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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ANT(レガシー)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ANT(レガシー)
by 岩SHOW
プロツアー『異界月』は終わり、気が付けばあと少しでグランプリ・京都2016だ。月日の流れが異様に早く感じる今日この頃。このままではあっという間にグランプリ・千葉2016当日の朝を迎えていそうだ。
千葉で皆が戦うフォーマットはレガシー。その名の通り、マジックの20年を超える歴史が残した遺産とも呼べるカードが集結した環境で......デッキもさまざまなものが活躍している。某殿堂の寝坊系プレイヤーも「レガシーは面白すぎる」と絶賛するほどで、他のフォーマットと同じくレガシーならではの魅力がたっぷりで、一度遊ぶと病みつきになってしまうことだろう。使えるカードが多いのは良いことだ。
このコラムでも既にレガシーのデッキは紹介してきているが、これからも定期的に環境に存在するデッキを紹介して、このフォーマットの魅力を11月までに伝えていければなぁと。今日は、レガシーを代表するコンボデッキを紹介しよう。「ANT」徹底解剖だ(そんなに徹底しないけど)。
1 《島》 1 《沼》 2 《Underground Sea》 1 《Tropical Island》 1 《Volcanic Island》 4 《汚染された三角州》 4 《溢れかえる岸辺》 -土地(14)- -クリーチャー(0)- |
4 《ライオンの瞳のダイアモンド》 4 《水蓮の花びら》 4 《暗黒の儀式》 4 《陰謀団の儀式》 4 《ギタクシア派の調査》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《強迫》 3 《陰謀団式療法》 4 《冥府の教示者》 3 《目くらまし》 1 《巣穴からの総出》 1 《炎の中の過去》 1 《苦悶の触手》 1 《むかつき》 -呪文(46)- |
2 《ザンティッドの大群》 4 《氷の中の存在》 2 《根絶》 1 《陰謀団式療法》 4 《突然の衰微》 1 《古えの遺恨》 1 《森の知恵》 -サイドボード(15)- |
『アラーラの断片』にて《むかつき》が登場して以降、誕生したデッキが「ANT」だ。コンボの要である《むかつき》の英名「Ad Nauseam」と、デッキのフィニッシュ手段である《苦悶の触手》の英名にも含まれる、触手を意味する「Tendrils」の頭文字を併せて「ANT」。
そのデッキ名が示す通り、《むかつき》から《苦悶の触手》に繋げて相手のライフを吸いつくすのがこのデッキの目的だ。今回も勝ち方を紹介するが、このデッキにはルート分岐があるので、そのあたりも楽しんでもらえたらと思う。ストームという能力は、それを持つ呪文が唱えられた時、そのターンに唱えられた呪文の数だけ同じ呪文のコピーを作り出す。これを覚えておいてほしい。では早速、各ルートを見てみようじゃないか。
1.むかつきルート
デッキ名にもなっており、このデッキでも最も簡単かつ狙うことの多いルートだ。何をするかといえば、非常に簡単。《むかつき》を唱えたら、あとはライフの許す限りライブラリーの上を公開していく。この《むかつき》は公開されたカードの点数で見たマナ・コストに等しいライフを失うが、そもそも0〜1マナの呪文が大多数のデッキなのでガンガンとカードを公開していくことができる。そうやって公開したカードはすべて手札に入る。これらの手札を使って、どうにか同一ターンに9回以上呪文を唱えたうえで《苦悶の触手》を唱えれば、それのストーム能力によりこれのコピーが大量に作られる。2点のライフを失わせる触手が10本用意できれば、20点のライフを吸いつくして無事勝利というわけである。
《渦まく知識》《思案》などを連打して手札に《水蓮の花びら》《暗黒の儀式》《陰謀団の儀式》《ライオンの瞳のダイアモンド》などをかき集め、これらのマナを生み出す呪文を用いて5マナと重い《むかつき》からの4マナの《苦悶の触手》へと繋げるわけだ。
