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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:青黒コントロール?(スタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:青黒コントロール?(スタンダード)
by 岩SHOW
世界選手権のようなトーナメントは興行として最高に面白い。なので皆が観る。そこで活躍したデッキは強く印象に残る。自分でも使いたくなって、思わずコピーする。世界中の皆がそれをするので、流行る......
というわけで、現在Magic Onlineのリーグ戦では「青黒アズカンタ」が増殖中。確かに強いし、《アズカンタの探索》がぬるっと変身する動きは体感してみたくなるもんな。《奔流の機械巨人》《スカラベの神》とフィニッシャーも強力なので、まあ勝つんですよこのデッキは。全勝者デッキリストにもその姿を披露してくれる。このまま「青黒アズカンタ」が増えれば手札破壊と多角的な攻めを備えたデッキが勝てるデッキになるんじゃないかな、なんて考えていたり。
しかし、狩る者は狩られる者となるのが世の常マジックの常。「青黒アズカンタ」も対策されるようになってからがいよいよ本番と言える。
このアズカンタを取り巻く流れの中で、その潮流をさらに引っ掻き回そうとするデッキがひっそりと出没しているようだ。ヤツの狙いはアズカンタと思わせて騙しつつ、その実まったく異なる動きで対戦相手を翻弄することだ。騙される前に、敵の正体を知れ!
8 《沼》 5 《島》 4 《異臭の池》 4 《水没した地下墓地》 1 《廃墟の地》 4 《進化する未開地》 -土地(26)- 4 《才気ある霊基体》 4 《帆凧の掠め盗り》 1 《豪華の王、ゴンティ》 3 《スカラベの神》 2 《奔流の機械巨人》 -クリーチャー(14)- |
4 《致命的な一押し》 4 《航路の作成》 2 《本質の散乱》 1 《アズカンタの探索》 3 《至高の意志》 1 《本質の摘出》 2 《天才の片鱗》 2 《ヴラスカの侮辱》 1 《暗記 // 記憶》 -呪文(20)- |
2 《禁制品の黒幕》 1 《豪華の王、ゴンティ》 4 《強迫》 4 《否認》 1 《アズカンタの探索》 1 《本質の摘出》 1 《ヴラスカの侮辱》 1 《川の叱責》 -サイドボード(15)- |
2マナクリーチャーを計8枚採用、どっしり構え続ける「青黒アズカンタ」と異なり、これらを展開しながら相手を妨害しつつ殴る......このデッキはクロック・パーミッションと呼ばれるデッキに分類される。
クロックは相手のライフを刻むダメージ源、往々にしてクリーチャーのことを指す。相手のライフが18点の状況でパワー5のクリーチャーを出したとする。これで4回攻撃すればライフを0にすることができるので、これは「4ターンクロック」と表現される。あと1点上乗せすれば、クロックは縮まり「3ターンクロック」となるわけだ。
パーミッションとは打ち消しを中心としたコントロールデッキの呼び名であり、クロックを刻みながら相手のアクションを打ち消したり除去したりバウンスしたりで捌いていくデッキがクロック・パーミッションと呼ばれるのだ。定期的に説明しているのでもう何度もこのくだり読んだわい!という方、ごめんなさいね。
さて話は戻って......1ターン目に対戦相手が《水没した地下墓地》《異臭の池》あたりをタップインという動きをしてきたら、まず「アズカンタだな」と判断してしまうことだろう。実際にその判断も間違っていないと思うし、多くのプレイヤーがそれを踏まえた1ターン目ないし2ターン目のアクションを取ることだろう。さらには次のターンこう動いて......なんて考えているところに《才気ある霊基体》《帆凧の掠め盗り》が颯爽と現れたら......計算は狂うことだろう。
実際には2ターン目に素直に展開してくるよりは、もうちょっと擬態をかましてくることもあるだろうね。こっちのクリーチャーも捌かれたけど相手のデッキ遅いしまあいっか、と油断している4ターン目なんかにポンポンと2体展開され虚を衝かれる、ということが多そうだ。
これらのクリーチャーは何とも厄介。《才気ある霊基体》は絆魂に接死とクリーチャーデッキが嫌いな能力を2つ持ち、ブロッカーとしてもアタッカーとしても活躍する。《帆凧の掠め盗り》は手札破壊能力を持ち、コントロールデッキ相手にとっては最高の嫌がらせだ。これらを処理することができても、《スカラベの神》が現れて永遠衆として蘇らせ再利用してくる。これが強烈!
それぞれサイズも4/4となり、クロックとしても恐ろしいものとなる。vs同型で決め手になりにくい《スカラベの神》だが、自身のクリーチャーを蘇らせることでその強さを高めようという寸法だ。
アズカンタ殺しを目指して脱アズカンタを果たしたデッキと言えるだろう。クリーチャーが増えたために機能し辛くなった《アズカンタの探索》を減らし、代わりのアドバンテージ源として《航路の作成》を採用。
2マナクリーチャーたちはどちらもブロックされにくいため気軽に攻撃することが可能で、となればこの2マナソーサリーはノーリスクの2枚ドローとして運用できるわけだ。2マナで手札が増えるのは、この手のデッキだとさすがに強いね。そうやって稼いだアドバンテージ差を、《スカラベの神》《奔流の機械巨人》でさらに突き放して勝利する、というのが理想の動き。
マジックでは流行りのデッキが生まれるとそれに強いデッキが隆盛してくるものだが、このように似て非なるデッキが生まれてくるというのも面白い。環境末期には、このような亜種がどれほど誕生しているのだろうか。今からデッキたちの日々の進化が楽しみなのだ。
(※この記事を執筆後に開催されたブラジル選手権ではプロツアー『霊気紛争』王者ルーカス・エスペル・ベルサウドがこのデッキを使用して準優勝! これから流行るか? AHA! UHU!)
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