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岩SHOWの「デイリー・デッキ」

2017.06.27

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:セレズニア・ヘイトベアーズ(モダン)

by 岩SHOW

 人は何のためにマジックをするのか。楽しむため、だと思う。少なくとも僕はそうだ。趣味なのだから、楽しむためのマジックをしたい。楽しむためには何が必要か。たくさんある。

 構築戦を遊ぶのであれば、まずデッキが必要になる。デッキは楽しむために作られるわけだが、そのために作られたデッキは果たして勝てるものなのか? ここが大事。ゲームは勝たなきゃ面白くない、勝てるから面白いというものであり、すなわちこのゲームを楽しみたいのであれば勝てるデッキを使えば良いという話になる。

 しかしそうではない、そうではないのだという意見も分かる。好きなカードやデッキを使って勝ちたい、というプレイヤーは少なからず存在する。マジックプレイヤーはわがままなのだ。そして本当に強いプレイヤーは、このわがままを現実のものとする、押し通す力を持っている。そんなプレイヤーに憧れの想い、畏敬の念を抱くのも自然なことである。

 競技マジックで活躍するプロプレイヤーの中にも、キャラクターを貫き続ける猛者がいる。クレイグ・ウェスコー/Craig Wescoeについては以前にも紹介したが、この男がまたやってくれた! 白絡みのアグロデッキが大好きで、白緑=セレズニア・アグロでプロツアーを制したこともあるウェスコーの、最新作がモダンで炸裂! 彼を王者へと導いた旧友たちも「集合」だ!

Craig Wescoe - 「セレズニア・ヘイトベアーズ」
グランプリ・ラスベガス2017 モダン 6位 / モダン (2017年6月17~18日)
2 《平地》
1 《森》
4 《寺院の庭》
4 《剃刀境の茂み》
4 《地平線の梢》
1 《低木林地》
2 《活発な野生林》
4 《幽霊街》

-土地(22)-

4 《貴族の教主》
4 《レオニンの裁き人》
3 《クァーサルの群れ魔道士》
2 《漁る軟泥》
2 《スレイベンの守護者、サリア》
2 《復活の声》
4 《ロクソドンの強打者》
4 《ミラディンの十字軍》
1 《オレスコスの王、ブリマーズ》

-クリーチャー(26)-
4 《霊気の薬瓶》
4 《流刑への道》
4 《集合した中隊》

-呪文(12)-
3 《ブレンタンの炉の世話人》
2 《永遠の証人》
4 《安らかなる眠り》
2 《石のような静寂》
1 《勇敢な姿勢》
1 《四肢切断》
2 《神の怒り》

-サイドボード(15)-
グランプリ・ラスベガス2017 モダン イベントカバレージ より)

 《復活の声》《ロクソドンの強打者》と、ウェスコーに勝利をもたらしたセレズニアのクリーチャーたちが再集結した「セレズニア・ヘイトベアーズ」だ。

 ヘイトベアーズについては何度か触れてきたが、ここで改めて説明を。《灰色熊》のような2マナ2/2(パワーのみ2の場合も)というスペックのクリーチャーをベア/熊と呼び、それら熊の中でも何かしらの制限をプレイヤーに課したり、特定のデッキに刺さる能力を持ったものを集めたデッキをヘイト(憎しみ)ベアと呼ぶようになった。モダンでは割と初期から存在するデッキタイプで、その時その時の流行りのデッキに対抗する形に微調整が施されながら、今日まで生き続けている。白単が主流ではあるが、ウェスコーが用いたのは白の妨害要素に緑の暴力性と展開力が足されたものである。

 《スレイベンの守護者、サリア》で呪文の連打を抑え込み、《レオニンの裁き人》はモダンに横行するサーチカードを許さない。《クァーサルの群れ魔道士》はアーティファクトとエンチャントが戦場に留まるのを許さず、《漁る軟泥》によって墓地を利用したコンボもシャットアウトだ。《復活の声》も除去耐性が高いだけのクリーチャーというわけではなく、対戦相手の打ち消し呪文などがコチラのターンで唱えられると地獄を見せつける立派なヘイトベアの一員だ。

 緑を足すことで暴力性と展開力が増すと書いたが、まずは暴力性から......これは説明不要かもしれない。《復活の声》から生み出されるエレメンタル・トークンはクリーチャーの数だけのパワー/タフネスと巨大、《漁る軟泥》は食べたクリーチャーの数だけ+1/+1カウンターを得て巨大、《ロクソドンの強打者》は捨てさせられても戦場に出て4/4と巨大! 白単では得られない、純粋な打撃力アップが緑のセールスポイントであることは間違いない。

 続いて展開力。《霊気の薬瓶》だけではどうしてももっさり、1ターン目にすることがないデッキとなってしまうが、そこを補い2ターン目に強打者に繋いだりする《貴族の教主》が加われば1マナ域8枚体制でゲームごとの動きもかなり安定する。これによる加速から4マナの《集合した中隊》に繋げられればベスト! 対戦相手の《汚染された三角州》起動などに対応して唱えて《レオニンの裁き人》を出したり、そういった妨害と展開を同時に行えればもう何も言うことは無い、最高だ。

 ゲームを足止めする力と、ライフをすかさず削り取る力が同居した「セレズニア・ヘイトベアーズ」。確かに流行りのデッキ、というわけではなく、どちらかと言えば玄人向けのデッキではあるが......流行りのデッキを喰える位置にはある。TOP8プレイヤー・プロフィールでウェスコー自身が「どのプレイヤーも黒を使っているから、《ミラディンの十字軍》が強い」と語っている。

 確かに、「死の影」系デッキが流行しているモダンにおいて、このクリーチャーは万夫不当の豪傑として暴れまわってくれることだろう。マイナーデッキにはマイナーデッキの強みがあるのだ。

 最後に、ウェスコーの同プロフィールでの言葉を載せて終わろうと思う。モダンをやる上で、忘れたくない言葉だ。

(あなたがモダンで最も楽しんでいることは?の問いに対して)

「誰もが自身のお気に入りの戦術で戦えること」

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