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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ギフト・ストーム(モダン)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ギフト・ストーム(モダン)

by 岩SHOW

 既存のデッキがハイブリッドや変形サイドを搭載することで化けることがある。元々のデッキが尖っていればいるほど、特殊な勝ち方であればあるほど、それら別プランによる恩恵は多大なものとなる。

 やはり定番なのは、呪文メインで形成されたコンボデッキがクリーチャーを採用し殴るプランを選択すること。サイド後に真逆のベクトルで攻めてこられたら、そりゃ厳しい。レガシーの「ANT」は変形とまではいかないが、クリーチャー0のメインデッキに《闇の腹心》をサイドイン、対戦相手はこれを計算に入れねばならず、結果除去呪文をデッキから抜くことができないという事態に。「ANT」側からするとこれはオイシイ。対コンボにて無駄になるカードを引いてくれる確率が高まるからね。

 今日紹介するのは、完全変形サイド......というよりはサイド後にハイブリッドとなるコンボデッキだ。ハイブリッドというのはそのまんま雑種、掛け合わせになるということだ。まあ、百聞は一見にしかずということで。

Robert Tankin - 「ギフト・ストーム」
StarCityGames.com Invitational Qualifier Glassboro 優勝 / モダン (2017年3月19日)[MO] [ARENA]
3 《
1 《
3 《蒸気孔
4 《沸騰する小湖
4 《シヴの浅瀬
3 《尖塔断の運河

-土地(18)-

4 《遵法長、バラル
4 《ゴブリンの電術師

-クリーチャー(8)-
4 《血清の幻視
4 《手練
4 《捨て身の儀式
4 《魔力変
4 《深遠の覗き見
4 《発熱の儀式
1 《ぶどう弾
4 《けちな贈り物
3 《巣穴からの総出
2 《炎の中の過去

-呪文(34)-
2 《白金の帝像
4 《向こう見ずな実験
4 《稲妻
1 《払拭
1 《残響する真実
1 《商人の巻物
1 《拭い捨て
1 《塵への崩壊

-サイドボード(15)-
StarCityGames.com より引用)

 《遵法長、バラル》の加入により脚光を浴びた青赤のストームデッキだ。

 まずはメインから解説。モダンのストームは最近始めた人には馴染みのないものかもしれないが、一時代を築いた名デッキだ。青のドローと赤のマナ加速&ストーム呪文を用いて作られる、純然たるコンボデッキである。ストームとは、そのターンに唱えられた呪文の回数分だけ呪文のコピーを生み出すという能力。そのターンに唱えられた呪文の数をXとして、《ぶどう弾》はX+1点のダメージを与え、《巣穴からの総出》は(X+1)×2体のゴブリン・トークンを生成する。これらをもって20点削ろうというアプローチで組まれたデッキだ。

 このデッキは《遵法長、バラル》か《ゴブリンの電術師》を戦場に出すところから始まる。これらのクリーチャーはインスタントとソーサリーのコストを{1}軽くする。

 この能力を活かして、マナ加速はより効率よくマナを伸ばし、ドロー呪文はより連打しやすくなる。何せこれらがいると、《魔力変》はマナが増えて1枚ドローとかいう強烈な呪文に早変わり! 以前までは電術師4枚のみだったのがバラル込みの8枚体制になり、初手に来る安定感もマシマシ&2体以上並ばせることが容易になった。すなわち、デッキは大幅パワーアップ。これにより、これまではその重さで少々使いにくかった《けちな贈り物》を使用可能となった。「ギフト・ストーム」の誕生である。

 《けちな贈り物》は他のドロー系の呪文に比べると、その使い方が格段に難しい。4枚持ってきて、そのうち対戦相手が選んだ2枚が墓地に落ちて、残りが手札に入る。《捨て身の儀式》《発熱の儀式》《魔力変》《巣穴からの総出》みたいな内容で持ってきて、マナ加速2枚を渡されて手札の総出でゴブリンうじゃッ!みたいなのがよく使うパターン。

 あるいは、マナは十分に伸びたという状況ならば、《炎の中の過去》《巣穴からの総出》or《ぶどう弾》(あるいはマナ加速)2枚だけ持ってくるというのも手。これらが確実に墓地に落ち、《炎の中の過去》フラッシュバックでさらにストーム稼いでフィニッシュまで持っていく、なんてプレイも狙っていこう。選択肢が広く、状況によって全く異なる役割を果たす、楽しい良いカードだ。

 かつてはかなり難しいデッキだったが、先述の通りクリーチャーが8枚体制になり、随分と扱いやすくなった印象を受ける。ただ、ストームデッキはそのコンボの仕組み上、割と簡単に対策されてしまう。サイド後は苦戦必至。特に《虚空の杯》をX=2で置かれてしまうと......厳しい闘いとなる。他にも呪文に追加コストを要求するタイプのカードなど、苦手は山盛り。

 これに対抗するために、サイド後はストームに追加でもう1つの勝ち筋を投入してハイブリッドデッキに変形だ。その勝ち筋とは......ご覧の通り、《向こう見ずな実験》! これを唱えるとライブラリーからアーティファクトが公開されるまでめくり続ける。公開されたアーティファクトは戦場に出て、その後公開したカード1枚につき1点のダメージを受けるのだが......出てくるのが《白金の帝像》だった場合、これの能力によりライフは変動しなくなる。すなわち、ダメージを受けない!4マナで8/8を得つつ、不死身となるのだ!

 「バーン」を始めとしたライフ削りデッキはこれ1枚で沈黙。除去を抜いていたり、そもそも採用されている除去が《致命的な一押し》《突然の衰微》だったら......お疲れさーん! これが飛び出た瞬間に勝負アリ、というゲームもあるだろう。不死身の肉体を獲得後、改めて手札を整えてストームを決めても良い。意識の外から降ってきた帝像は、そう簡単に対処できるもんじゃない!

 2つの勝ち筋を得たことで、サイド後の弱点をカバーすることに成功した「ギフト・ストーム」。とにかくテクい! マナ・コストが軽くなった《捨て身の儀式》を連繋した時の気持ち良さとか、尋常ではない。ストームデッキに苦手意識を持っている人にもオススメ! とにかくバラルと帝像のおかげで勝ちやすくなっている。今後モダンでストームデッキと対戦した際には、サイド後にアーティファクト破壊を念のために忍ばせるのが吉か? ただ入れたところでスカされる可能性もある、ってのがまたやらしいよなぁ。

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