先手1ターン目《沼》からの《暗黒の儀式》2連打からの《むかつき》、という動きだけでサックリと1ターンキルを決めてしまうこともあるが...コンボを決めるカードが手に入らないまま20点のライフを自ら削り切って負けてしまうなんてこともある。この凶暴性と脆さを共に内包するデッキだからこそ、美しくまた人気なのかもしれない。
2.教示者連打ルート
先に述べたように、ライフを削る呪文である《むかつき》はどんな状況でもその力を発揮するとは限らない。火力満載のバーンデッキや軽量クリーチャーで攻めるビートダウンにゴリゴリとライフを削られれば、これを唱えるだけで自ら死に向かうということも多々ある。そんな時に用意された勝ち筋が《冥府の教示者》連打による勝利だ。
この教示者は、手札のカードを見せることでそれと同名のカードを持ってくることができる。このデッキはそれを活かして《陰謀団の儀式》を大量に手札に抱えたりという戦略を取ることもできるが、一番の狙いはそれではない。暴勇という能力を持っており、手札にカードが1枚もなければライブラリーから好きなカードをサーチするモードへとバージョンアップ。これを、手札をすべて捨ててマナを生み出す《ライオンの瞳のダイアモンド》と組み合わせるのだ。
《冥府の教示者》を唱えて、それに対応してダイアモンドを起動、そうすると好きな色マナが3つ出て、手札が空なので好きなカードを持ってこられる。むかつきルートでもこれから《むかつき》を持ってくることは多々あるが、マナ加速を絡めてふんだんにマナがある状況ならば、わざわざ危険な呪文を経由せずとも十分にストームは稼げる。この教示者でさらに教示者を持ってくるのだ。手札が空なのでまた好きな呪文を探す→教示者、という動きを繰り返して、最後にストームの貯まった《苦悶の触手》を引っ張ってきて勝つ。
ライフを失わないため安全に勝利することができるのが売りで、《ライオンの瞳のダイアモンド》《陰謀団の儀式》がたっぷり手札にやってきたらこのルートを狙うことがある。対戦相手が青いデッキの際に、こちらの《強迫》などの手札破壊に対応して《渦まく知識》を唱えたり打ち消し呪文を使って来たら、それによりストームが稼がれてこのルートでもぴったり足りる、なんて場面もちらほら。
3.過去ルート
教示者ルート同様、ライフを損失することなく勝利することのできるルートだ。教示者連打でめちゃくちゃマナが伸びるというわけでもないが......安全に行きたい、という時にはこのルートを選択することがある。
《ライオンの瞳のダイアモンド》+《冥府の教示者》でサーチするのは《炎の中の過去》。これで墓地のカードすべてにフラッシュバックを与え、そこからドローやマナブーストを連打して、再び唱えた《冥府の教示者》で《苦悶の触手》に繋げてWIN! 《むかつき》と違って、手札にあるカードだけで計算できるのが特徴。手札のインスタントとソーサリーを倍唱えれば勝てるな、という状況になれば狙っていこう。
ライフは安全ではあるが、墓地というレガシーでは安全とは言い難い領域を経由するのが弱点。《漁る軟泥》《外科的摘出》《墓掘りの檻》と強烈な墓地対策カードに牙を剥かれて、狙えないこともしばしば。
ザックリとだが、この3つのルートを軸にして《苦悶の触手》を叩き付けてくるデッキであるということを解説させてもらった。対戦相手を無理やり動かしてストームを稼いだりと、さまざまな勝ち方のできるコンボデッキなので、各自練習していろんな状況に対応できるように腕を磨いてもらえればと。鮮やかでまさしくスタイリッシュなデッキで、使いこなせればカッコイイぞ。
このリストは「ANT」をしばらく使い込んで、勝ち星を重ねている朴高志のものだ。独自のチューンとして《目くらまし》が3枚も採用されている。対戦相手の打ち消し呪文などをマナを使わずに弾けるので、仕掛けやすくなるのだろう。
また、サイドボードの《氷の中の存在》も面白い。サイド後はいわゆるクロックパーミッションデッキのように、《強迫》《目くらまし》《突然の衰微》で相手を妨害しながらこのホラーを目覚めさせて勝利する第4のプランを取ることもあるのだろう。
とにかく練習がすべてのデッキなので、千葉でコンボで暴れたい人は今から猛練習! 感謝の一人回し一万回!
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