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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:モダンアーキタイプ特集 第4回「ドレッジ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:モダンアーキタイプ特集 第4回「ドレッジ」
by 岩SHOW
モダン・ウォリアーの安息はグランプリが終わるその時までない。例え、墓に入ってもだ! 戦場だけに目を向けているようじゃまだまだヒヨッコ、君たちには墓地を利用するデッキというものを知ってほしい。このデッキの存在こそ、モダンというフォーマットがいかにスタンダードと異なるものなのかがよくわかる実例だ。今日のデッキは「発掘(ドレッジ)」! まずはデッキ名と同じキーワード能力の説明から入ろう。モダン・ブートキャンプ、今日も開幕だ!
発掘とは、『ラヴニカ:ギルドの都』にて登場し、その後『未来予知』にて1枚だけこの能力を持ったカードが作られた。マジックの歴史でも13枚のカードしか持っていない能力だが、新旧ラヴニカブロックに用意された各ギルドのどの能力よりもマジック史に与えた影響が大きい。これは大げさでも何でもなく、発掘とはそれほどインパクトのある能力だったんだ。
クリーチャーを中心に、インスタントとソーサリーも持っている常在型能力で、墓地にある時に意味がある。あなたがカードを引く場合、代わりにライブラリーから「発掘X」で定められた枚数分だけカードを墓地に置くことを選んでもよい、そうしたなら墓地にあるそのカードを手札に戻すという......要するに、ドローの代わりにこのカードをもう一度使う権利をやろうという能力だ。
特定のカードを何度も繰り返し使うことができるのは、デッキに同一カードを4枚しか採用できないマジック的にはありがたいことだが......どのカードもそれほど強いというわけじゃない。クリーチャーもそれほどスペックが良いわけじゃない。じゃあ、何でそんなカードがマジックに多大なる影響を与えたのかって? 墓地に大量にカードを送ることができるからだ!
《ゴルガリの墓トロール》は発掘6を持っていたので、これが墓地にある時にカードを引く場合は6枚も墓地を肥やすことができる。これは凄まじいぞ! この能力で《ナルコメーバ》が墓地に落ちれば戦場に出る。《恐血鬼》なんかの墓地から戦場に出るクリーチャーが落ちれば、それだけでアドバンテージ! さらにはフラッシュバックや《黄泉からの橋》のような墓地にある時に本気を出すカードなんかも捲れればウハウハ、そして次の発掘持ちもしっかり墓地に落ちて繋がるときたもんだ!
まだ見たことがなくても、その動きのヤバさが伝わってきたことだろうなぁ。じゃあここらで、一体どんなデッキなのかサンプルを見てみよう。
2 《山》 2 《踏み鳴らされる地》 1 《血の墓所》 4 《樹木茂る山麓》 3 《血染めのぬかるみ》 3 《銅線の地溝》 2 《黒割れの崖》 1 《泥濘の峡谷》 1 《ダクムーアの回収場》 2 《宝石鉱山》 -土地(21)- 4 《傲慢な新生子》 4 《恐血鬼》 4 《ナルコメーバ》 3 《ゴルガリの凶漢》 4 《秘蔵の縫合体》 4 《臭い草のインプ》 1 《憑依された死体》 -クリーチャー(24)- |
4 《信仰無き物あさり》 4 《安堵の再会》 4 《壌土からの生命》 3 《燃焼》 -呪文(15)- |
3 《思考囲い》 2 《暗黒破》 2 《稲妻の斧》 2 《自然の要求》 2 《古えの遺恨》 2 《集団的蛮行》 1 《骨までの齧りつき》 1 《ボジューカの沼》 -サイドボード(15)- |
これが現代の「ドレッジ」だ! 発掘持ちは合計12枚! これらをフル活用して墓地を肥やして、対戦相手をリソース(文字通り資源のことだ)の差で圧殺する......ドレッジ:ザ・ギャザリングとも呼ばれる別次元のマジックを挑む、なぁかなかにクレイジーなヤツだ。
