READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:青赤電招(スタンダード)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:青赤電招(スタンダード)

by 岩SHOW

 『カラデシュ』がMagic Onlineにてリリースされてから、ドラフトをコツコツと遊んでいる。まだまだ練習が足らず、なかなか全勝を重ねるなんてことはできていないが......このドラフト環境では、エネルギーという新たなメカニズムを軸としたデッキを目指してカードをピックしていくのがとても楽しい。特に《電招の塔》は最高だ。エネルギーを5点消費して3点ダメージ! ゲーム後半でエネルギーをじゃんじゃんこれに注ぎ込んでクリーチャーとプレイヤーに雷を落としていくのは快感極まる。

 この《電招の塔》、ドラフトでやたらと引くので毎度のように青赤エネルギーデッキを組んでしまうのだが......その度に「構築でも使えないかな」とふと思うのである。しかし形が思い浮かばない。そうこうしているうちに日本を飛び立ちハワイに着き、プロツアー当日を迎えてみると......このアーティファクトを用いたデッキがあるではないか。

 ピエール・ダジャン/Pierre Dagenがこのプロツアーに持ち込んだのは、大量のインスタントとソーサリーで《電招の塔》をフル回転させる、そのビジュアルも実にカッコいい「青赤電招」だ。

Pierre Dagen - 「青赤電招」
プロツアー『カラデシュ』 5位 / スタンダード (2016年10月14~16日)[MO] [ARENA]
6 《
6 《
4 《尖塔断の運河
4 《さまよう噴気孔
1 《高地の湖
3 《霊気拠点

-土地(24)-

1 《奔流の機械巨人

-クリーチャー(1)-
4 《稲妻の斧
3 《流電砲撃
4 《予期
4 《蓄霊稲妻
4 《棚卸し
3 《苦しめる声
4 《電招の塔
4 《癇しゃく
3 《虚空の粉砕
2 《天才の片鱗

-呪文(35)-
2 《儀礼的拒否
1 《流電砲撃
4 《氷の中の存在
2 《否認
4 《霜のニブリス
1 《天才の片鱗
1 《奔流の機械巨人

-サイドボード(15)-

 実況時に届いた資料に目を通すと、次なるフィーチャーマッチには「Blue Red Spells」なるデッキが登場するとのこと。はは~ん、前環境でも存在した《熱錬金術師》や《熱病の幻視》を用いた、ドロー&バーンなデッキだな......とか思っていたら、その実態が想像図と全く異なるもので驚いたものである。こういう予想の裏切られ方は実に嬉しく、楽しいものだ。

 デッキとしては、コントロールに分類される。《苦しめる声》《棚卸し》《天才の片鱗》《予期》でカードを引き込み、対戦相手が展開してくるクリーチャーは《流電砲撃》《癇しゃく》《蓄霊稲妻》《稲妻の斧》で除去していく。

 少しでもアドバンテージを獲得できるように、《苦しめる声》《稲妻の斧》でカードを捨てる際は《棚卸し》《癇しゃく》をそのコストに充てるようにしたい。手札が尽きてしまうのはこのデッキにとって何よりも恐ろしい状況であるからだ。これらの呪文に加えて《虚空の粉砕》で対戦相手のキーカードを打ち消し、やりたいことを徹底してさせないという動きを取っていく。それを実行するにはマナを必要とするので、土地もしっかりとドローすることが肝要だ。

 そうこうしていれば、《電招の塔》を引く・あるいはそれを戦場に出す余裕のあるターンが訪れることだろう。戦場に設置したら、後は......これまでと同じように、インスタントとソーサリーを用いてゲームをコントロールしていく。そうすれば勝手にエネルギーが貯まっていくので、塔を用いて対戦相手にダメージを与えていこう。盤面を掌握したのならば、《さまよう噴気孔》もクリーチャー化して殴りにいって、対戦相手のライフを削り切ろう。

 メインデッキのフィニッシャーは上記の2種類と1枚だけの《奔流の機械巨人》のみであるが、サイドボード後は追加の機械巨人に《氷の中の存在》、そして《霜のニブリス》を用いることができる。

 特筆すべきはニブリスの強さだ。『異界月』を用いたリミテッドにおけるこのカードの強さは圧倒的なものであったが、此度そのカードパワーは構築でも通用することが証明された。対戦相手のクリーチャーをタップしてアンタップを阻害する能力を誘発させるのは、このデッキでは容易いこと。タフネスが高く火力では除去することが困難な《金属製の巨像》なんかもカチンコチンに凍らせてしまえばどうということもなく。この能力で盤面を制圧しながら、3/3飛行を果敢でさらにサイズアップさせてダメージレースを制するのだ。

 対戦相手が少数精鋭のクリーチャーで攻めるタイプのデッキだった場合はこのニブリスを、軽量クリーチャーを多数、面で展開してくるデッキだった場合は《氷の中の存在》と、それぞれの適正に合わせた運用ができるのは素晴らしい。

 勝利まで時間のかかるデッキであり、ちょっとしたミスが取り返しのつかないタイプのデッキである。使用するのは決して容易ではないが、青と赤の呪文で対戦相手をいつまでも翻弄し続けたい、根っからのイゼット団員にはオススメのデッキだ。こういうデッキでフィーチャーマッチで勝利し、大きな結果を残すというのは、この上なくカッコいいぞ!

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索