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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:マルドゥ機体(スタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:マルドゥ機体(スタンダード)
by 岩SHOW
まずはおさらいから。プロツアー『カラデシュ』、TOP8に残ったデッキタイプを思い浮かべよ。......ちゃんと8個浮かんだかな? あのTOP8に残ったデッキはいずれも面白いものだったが、個人的に「完成度高けぇ~」と思わず唸ったデッキはリー・シー・ティエン/Lee, Shi Tian(李詩天)の使用していた「マルドゥ機体」だ。
『カラデシュ』発売直後に登場した「白赤機体」を一歩先へと進化させたこのデッキは、マルドゥ(黒赤白)を名乗りつつもサイドボードに青まで取り入れた4色デッキで、それゆえに事故の危険性も高いものではあったが、それを天秤にかけても勝る爆発力・対コンボ性能を誇る素晴らしい構築だった。そのリストを改めて確認しよう。
3 《平地》 3 《山》 4 《感動的な眺望所》 4 《秘密の中庭》 4 《尖塔断の運河》 4 《霊気拠点》 -土地(22)- 4 《発明者の見習い》 4 《スレイベンの検査官》 4 《模範的な造り手》 4 《屑鉄場のたかり屋》 4 《経験豊富な操縦者》 3 《模範操縦士、デパラ》 -クリーチャー(23)- |
4 《蓄霊稲妻》 2 《無許可の分解》 4 《密輸人の回転翼機》 3 《耕作者の荷馬車》 2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文(15)- |
4 《儀礼的拒否》 4 《流電砲撃》 2 《断片化》 2 《空鯨捕りの一撃》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -サイドボード(15)- |
《密輸人の回転翼機》で捨てた《屑鉄場のたかり屋》をその能力で戦場に出す、という動きが美しい。《耕作者の荷馬車》はライフを削る高打点のアタッカーであり、色マナの安定にも貢献するナイス機体。ここから捻出された青マナで《儀礼的拒否》を唱えて《霊気池の驚異》を打ち消して殴り勝つ、というアプローチがプロツアーではうまくハマっての上位進出となった。見ていてワクワクするデッキだったなぁ。
この「マルドゥ機体」を始めとする機体ビートデッキ、果たして『霊気紛争』後の環境もブイブイ言わせるのか? 誰もが注目するところだったように思う。機体デッキの中心的カードであった《密輸人の回転翼機》が退場、入れ替わりでさまざまな機体がその姿を見せたが......もっとも比較対象として論じられたのは、同じ2マナの《キランの真意号》に違いない。
2マナで4/4飛行・警戒と回転翼機を上回るスペックを誇るも、伝説の機体であるため複数並べられない&搭乗3と起動する条件が厳しいというデメリットもしっかりと持っている。カードを引いて捨てる、いわゆるルーター能力を持たない代わりに、クリーチャーでなくプレインズウォーカーを用いてクリーチャー化させることができるという独自性を持つ。これを回転翼機の代わりに使った機体デッキは、強いかどうかはともかく現れることは間違いないというのが全世界の共通認識だった。
そして、その機体デッキはやはりStarCityGames.com Standard Openという舞台にやって来た。しっかりとTOP8入りという好成績を残しながら、だ。
3 《平地》 3 《山》 4 《感動的な眺望所》 4 《秘密の中庭》 4 《尖塔断の運河》 4 《霊気拠点》 -土地(22)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《模範的な造り手》 2 《発明者の見習い》 4 《屑鉄場のたかり屋》 4 《経験豊富な操縦者》 3 《異端聖戦士、サリア》 1 《模範操縦士、デパラ》 -クリーチャー(22)- |
4 《ショック》 4 《無許可の分解》 4 《キランの真意号》 2 《耕作者の荷馬車》 2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文(16)- |
3 《儀礼的拒否》 3 《断片化》 2 《領事の権限》 2 《石の宣告》 2 《蓄霊稲妻》 2 《霊気圏の収集艇》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 -サイドボード(15)- |
他にも細かい変更点はあるが、やはり目につくのは《密輸人の回転翼機》と4枚入れ替わって採用されている《キランの真意号》。伝説の機体であるのは複数並ばないからデメリットと思っていたが......2ターン目にこれを確実に置いてから3ターン目起動と動くのを信条とするのであれば、妥協なく4枚採用!ということだ。2枚目以降を引いてしまってもお釣りがくるだけの破壊力があるということである。
そもそも、機体デッキには元からパワー3が多い。《模範的な作り手》《屑鉄場のたかり屋》《経験豊富な操縦者》《模範操縦士、デパラ》と、これらを用いれば真意号の搭乗3も苦も無く達成できるというわけだ。《経験豊富な操縦者》《模範操縦士、デパラ》により5/5となった真意号で3ターン目に攻撃......とか書いてるだけで怖くなってきたぞ。
《蓄霊稲妻》もこのデッキの定番除去であったが、《ショック》と交代。与えるダメージ値は減少しても、1マナで使えてプレイヤー本体にも撃ち込める火力を優先した形となる。こういうビートダウンデッキだと、ここぞというところのトップデッキがクリーチャー限定の火力で、最後の数点を削りきれずに負け......なんてことも少なくない。より攻めのカードに置き換えることで、功を奏することもあるだろう。まあここはお試し枠感もあるので、皆も2枚ずつで使うなどいろいろ試して自分に合ったバランスを見つけてくれればなと。
ついぞこの間まで《模範的な作り手》とともに機体デッキの1マナ圏を支えていた《発明者の見習い》は枚数を2に減らされている。以前はこのクリーチャーでも《密輸人の回転翼機》に飛び乗れたが、《キランの真意号》だとそういうわけにもいかず。見習いと、《模範操縦士、デパラ》の枚数が減り、代わりに採用されているのが《異端聖戦士、サリア》。一人で真意号も《耕作者の荷馬車》も乗りこなし、対戦相手の展開を厳しく足止めしてダメージレースを一歩先んじさせてくれる。シングルシンボルというのもデパラに対して勝っている部分であり、とりあえず白マナ1つさえあれば多少色マナが偏った引きをしてもなんとかなる、というところだ。
サイドボードには相変わらず《儀礼的拒否》が採用されており、アーティファクトを用いたコンボ系のデッキへの耐性を高めてある。対コンボデッキと言えば、前回紹介した「Copycat」を強烈に意識したサイドカードが《領事の権限》。
対戦相手のクリーチャーはタップ状態で戦場に出る&対戦相手がクリーチャーを戦場に出すたびにライフ1点回復という能力により、《サヒーリ・ライ》と《守護フェリダー》による無限トークンコンボを完封するエンチャントだ。『カラデシュ』の時は存在感が薄かったカードも、こうやって後発のセットによりスポットライトを浴びることがあるのがマジックの良いところ。このカードはわずか1マナと、他の動きを阻害しない点からも今後白いデッキ全般で使われることになりそうな1枚だ。要注目。
同じくサイドボードの《霊気圏の収集艇》は、同型の《キランの真意号》をガッチリ受け止める良スペックの持ち主。絆魂もガンガンライフを狙ってくるようなデッキが流行れば活きてくるので、このカードはメインで使われてもおかしくはない1枚だ。搭乗1なのも素晴らしい。
前環境から機体デッキを使い続けているプレイヤーには、このデッキの勝利は朗報である。環境初期、そこに住まうデッキが定まり切っていない世界では、デッキの習熟度が物を言う......と思うので、機体ユーザーは今のうちにドルルンとエンジン点火して走り抜けよう!差を開くなら今だッ(今週末に環境が進化して別世界になっている可能性もあるけどね)。
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