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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:エスパー・パンハモニコン(スタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:エスパー・パンハモニコン(スタンダード)
by 岩SHOW
《パンハモニコン》。このカード名、いかにも固有名詞っぽくて伝説感があるが、しかし実際は普通のアーティファクト・カード。なぜかというと、《パンハモニコン》とは実在する楽器の名称であるからだ。日本語ではパンハルモニコンと表記する方が一般的であるようだ。パンハルモニコンは1805年にドイツにて開発された、いわば自動オルガンだ。ベートーヴェンもこの楽器のための作曲を行ったらしい。現物を拝んでみたいが、どうやらもう現存しているものはないようだ......残念(見つけられなかっただけかもしれない)。
『カラデシュ』の世界の《パンハモニコン》は、イラストを見る限りとてつもなく大きい。そしてその音色は聴き手それぞれによって変化するようである。原理はわからんがその見た目に説得力がある。それぞれのクリーチャーは自分に合った音色で心地よく能力を2倍誘発してくれるわけだ。アーティファクトも2倍誘発なのは......よくわからない。とにかく音楽ってすごい! 今日は《パンハモニコン》デッキを紹介しよう!(勢いは大事)
2 《平地》 4 《島》 2 《沼》 1 《荒地》 1 《大草原の川》 1 《港町》 1 《窪み渓谷》 2 《乱脈な気孔》 4 《霊気拠点》 2 《発明博覧会》 1 《ウェストヴェイルの修道院》 4 《進化する未開地》 -土地(25)- 4 《光り物集めの鶴》 4 《反射魔道士》 3 《変位エルドラージ》 3 《巡礼者の目》 3 《難題の予見者》 2 《雲先案内人》 3 《害悪の機械巨人》 2 《希望を溺れさせるもの》 -クリーチャー(24)- |
2 《本質の変転》 4 《予言のプリズム》 4 《パンハモニコン》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 -呪文(11)- |
1 《難題の予見者》 1 《保護者、リンヴァーラ》 1 《膨らんだ意識曲げ》 3 《断片化》 2 《鑽火の輝き》 2 《精神背信》 2 《苦渋の破棄》 2 《罪人への急襲》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 -サイドボード(15)- |
とにかくクリーチャーとアーティファクトを戦場に出して能力を誘発させ、《パンハモニコン》で2倍お得モードを味わおうというコンセプトのもと組まれたデッキだ。どの色で組むか、悩ましくはあるが......
やはりCIP(戦場に出た際に誘発する能力の俗称。現在はETBとも。いつか用語集でも書きたいね)持ちクリーチャーの中で現スタンダードにおける最強の1枚は《反射魔道士》であるということは揺るぎようのない真実である。これが《パンハモニコン》と絡むと......クリーチャーを2体バウンスして、それと同名のカードを次のターンに唱えられなくする。こんな無茶苦茶なことをされて勝てるデッキなんてそうそうないぞ。これで《パンハモニコン》デッキ=青白を使うということが決定するわけだ。
青と白のCIP持ちとなれば、『カラデシュ』のカードは魅力的。《光り物集めの鶴》は肝心要の《パンハモニコン》を探すことを手伝ってくれるし、見つけた後はライブラリーを8枚掘り進めて後述の必殺技へと繋げてくれる。本人のスペックも1/3飛行と、《無私の霊魂》や昂揚前の《残忍な剥ぎ取り》をキャッチしてくれるので、見た目以上に活躍してくれることだろう。
《雲先案内人》も能力を倍にすると強烈だ。ただでさえ長くマジックをやっている世代にとっては《熟考漂い》にライフ回復がついてるやん!とビックリしたものだが、4枚ドロー4点回復となるともう「カラデシュすごい!」と狂喜乱舞だ。4マナの《パンハモニコン》を設置したターンはそれで終わり、ということが多いかと思う。この隙に失ったライフを補填できる案内人は、引き込んだカードを使用するための時間をしっかりと稼いでくれるナイスな1枚だ。
