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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:赤単エルドラージ(スタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:赤単エルドラージ(スタンダード)
by 岩SHOW
スタンダードにおけるデッキの多様性というものは、とても大事なことだと個人的には考えている。
トーナメントへ持ち込めるレベルのデッキが限られているような環境も、それはそれでプレイングの差・サイドボードの差などの勝負が展開されて、競技マジックとして見た場合は面白い。ただ、これからマジックを始めたいという人はちょっと入りにくいんだよね、そういう環境は。「マジックを始めたい? じゃあ○○を組むところから始めよう」というのは......その人がいきなりプロツアーを目指して競技の世界でバチバチやりたい!という場合は良いんだけれども、大多数はまず好きになったカードや色、戦略で遊んでみたいと思うものだ。
スタンダードにさまざまなバリエーションのデッキが存在していれば、その中から「これが良い!」というものを見つけられるかもしれないわけで......まあ同時に覚えるカードが多くなってしまうけれども。
要するに何が言いたいかというと、今のスタンダードはデッキのバリエーションがそこそこあって、マジックを始めるには良い環境なんじゃないか?ということ。まあカードプールがかつてないほどに広いという、その一点だけが難儀ではあるんだけども(7セット使用可能というのは伊達じゃない、おまけにもうすぐ8つ目が出るときたもんだ)。
前までのスタンダードの優秀成績デッキリストを見ていても「霊気池、霊気池、ゾンビ、霊気池、霊気池......」みたいな感じで正直なところ面白みに欠けていたが、今は使用率の高いデッキこそあれ、ワクワクするリストも勝てているようで、デッキリストを眺めていて「これ使いたいな」と思うことが増えた。
今日紹介するデッキもそんな「おっ」と思わされたデッキだ。ちょっと前なら赤単なんて選択肢になかなか上らなかったが、今ではこういうアプローチもアリになっているのが嬉しい。「赤単エルドラージ」だ! 個人的にはエルドレッドと呼んでいる(そんなことはどうでもいい)。
14 《山》 4 《霊気拠点》 4 《ハンウィアーの要塞》 3 《崩壊する痕跡》 1 《海門の残骸》 -土地(26)- 4 《ハンウィアー守備隊》 4 《作り変えるもの》 4 《難題の予見者》 4 《栄光をもたらすもの》 3 《現実を砕くもの》 -クリーチャー(19)- |
2 《マグマのしぶき》 4 《蓄霊稲妻》 4 《焼夷流》 1 《焼けつく双陽》 4 《反逆の先導者、チャンドラ》 -呪文(15)- |
2 《エルドラージの寸借者》 2 《アクームの火の鳥》 2 《ギラプールの希望》 2 《マグマのしぶき》 2 《グレムリン解放》 2 《焼けつく双陽》 1 《力ずく》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 1 《炎呼び、チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
赤単の中速デッキである。赤単と記してはいるが、無色マナを必要とするカード=エルドラージを採用しているので、2色デッキのようなものでもある。1.5色ってところかな。《霊気拠点》《崩壊する痕跡》を用いて{C}と{R}の両方を得られるようにして、事故が起こりにくく作られている。『霊気紛争』環境でもこういったアプローチの色付きエルドラージデッキは見られたね。
このデッキは3つの要素からなっている。赤の誇る、軽くて扱いやすい除去・中堅クリーチャー・そして《反逆の先導者、チャンドラ》だ。
《焼夷流》《マグマのしぶき》の追放能力は環境に根強く存在する「マルドゥ機体」のようなデッキが採用している《屑鉄場のたかり屋》や、ゾンビデッキの《無情な死者》《戦慄の放浪者》といった蘇ってくるクリーチャーたちを追放してくれる。《焼夷流》はプレイヤーにも撃ち込めるので、最後の最後に投げつけてライフを削り取ったりプレインズウォーカーの処理にも使える、改めて便利なカードだ。
これらの除去で道を切り拓いて、毎度おなじみエルドラージ・ユニット(《作り変えるもの》《難題の予見者》《現実を砕くもの》はもはや1つのパッケージだ)が殴る。《栄光をもたらすもの》もあるので、突然除去しながら4点、なんていう奇襲もできる。赤単が5マナに到達した時には、《現実を砕くもの》とどちらが走ってくると覚悟した方が良さそうだ。
このデッキのクリーチャーで目立つのは《ハンウィアー守備隊》だ。3マナで1回攻撃すれば4点分の打点、3体のクリーチャーとしてカウントできる、なかなかにおかしなことが書いてあるクリーチャーで、除去でこじ開け守備隊をねじ込んでいって盤面を有利にしていけば自ずと勝利は舞い込んでくるだろう。この守備隊を活かすために《ハンウィアーの要塞》が採用されているのは言うまでもないだろう。無色土地であり、守備隊に速攻をつけて奇襲を可能とし、そしてマナに余裕がある後半ではおもむろに合体能力を起動して《のたうつ居住区、ハンウィアー》となる! 1回の攻撃で13点のダメージを叩き出すぶっ壊れエルドラージの誕生だ。
もちろん、ハンウィアー合体にはマナを必要とするのだが、それをサポートする役割も兼ねているのが《反逆の先導者、チャンドラ》だ。赤マナを2つ生産する能力が馬鹿にならない。先出ししておいたチャンドラから2マナ、あと土地が《ハンウィアーの要塞》を除いて6枚あれば手札から守備隊を出して即合体パンチが狙える。実際に使用してみると、土地が多めに採用されている&《作り変えるもの》がそれをもたらすのもあって、このムーブは少なからず仕掛けることができた。消耗戦の果てにこんなの決められたらたまったもんじゃないだろうな。
もちろん、チャンドラは他の能力だって強い。能力が4つもあるプレインズウォーカーがたったの4マナで得られるのだ。これを使わない手はないだろう。4枚しっかり採用して、現環境で最強とも言えるプレインズウォーカーの妙技を味わいたい。
『破滅の刻』ではエルドラージ戦略を後押しするような無色土地・各種砂漠が登場する。これはもう、この「赤単エルドラージ」をアップデートするしかないでしょう! 今から新環境へ向けて、ワクワクしているのだ。
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