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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ANT(レガシー)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ANT(レガシー)
by 岩SHOW
『アモンケット』とは直接の関係は薄いが、大きく変わった環境がある。レガシーだ。
マジック24年の歴史が誇る広大なカードプール、そこより作り出される多種多様なデッキがもたらすそれぞれの楽しさ、まさしくマジック界の大いなる遺産!......という環境であれば良かったのだが、ここ最近は正直なところそうではなかった。個人的な体感では、5年ほどず~っとひとつのデッキが物凄く強くて、もうぶっちゃけると環境を支配していた。ええ、あれは独裁状態でしたよ。「奇跡コントロール」だ。
青白タッチで赤を用いるこのコントロールデッキは、無茶苦茶強かった。《師範の占い独楽》というマジックの歴史でも傑出したアーティファクトを軸に、これと相性の良い奇跡呪文、そして《相殺》を用いて対戦相手に何もさせない。特に2ターン目に《相殺》と並んでしまうと、以後何もできないまま負けてしまうことも少なからずあった、というか無茶苦茶あった。もう、どれだけアホなデッキを組んで楽しもうと思っても、何もさせてもらえなかった。
もうやめてくれ!そんな祈りの声が世界中から発せられたのだろうか。《師範の占い独楽》はこの春、ついにレガシーにて使用禁止となった。待っていた......この時を。奇跡という名の弾圧はもうないのだ。自由を! これでむちゃくちゃアホなコンボデッキを組んで、例え負けてしまっても「相手が独楽でトップを操作しているだけでリソースを失わずに負けた」なんてことがなくなるだけで満足だ。
全世界の奇跡ユーザーはお疲れ様。《行き詰まり》のようなカードを使ったコントロールを模索してもらえたらと思う。青絡みのコントロールデッキにも新たなアプローチが生まれるのであれば、環境にとっては良いことだと思うね。
独楽相殺ロックが環境から消失したことで息を吹き返したのは「ANT」だ。マナ加速、軽量ドロー、手札破壊などを連打してからの《苦悶の触手》で仕留めるチェーン・コンボである。以前にもこのコラムで取り上げたが、この度天敵だった《師範の占い独楽》がいなくなったということで、特にMagic Onlineでその数を増加しているので、改めて紹介しよう。
1 《島》 1 《沼》 2 《Underground Sea》 2 《Volcanic Island》 1 《Badlands》 4 《汚染された三角州》 4 《沸騰する小湖》 -土地(15)- -クリーチャー(0)- |
4 《ライオンの瞳のダイアモンド》 4 《水蓮の花びら》 4 《暗黒の儀式》 4 《強迫》 3 《陰謀団式療法》 4 《ギタクシア派の調査》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《陰謀団の儀式》 3 《燃え立つ願い》 3 《冥府の教示者》 1 《巣穴からの総出》 1 《炎の中の過去》 1 《苦悶の触手》 1 《むかつき》 -呪文(45)- |
3 《外科的摘出》 1 《陰謀団式療法》 2 《残響する真実》 1 《ぶどう弾》 1 《冥府の教示者》 1 《紅蓮地獄》 2 《巣穴からの総出》 1 《虐殺》 1 《炎の中の過去》 1 《苦悶の触手》 1 《粉みじん》 -サイドボード(15)- |
こうやって全容をまじまじと眺めると、そりゃ独楽相殺でハメられていたわけだわと気付く。0マナと1マナのオンパレードだもんな。以前はこのデッキは緑を必ず採用し、《突然の衰微》という独楽相殺への対抗手段をサイドに・時にメインに採用して、なんとかやっていたわけだが......そういった努力が不要となった今、緑をデッキから排してその多くが青黒赤の3色型となっているようである。まあ、そりゃそうだな。これにより枷を解かれて、以前のようなフルパワーの「ANT」に戻ったのではないだろうか。
このデッキは手札破壊で相手の手札からこちらのコンボを阻害する恐れのあるカードや、相手のコンボパーツを排除。同時にドロー呪文を唱えながら、手札にコンボ始動に必要なカードをかき集めていく。準備が整ったら手札破壊か《ギタクシア派の調査》で安全確認しつつ、マナ加速を連打して《むかつき》に繋げる。
《むかつき》でどんどんとカードをめくっていき、ライフの限りカードを手札に加えていく。そこから手に入れたマナ加速とドローを再び連打し、《苦悶の触手》をストーム9以上(相手のライフ次第で可変)で唱えて勝つ。
この《むかつき》ルートを取らなくても、他のルートがあるのがこのデッキの強さだ。《冥府の教示者》《燃え立つ願い》からのサーチで《苦悶の触手》か《巣穴からの総出》などに繋げて勝利するというものだ。
マナ加速を数枚使ってから《ライオンの瞳のダイアモンド》を複数枚設置、《冥府の教示者》を唱えて解決前にダイアモンドを起動して手札を空にしながらマナを得て、暴勇状態にしたらデッキから2枚目の《冥府の教示者》→3枚目の......というようにストームを稼いでからの《苦悶の触手》、同様にダイアモンドを砕きながら《燃え立つ願い》で《炎の中の過去》サーチ、などなど、相手のライフを吸い尽くすためのルートはいくつもある。
これは手に取って回し、実戦で己を磨き、その身にしみつけていくことで修練できるものだ。ものすごく簡単にコンボが決まることもあれば、細い細いわずかな勝ち筋をたどってやっとの思いで勝利を手にすることもある。「ANT」とはそういうデッキだ。マジックをしている感がとても強く、オススメのコンボデッキである。
ただ、強いデッキはマークされるのが世の常。《秘密を掘り下げる者》を用いるクロックパーミッションには不利である。そのクロックパーミッションが苦手なクリーチャーの数で押すようなデッキには滅法強い......されど同じクリーチャー主体デッキでも「Death & Taxes」のようなデッキは苦手で......と、メタゲーム上での立ち位置は割とハッキリしている。独楽相殺がなくなったことで前よりは勝ちやすくはなったが、その分対策が分厚くなって簡単には勝てないだろうなぁという印象だ。
これから使う人は、それを考慮した対策への対策を用意し、使わない人は自分のデッキと「ANT」との相性をちゃんと考えてサイドボードを用意する。これがレガシーをプレイする上での大前提になるだろうが......まあ、せっかく自由が還ってきたんだから、細かいこと考えずに使いたいデッキを使うのが良いかもしれないね! デッキ愛、示してやれってぇ!
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