ゲームの開始は《信仰無き物あさり》から開始したい。《傲慢な新生子》でも良いな。これらで発掘カードを墓地に落とすというベストアクションから迎えたいが......『カラデシュ』以降は《安堵の再会》から入っても良いぞ。このカードのおかげでこのデッキは強くなった......おかげで《ゴルガリの墓トロール》は今じゃ檻の中だ。
発掘カードを墓地に置き、ドロー呪文を唱える。ドローをすべて発掘に置換し、墓地にカードを投下していく。この時注意したいのは、発掘から発掘に繋がることを忘れないこと。初心者向けの話だからやり込んでるプレイヤーには退屈な話かもしれんが、まあ聞いてくれ。例えば《安堵の再会》を《臭い草のインプ》《ゴルガリの凶漢》をコストに捨てて唱えたとしよう。墓地にある発掘カードはこの2枚、まずは臭い草でカードを5枚墓地に......続いて《ゴルガリの凶漢》で4枚墓地に......と、ここまでの動きで墓地に3枚目の発掘カードが落ちた場合は、3枚目のドローをこれを戻すことに置換してもOKだ。
たまーに初めて回すんだろうなという人を見ていると、唱える時に「これこれ発掘、あとドローで」と宣言していることがあったので......念のため言っておこうと思ってな。だからこのケースで言うなら、1枚目のインプを発掘中に2枚目のインプをめくった場合、2枚目のドローはそっちを発掘したって構わないってことだ。1枚でも多く落ちる方が嬉しいし、《壌土からの生命》で土地を拾いたい場面もあるし、臨機応変に。発掘あるのに気付かずに通常ドロー、だけはダメだぞ!
発掘カードをグルグルと回していくと、《ナルコメーバ》《恐血鬼》《憑依された死体》が墓地に落ちる。《ナルコメーバ》は落ちた時点で、他2体は条件をクリアすれば墓地から戦場に出てくる。これらが戦場に出ると......のっそりとその後を《秘蔵の縫合体》が追いかけてくる。
これらの唱えずとも戦場に出るクリーチャーをあっという間に戦場に並べて、制圧! それがこのデッキに課せられたミッションだ。これらでペチペチ殴って適当にブロックしてダメージレースを制するってわけだ。この死んでも死んでも蘇るグレイブ・ウォリアーズを引き連れて、勝利を目指せ! 今回は入っていないが《災いの悪魔》を採用し、これを蘇生させて盤面のパワーをゴリッと上げるというアグレッシブな形もあるぞ。
発掘カードの中でも、積極的に唱えていきたいのが《壌土からの生命》。墓地に大量に落ちた土地を回収してマナ基盤を安定させるのももちろん強いが、純粋に手札が増えることもありがたい。《憑依された死体》で捨てるためのコスト、そして《燃焼》のフラッシュバック・コストとして、手札は何枚あっても足りないぞ! 特に《燃焼》はブロッカーを薙ぎ払うのにも、相手の残り数点のライフを削り切るのにも有用だ。バサッと手札を捨てて、本体にFire!の瞬間は何物にも形容しがたい爽快感があるぞ。
このデッキに有効なサイドボード
他にも書ききれていないが、要するに墓地対策でスコーンとやられてしまうってことだ。サイドボードにはこれらに対抗するための術をしっかりと取っておくこと。《古えの遺恨》《自然の要求》はほとんどのデッキ相手にサイドインする、君の親友となってくれることだろう。
《神々の憤怒》は何度でも蘇ることがウリのクリーチャーをまとめて灰にして追放してしまうのが辛いところだ。軸が違うメインデッキで勝って、サイド後2つのどちらかを墓地対策ラッシュという苦行に耐えてもぎ取る......どうやって勝つかって? それはプロややり込み勢の記事でも読んでみてくれ!
知識を蓄えながら、実戦練習も行って......後は皆の「ドレッジ」へのガードが下がることを祈るのみだ。ガチガチに固められちゃ、勝つのはかなり厳しくなる! すべてはタイミングだ! さあ、準備ができたら「《ナルコメーバ》誘発します」宣言を忘れずにする練習を開始しよう!
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