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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:モダンアーキタイプ特集 第5回「バーン」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:モダンアーキタイプ特集 第5回「バーン」

by 岩SHOW

 やあ、モダン・ウォリアー候補生諸君、おはよう。昨日はよく眠れたかな?そうか、「親和」対「タイタン・シフト」のサイド後のゲーム、先手後手50回ずつの後はさすがに疲れてグッスリか、大変よろしい。体力気力ともに回復したことだろう、筋肉痛にはさらなる負荷をかけてかわいがってやれ!

 マジックは経験が非常に重要なファクターだ、経験していないマッチアップで勝てないのはしょうがない。だからプロプレイヤーたちは時間というリソースを割いて反復練習するんだ。我々も練習あるのみ! さあ朝飯前にデュエルスペース50周、今日もモダン・ブートキャンプの始まりだ!

 君たちはグランプリ優勝を目指す......まあマネーフィニッシュ(※1)でも良いし、2日目進出でも良いが......何かしら目標があってグランプリに参加するものだと思っている。そうだろう? 熱くなっているんじゃないか?

(※1:主にグランプリやプロツアーにて、トーナメント終了時の最終順位が賞金圏内であることを指す。すなわち賞金獲得おめでとうってことだ。TOP8入賞時にはわざわざ「マネーフィニッシュです!」なんて言い方はしない、イヤミに聞こえるからな!)

 その情熱に応えられるデッキこそ、「バーン」だろう。マジック最古のデッキタイプの1つでもあり、赤が誇るダメージ呪文=火力を対戦相手に投げつけて20点のライフを削って勝つデッキの総称だ。モダンはカードプールが広く、歴代の優秀な火力が勢ぞろいだ。それらの弾丸を詰めて、毎ターン撃ちこんでいく! コマンドーの自覚があるのならば、このデッキを使っておけ! そうでない者は見学していなさい、火傷するからな!

 揃ったな、コマンドー候補生。早速だがリストを見ながら話そう。大体、各自がイメージしたそのままの構成だと思う。ほら、手に取ってみたまえ。

Andrew Ziccardi - 「バーン」
StarCityGames.com Invitational Qualifier Glassboro 優勝 / モダン (2017年4月15日)[MO] [ARENA]
2 《冠雪の山
2 《踏み鳴らされる地
2 《聖なる鋳造所
4 《樹木茂る山麓
4 《血染めのぬかるみ
2 《乾燥台地
2 《沸騰する小湖
2 《感動的な眺望所

-土地(20)-

4 《ゴブリンの先達
4 《僧院の速槍
4 《大歓楽の幻霊

-クリーチャー(12)-
4 《溶岩の撃ち込み
4 《稲妻
4 《ボロスの魔除け
4 《稲妻のらせん
4 《焼尽の猛火
4 《頭蓋割り
4 《裂け目の稲妻

-呪文(28)-
2 《コーの火歩き
3 《流刑への道
4 《破壊的な享楽
3 《突然のショック
2 《跳ね返す掌
1 《アタルカの命令

-サイドボード(15)-
StarCityGames.com より引用)

 どうだ、早く対戦相手に投げつけたくなってきただろう?

 このデッキについては特段語る蘊蓄もないというのが正直なところだ。とりあえず言えることは、デッキが美しい。土地以外のすべてのカードが4枚採用という、構成の美しさ(土地も綺麗な構成だな)。「バーン」というデッキは引きむらをなくしたいデッキだ。だから、似たカードを最大限の4枚まで投入するのが基本となる。

 このデッキに一発逆転の1枚挿しパワーカードなんかは仕込まれていない。ただ、手札を最大効率で消費して対戦相手のライフを削るだけだ。そういう意味で、最もストイックなデッキなのかもしれないな。

 火力カードというものは、1枚で3点以上ダメージを与えられるものが喜ばしい。最古の火力《稲妻》はその体現者だ。同じく1マナ3点だがソーサリーでプレイヤーにのみ有効な《溶岩の撃ち込み》、3マナだが実質1マナで運用できる《裂け目の稲妻》、この1マナ3点三羽烏が火力の一つの目安と言える。これらを押しのけて採用すべき火力呪文は、モダン環境にはないと言い切っても良いだろう。

 これらを採用して、残る部分はいずれも2マナの火力だ。2マナ火力の中でも最も大きいダメージを与えるのが《ボロスの魔除け》だ。2マナ4点は強烈、他のモードも一応使えなくはないが、まあ何も考えずに本体に撃ち込むべし! 対戦相手もこっちのライフを真面目に削りにくるタイプのデッキならば《稲妻のらせん》が役に立つ。ダメージレースにおいて、ライフ差を6点分つけられるカードの有用性は他に類を見ないものだ。

 同じくクリーチャーデッキに対して強いのが《焼尽の猛火》、上陸させながら用いれば実質2マナ6点火力だ! 上陸できないと悲惨な性能なので、不用意にフェッチランドを生け贄に捧げたり手札の不要な土地を置いたりしないように! 最後の1枚《頭蓋割り》は2マナで3点と効率は悪く見えるが、対戦相手のライフ回復を阻止するという「バーン」にとっては大変に意味のあるオマケがついており、狙撃手の腕が試されるものとなっている。

 使い捨ての火力だけでライフを削り切れるのであればそれに越したことは無いが、そうもいかない。単純計算でも7枚カードが必要な上に、相手もカカシじゃないからな。手札破壊や打ち消しで抵抗してくることだろう。そこでクリーチャーの力を借りるわけだ。火力と違って、継続的にダメージを叩き出してくれるからな。

 これらに与えられたノルマは1枚で4点! それ以上与えられれば御の字、もしそういかなくても対戦相手にカードを1枚以上使わせることはできるので、完全に損をしたというわけじゃない。《ゴブリンの先達》はかなり優秀な1マナクリーチャーで、4点以上のダメージを容易く与えてくれることだろう。《僧院の速槍》はパワーこそ先達に劣るが、果敢を誘発させてやればこちらも4点くらい軽々と与える。対戦相手もこのクリーチャーは少しブロックしにくいものだ。

 《大歓楽の幻霊》は実にいやらしい。放置するにも対処するにも痛みを伴う、赤の2マナ2/2の中でもトップクラスの強さを持った1枚だ。こいつらと火力を組み合わせて、ライフを削り切ってやれ!

このデッキに有効なサイドボード

 要するにライフが回復できるカード全般だ。《部族養い》なんて決められてみろ、火力3枚分を無効化されるんだぞ!? たまったもんじゃないな、そりゃ《頭蓋割り》のようなカードを使うわけだ。《コーの火歩き》も手も足も出なくなるな。《神聖の力線》なんかも本体に火力が撃ち込めなくなってしまうが、そういったエンチャント・アーティファクトの類であれば《破壊的な享楽》で叩き割ることができる。こういった対策カードだけで勝とうとせず、足止めしている間に速やかに勝負を決める、というのが対策する側に求められる姿勢だ。そういう意味じゃ《スラーグ牙》なんかはベストな1枚だな。

 《野生のナカティル》を採用した「ナヤ・バーン」と呼ばれる形もあるが、やることの基本は同じだ。最大効率で攻める、ということ。クリーチャーに火力を撃ちすぎると負けるし、その逆もまた然り。個人的にはプレイングが難しい傾向のデッキだと思っているが、立派なコマンドーであればその心配はない。そして君たちにはその素質が......ある。

 それじゃ昼飯前にメイン戦を30ゲームほどやっておくように。土地1枚だけで甘えたキープすると負けるってことを、身に染みるまでやって学ぶんだな! そらいけ!

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