらの軽量クリーチャーは《虚ろな者》と併せて同一ターンに唱えて《復讐蔦》の復活能力を誘発させる役目も持つ。
《通りの悪霊》《信仰無き物あさり》《安堵の再会》などでライブラリーを掘り進みつつ、猛烈な勢いで墓地を肥やせるのでかつての「死の影アグロ」のように《強大化》と《ティムールの激闘》による二撃必殺コンボも内蔵している。むちゃくちゃアグロなデッキなのだ。
では、実際にリーグ戦に挑んでみるとしよう。
- 白黒エルドラージ ×○○
- 白単ヘイトベアー ×○×
- 青赤緑テンポ ×○×
- サヒーリ・コンボ ○×○
- アブザン・カンパニー ○×○
とりあえず回してみてわかったこと。プレイングは簡単であり難しい。なんとも矛盾しているが、ものすごく簡単な手札とじっくり考えて動かなければいけない手札の差が激しい、というのが特徴だ。
《信仰無き物あさり》《通りの悪霊》からの《虚ろな者》を複数出して《復讐蔦》、というメインプラン。1マナ速攻クリーチャーで殴って殴ってライフを詰めるサブプラン。この2つの戦略のどちらを行うかが色濃く出ている手札であれば、やることは簡単だ。
ただ、これらが半々という手札もやってくる。ドロー呪文で引いてみないとどうなるかわからない、という手札では何を引いたらどうなるか? 逐一考えてからカードを使用していかなければならない。カードが揃えばコンボが決まるというわけではない、通常のコンボと異なるこの点がプレイングを難しくしてくるね。《復讐蔦》が墓地にある状況でどうやって2体目のクリーチャー呪文を唱えるか、それを考えなければならないので一見不要に見える《ゴブリンの先達》なんかを気楽に捨てることができないのだ。
ただまあ、難しいとは言ってもドローが良ければ「あっ」と一気にゲームを手中に収めることができるのが魅力だね。とりあえず1つ気づいたことは、「ドレッジ」デッキなどと同じ感覚で1ターン目に《傲慢な新生子》をプレイしてしまわないこと。2ターン目に1マナクリーチャーや《虚ろな者》と組み合わせて、《復讐蔦》の復活を支えたい。これは他の1マナ連中にも言えるけどね。
この手のデッキあるある「サイド後が本番」という例にこのデッキも漏れず。メインがかみ合わせが悪く落としてしまったりすると、サイド後2本勝つのは幸運に恵まれなければなかなか厳しい。《血染めの月》が効く相手であればまだなんとかなるが......というところ。先手で迎えるサイド後のゲームは、対戦相手の対策カードを意識しすぎるよりはブン回りを重視した方が良いかもしれないね。よくサイドアウトしたのは1マナ速攻ズ、《安堵の再会》。
この手のデッキは使い込まなければプレイングの引き出しが足りず勝てないものなのだが、このデッキはサブプランも相手が対応できなければ轢き潰してしまえる理不尽系なので、初回しでもそれなりに勝てるものだと思う。ちょっと興味あるなって人にも、この手のオールインデッキ入門編としてオススメかなと。
それで肝心の良いスクショが撮れたのか、という話だが......
というわけで、バッチリ良い画が撮れたのでした。それじゃあ気持ちよく、また来週!
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