案内人や鶴で引き込んだカードを使用するターンを作り出してくれるカードとしては、《難題の予見者》もそれに含まれるか。対戦相手の手札を2枚抜き、重くて強力なカードを繰り出そうかというデッキ相手にはぶっ刺さることだろう。単純に本人のスペックも高く、戦闘を行えるのもポイント。
同じく無色のクリーチャーである《巡礼者の目》は引いたカードを使うためのマナをしっかり確保してくれる。どちらも《パンハモニコン》を設置する前でも十分に仕事をするカードなのもポイント高い。《予言のプリズム》も最低限カード1枚分の働きをしつつ、色マナサポートをするが......これは《パンハモニコン》を添えられるのであれば序盤に置かずにそれを優先した方が良い結果に繋がりそう。
フィニッシュを務めるのは《希望を溺れさせるもの》。モダンでも戦場に出さえすれば支配的にゲームを進めることが可能になるこの1枚、エルドラージ・末裔・トークンが倍の4体出てくるとなるともう対戦相手は血の気が引くってやつだ。数で圧殺してよし、末裔を投げつけてよしの完全生命体の誕生だ。
《光り物集めの鶴》で触れた必殺技についてもここで述べよう。まず、《害悪の機械巨人》だ。メインデッキにはこのカードのために黒が足されている。
クリーチャーを1体破壊し、それのタフネス分ライフ回復というCIP能力を2回誘発させれば...大抵の局面は覆ることだろう。対戦相手の攻める気持ちもぽっきりと折れてしまいそう。かつ5/4威迫で殴っていくことができる=勝利へまっしぐら!これは色を足してまでダブルシンボルのカードを使う気持ちもわかる。今のスタンダード環境のマナベースならそれも難しいことじゃないしね。
《領事の旗艦、スカイソブリン》もどでかい必殺技だ。3点砲×2は大抵のクリーチャー・プレインズウォーカーを沈める力がある。《パンハモニコン》とスカイソブリンのコンボなんて大仰なものだと思われるかもしれないが、ゲームに勝てるのであればスタイリッシュとは真逆の腕白なことをやっちまえば良い!(グルール的発言)
さらにこれらのクリーチャーを使いまわすのが《本質の変転》と《変位エルドラージ》。《変位エルドラージ》+《希望を溺れさせるもの》+《パンハモニコン》で、対戦相手のクリーチャーはもう二度と戦闘を行うことはできない。無限に増殖する末裔で踏みつぶしてやれ!
《パンハモニコン》は今日紹介したエスパー(白青黒)以外にさまざまなカードとの組み合わせで火を吹く高いポテンシャルを持った1枚で、今後も『霊気紛争』『アモンケット』『破滅の刻』......と長く続くスタンダード環境にて続々と相方を獲得していくことだろう。君だけの音色を見つけ出せ!
追記:今回の原稿を書き終わったタイミングで......昨シーズン異常なまでの強さを見せつけたセス・マンフィールド/Seth Manfieldがグランプリ・デンバー2016で《パンハモニコン》デッキを用いてTOP8入賞!こちらは黒という追加色はなしで、より安定した動きを狙ったものになる。同トーナメントのTOP64以内にもパスカル・メイナード/Pascal Maynardらが入賞しており、このデッキのポテンシャルを見せつけることとなった。
《パンハモニコン》orエルドラージ+他のクリーチャーを同時展開するために《見捨てられた神々の神殿》を採用しているリストも見られた。こりゃ今後のスタンダードはオーケストラ大戦になりそうな予感......。
9 《平地》 5 《島》 1 《荒地》 4 《大草原の川》 2 《ウェストヴェイルの修道院》 4 《進化する未開地》 -土地(25)- 4 《スレイベンの検査官》 4 《光り物集めの鶴》 4 《反射魔道士》 3 《変位エルドラージ》 1 《巡礼者の目》 1 《難題の予見者》 4 《雲先案内人》 2 《希望を溺れさせるもの》 -クリーチャー(23)- |
4 《密輸人の回転翼機》 2 《停滞の罠》 4 《パンハモニコン》 2 《領事の旗艦、スカイソブリン》 -呪文(12)- |
2 《金線の使い魔》 1 《難題の予見者》 2 《保護者、リンヴァーラ》 3 《断片化》 2 《霊気溶融》 1 《鑽火の輝き》 1 《否認》 2 《呪文萎れ》 1 《即時却下》 -サイドボード(15)- |
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