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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ティムール・マーベル(スタンダード)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ティムール・マーベル(スタンダード)

by 岩SHOW

 人は驚きを求める。平凡な日常を吹き飛ばしてくれるような、とびっきりのヤツであればなお良し。映画やテーマパークにそういったものを求めるのは自然の摂理だ。驚きは喜びである。日々新鮮な体験、驚きに満ちた生活を送りたいものである。「このアジの干物うんまぁぁぁ」みたいに、朝からオーバーリアクションで今日も一日ゴキゲンだ。

 僕はマジックにも驚きを求めてしまう。とんでもないことが書いてあるカードをなんとか使ってやりたい、その驚きに満ちた能力を爆発させて、対戦相手も驚かせてやりたい......という願望が先行し、まともなデッキ構築を妨げてしまうことも多々ある。

 『カラデシュ』において、最も驚きに満ちたカードは......やはり《霊気池の驚異》だろう。

 初めて公開されたエネルギー・カウンターに関係するカードであり、そのテキストに描かれた独特なシンボルを初めて目にした時はたまげたものだ。マナではなく{E}{E}{E}{E}{E}{E}を支払うことでライブラリーの上から6枚めくって、その中にある呪文をすべて唱えてOKという能力もド派手なもので......使いたくなるよねぇ。このアーティファクト自体は4マナなので、4ターン目までにエネルギー・カウンターを6つ得ることができればデッキになりそうだ。というわけで今日はそんな思考を実行に移した「ティムール・マーベル」をご紹介!

Daniel Weiser - 「ティムール・マーベル」
StarCityGames.com Standard Open Indianapolis 25位 / スタンダード (2016年10月1~2日)[MO] [ARENA]
6 《
1 《
1 《
4 《植物の聖域
2 《獲物道
4 《尖塔断の運河
4 《霊気拠点

-土地(22)-

4 《絶え間ない飢餓、ウラモグ
4 《約束された終末、エムラクール

-クリーチャー(8)-
4 《霊気との調和
4 《発生の器
4 《安堵の再会
4 《ガラス吹き工の組細工
4 《織木師の組細工
3 《蓄霊稲妻
3 《コジレックの帰還
4 《霊気池の驚異

-呪文(30)-
3 《払拭
3 《侵襲手術
3 《撃墜
4 《否認
1 《蓄霊稲妻
1 《コジレックの帰還

-サイドボード(15)-
StarCityGames.com より引用)

 《霊気池の驚異》を用いて4ターン目に《約束された終末、エムラクール》または《絶え間ない飢餓、ウラモグ》を叩き付けてビックリさせちゃおうデッキである。こんな序盤にターンを乗っ取られたりパーマネント2枚追放されたりした上、13/13飛行や10/10破壊不能が立ち塞がるって......そんなん勝てるわけないやん!と思ってしまうことだろう。歴代スタンダードを見てもこれほどのブン回りを見せるデッキはそうそうない。気持ち良いにも程がある!

 驚異的なムーブを披露するにはエネルギーが必要である。軽量エネルギー獲得呪文を、このデッキはこれでもかと19枚も採用! これぞカラデシュの科学の力だ! それぞれにエネルギーを得る以外の役目ももちろんあるので、それらを見ていこうか。

 《氷の橋、天戸》の強化版だと話題にもなった《霊気拠点》は、いざという時は得たエネルギーを色マナに変換できる便利な土地だ。ただ土地を置くというマナを消費しないアクションでエネルギーを得られるので、4ターン目にこれをセットして6個目のエネルギーを得つつ《霊気池の驚異》を唱えるなんて動きが可能だ。

 同じく色マナ安定に貢献するのは《霊気との調和》。3色デッキの色マナを安定させつつ、1マナでエネルギーを2つゲット。このデッキで土地が3枚で止まることほど嫌なこともない。土地3枚《霊気池の驚異》とこの《霊気との調和》みたいな手札でゲームを開始したいところだ。

 組細工サイクルからは青と緑のものがチョイスされている。《ガラス吹き工の組細工》は2マナでエネルギー2つと、驚きの占術2!ドローではないとは言え、コンボデッキにおけるドロー操作はこの上ないもの。手札には引きたくないエムラクール&ウラモグを上手く避けつつ、《霊気池の驚異》などその時に必要なカードを探せる器用な1枚だ。《織木師の組細工》はライフ3点とエネルギー3つ。占術2ほど強力ではないが、除去の薄いこのデッキで3点回復は五臓六腑に染み渡るものだ。

 また、組細工は3マナ払って生け贄に捧げることで戦場に出た時に得られる効果をおかわりできるのだが、ということは《織木師の組細工》はこれ1枚で《霊気池の驚異》の起動まで持っていけるということだ。これは頼もしい。

 《蓄霊稲妻》はこのデッキでは2マナで大抵のクリーチャーを焼き払う除去となり、エネルギー版《暗黒の儀式》的役割も果たす便利な1枚。これは今後エネルギー関係のデッキには、他に赤いカードがなくともタッチで採用され続けるんじゃないかなと思う。こういう使い勝手の良いカードがキチンと用意されているのは嬉しいね。

 《蓄霊稲妻》とともに除去の役目を担うのは、お馴染みの《コジレックの帰還》だ。これが墓地にある状態で「驚異!エルドラージ降臨」コンボをかませばすべてのクリーチャーに5点ダメージのオマケがついてくる。《安堵の再会》でコンボパーツを探しに行くついでに墓地に落としておくと良いだろう。

 最新セットの神話レアを中心に作り上げられた全く新しいデッキということで、新環境のデッキの中でも頭ひとつ抜けたワクワク感が詰まっている「ティムール・マーベル(青赤緑の驚異デッキ)」。『カラデシュ』のキャッチコピー「明日を発明ひらけ」に対するアンサーデッキである。君も負けずに、明日に繋がるデッキを開発だ!

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