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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Lands(レガシー)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:Lands(レガシー)
by 岩SHOW
マジックを始めたばかりのころ......僕の場合、教えてくれる人がいなかったので、デッキは自分で作り出すしかなかった。その際に大いに助けになってくれたのが構築済みデッキ。当時は貴重だった基本土地がまとめて手に入るし、大体これぐらいの枚数土地を入れるものなんだなということをそのリストから学ぶことができた。それでも《堕落》をフィニッシャーにしていることから《沼》×30なんてデッキでプレイしていたりしたなぁ。
土地は24枚を平均に、自分のデッキが何ターン目まで連続で土地を置きたいかでこれを増減させる。こういう基本的なことを教えてくれる人があのころいてくれたら......まともなマジックをプレイするまでに要した長い長い遠回りを省略できたのかもしれない。まだまだプレイヤー人口が少なかった時代から遊んでいる方々は、一度は30枚を超える土地多すぎデッキをプレイされたことがあるのでは。
土地多すぎデッキと言えば、最近では30枚を超える土地を採用していることが当たり前、それを売りにしているデッキが存在することはすっかり周知の事実になっていることかと思う。が、改めて振り返ってみるとしよう。このコラムの役目はそういうところだからね。今日紹介するデッキは「Lands」だ。
1 《森》 2 《Taiga》 1 《新緑の地下墓地》 1 《吹きさらしの荒野》 1 《樹木茂る山麓》 4 《不毛の大地》 4 《リシャーダの港》 3 《イス卿の迷路》 1 《Glacial Chasm》 1 《The Tabernacle at Pendrell Vale》 1 《カラカス》 3 《暗黒の深部》 4 《演劇の舞台》 2 《平穏な茂み》 1 《ボジューカの沼》 1 《裂け岩の扉》 4 《燃え柳の木立ち》 -土地(35)- -クリーチャー(0)- |
4 《モックス・ダイアモンド》 4 《輪作》 4 《踏査》 4 《ギャンブル》 1 《マナ結合》 4 《壌土からの生命》 4 《罰する火》 -呪文(25)- |
2 《不屈の追跡者》 1 《世界を壊すもの》 3 《クローサの掌握》 4 《抵抗の宝球》 3 《虚空の杯》 1 《すべてを護るもの、母聖樹》 1 《暗黒の深部》 -サイドボード(15)- |
デッキリストに燦然と輝く土地(35)。平均的なデッキより10枚ほど多く、これじゃ引いても引いても土地ばっかり!なんて事態になりそうと心配しかねないが、このデッキでは望むところ。レガシーが誇る土地を大量に並べて勝利を目指すのだ。
まずは土地から見ていこう。マナ基盤として、即ち本来の土地としての役目を与えられている土地は合計10枚。その他の土地はマナも生み出しはするが、特殊な仕事を主に行う。
まずレガシーというフォーマットにおいて最もメジャーな基本でない土地と言えば......《不毛の大地》に違いない。
基本でない土地を破壊する能力は、マナを拘束する戦略を取るデッキを多数生み出し、また土地を用いた危険なコンボに対する抑止力としても頼れる存在として、レガシーというフォーマットそのものを支えている。この土地破壊土地に加えて、「Lands」では《リシャーダの港》も対戦相手の土地を縛り上げる。
オールドファンにはおなじみの1枚、対戦相手のアップキープに土地を1枚タップして、メインフェイズでマナを使えなくさせる。地味ながら、その1マナがゲームを決定づけるレガシーにおいては最高の嫌がらせを毎ターン行ってくる恐るべき土地だ。これら2種類の土地で、対戦相手のマナ基盤をズタズタに引き裂く、というのがこのデッキの主たるプランである。
マナ基盤を封じようとも、早いターンに飛び出してきたクリーチャーに対処できなければそれに殴られ続けて緩やかな死を迎えることになる。そのため、このデッキには自衛を行える土地も採用されている。
《イス卿の迷路》は攻撃クリーチャーを迷い込ませて攻撃そのものをなかったことにしてしまう。《Glacial Chasm》は戦場に出すのに土地を1つ生け贄に捧げねばならず、それを維持するために累加アップキープで毎ターン2点、4点とライフを支払わなければならないが、これをコントロールしている限る受けるダメージはすべて軽減され0となる。いろいろとすごい土地だが、後述の呪文を用いて悪用すれば「バーン」などのダメージで勝利するデッキは完封してしまうこともある。
名前の長い土地ということで有名な《The Tabernacle at Pendrell Vale》はクリーチャーを維持するためにアップキープにマナの支払いを要求してくる。上述のマナ否定戦略を担う土地と合わされば、クリーチャーで勝利するタイプのデッキに地獄を見せてやることもできる。《カラカス》も伝説のクリーチャーを手札に戻してしまうことでそれらに仕事をさせない、優秀な妨害能力持ちだ。
これらの土地で対戦相手をゆっくりと締め上げたら、あとは無抵抗なところに《暗黒の深部》×《演劇の舞台》コンボを決めて勝利しよう。20/20飛行・破壊不能という超絶スペックのマリット・レイジ、最近では『From the Vault:Lore』にその姿が描かれたトークンが再録されたことで入手しやすくなったのも嬉しい限り。
他の土地は、墓地にある際にマナ能力を土地に与える《裂け岩の扉》はここまで紹介してきたマナ能力を持たない土地をより使えるものにしてくれるありがたい1枚。《ボジューカの沼》はレガシーにはびこる墓地利用デッキを封じ、《平穏な繁み》は......これ単体で語ってもしょうがないのでそろそろ呪文の方を見ていこう。
まずは土地に関する呪文から。《踏査》は土地だらけのこのデッキの展開を大幅に助ける。《不毛の大地》で相手の土地を割りつつこちらは勝利に向かってコンボパーツを展開、なんて動きを可能にしてくれる。《マナ結合》も1ターン目に戦場に出せれば手札の土地をすべてばら撒いてしまえるという、安定性には欠けるがとんでもない爆発力を生み出してくれるエンチャントだ。
さて、毎ターン複数枚土地が置けるようになって...それでも、1ターンに1枚しかカードを引かなかったらこれらのエンチャントはだんだんと役目を果たさなくなってくるのでは?とお思いの皆さん。実はこの複数セットランドがいつまでも終わらないのが「Lands」というデッキの強みだということを今日は認識していただければと......ここで紹介するのが《平穏な繁み》と併せて紹介したかった《壌土からの生命》だ。
発掘で墓地に土地を落とし込み、それをこのカードで回収し、そして展開する。《不毛の大地》を毎ターン回収しているだけで「エルドラージ・ストンピィ」に勝利することもできるだろう。《ギャンブル》はこのカードとの相性抜群だ。《壌土からの生命》や土地をサーチしてきて、それが墓地に落ちてしまってもすぐに回収してしまえる。
この《壌土からの生命》を《平穏な繁み》のサイクリングのドローを発掘に置換して回収しまくってアドバンテージの格差を拡げていく......というのが「Lands」の戦略であり、現レガシーではこれがとんでもなく強いのである。土地を置くという妨害されにくい方法でアドバンテージを得てくるのだから、ほかのデッキにとってはたまったもんじゃない。
さらにコントロールを盤石にするのが《罰する火》。これも《壌土からの生命》と相性が良く、発掘でゴリゴリと掘り進んでいるとポロッとめくれるので《燃え柳の木立ち》で回収してクリーチャー、プレイヤー、プレインズウォーカーに投げつけてコントロールしてやろう。こうして見ると、いかに真面目にクリーチャーを展開してくるデッキに強いか、骨身に染みてわかるね。
さて、完全無欠に見えるこのデッキにも、もちろん天敵は存在する。「ANT」のようなコンボデッキにはその動き妨害する術を持たないため、メインデッキではコロッと負けてしまうことだろう。サイド後は《虚空の杯》《抵抗の宝球》で行動を抑えて、先にこっちが《暗黒の深部》コンボを決めることで勝つことができるかもしれないが、それでも容易に勝てるという組み合わせでは決してない。
個人的には「奇跡コントロール」「ANT」そしてこの「Lands」は現レガシーでも飛びぬけて強力なデッキだと考えている。グランプリ・千葉2016で赤いデッキを使う人は、《血染めの月》をサイドボードにしっかり採用しておくと良いかもしれないぞ。
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