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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:スゥルタイ対立(レガシー)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:スゥルタイ対立(レガシー)
by 岩SHOW
マジックってのはなんというか、自由じゃなきゃあな。プレイングには間違いや正解はあると思うが、デッキ構築は好きなことをやったら良い。プロツアーを目指すとかだったらまた話は変わってくるが、いわゆる草の根大会に出るとかだったら、自由に自分が使いたいカード・デッキを使うのが健康的ではないかなと。
レガシーなんてのはほんとそういうフォーマットだと思うわけで。グランプリで優勝するぞってんなら「奇跡コントロール」や「青緑感染」なんかを使った方が目標に近づけるんだろうけどね、週末を楽しく過ごすってんなら自分の使いたいものを使うのが一番! 海外の大会結果とかを追いかけていると、この人は周りのデッキなんか関係なく、自分のやりたいことをやったら結果がついてきたんだろうなぁというデッキを目にする機会が多い。レガシーは自己表現の場だ! マジック23年の歴史が生み出したカードの中から、自分が好きなものを使う喜びを噛みしめよう!
今日はそんな、我が道を歩んだ結果、大規模トーナメントでTOP8入りを果たしたデッキを1つ紹介しよう。「スゥルタイ対立」だ。
1 《森》 2 《ドライアドの東屋》 3 《Tropical Island》 2 《Bayou》 1 《Underground Sea》 4 《霧深い雨林》 3 《新緑の地下墓地》 3 《ガイアの揺籃の地》 -土地(19)- 4 《貴族の教主》 3 《死儀礼のシャーマン》 1 《ワイアウッドの共生虫》 4 《とぐろ巻きの巫女》 4 《エルフの幻想家》 3 《断片無き工作員》 1 《孔蹄のビヒモス》 -クリーチャー(20)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《陰謀団式療法》 3 《突然の衰微》 3 《対立》 4 《緑の太陽の頂点》 3 《野生語りのガラク》 -呪文(21)- |
1 《呪文滑り》 1 《漁る軟泥》 1 《再利用の賢者》 1 《外科的摘出》 1 《虚無の呪文爆弾》 1 《真髄の針》 1 《思考囲い》 3 《アメジストのとげ》 3 《冬の宝珠》 2 《四肢切断》 -サイドボード(15)- |
おそらくだがこのデッキを使用したPierre Canaliさん......《とぐろ巻きの巫女》が好きすぎるのだろう。このクリーチャーが戦場に出た時、ライブラリーの一番上のカードを公開・それが土地なら戦場に出しそうでないなら手札に加えるという、なんとも青緑のカードらしい味のあるアドバンテージの取り方をするカードである。
『ディセンション』にて登場したこの蛇・エルフ、2マナのクリーチャーとしてはなかなかの性能で僕もよく使っていたが、まさか現代のレガシーにおいてこれを4枚積みしたデッキが出てくるとはなぁ。驚きを隠せなかったものだ。
デッキ名の通り、スゥルタイ(青黒緑)カラーで《対立》を中心としたデッキである。この《対立》というエンチャントは4マナと重めであり、かつその能力を起動するためにクリーチャーを複数並べる必要があるという、そう簡単には運用できないカードである。
かつては《錯乱した隠遁者》と並べてマナもクリーチャーも縛り上げる、えげつないソフトロック(※1)で一時代を築いたりもしたカードなのだが......先に述べた通り、使うにはお膳立てが必要なカード。同じ青の4マナならば《精神を刻む者、ジェイス》のような問答無用で強力なカードがあるので、そっちを使うよねということで、あまり見られるものではない。
(※1:対戦相手のアップキープに《対立》でそのプレイヤーの土地をすべてタップしてしまえば、そのプレイヤーはインスタントタイミングで唱えられる呪文か、そのターンに手札から出した土地から出したマナで唱えられる呪文しかプレイできなくなってしまう。こういった自由を奪うことをマジックではロック(Lock)と呼ぶ。この《対立》ロックは完全に封じ込めるわけではないので「ソフトロック」と呼ばれている。)
そんな《対立》の運用を円滑なものにしてくれるのが、先に紹介した《とぐろ巻きの巫女》であり、それと相性の良い《断片無き工作員》だ。
続唱を持つ工作員を唱えて、その能力で巫女がめくれ、その巫女の能力で土地がめくれた場合......《対立》を唱えるためのマナを確保しつつ、その起動コストに充てるクリーチャーを2体獲得することができる。3マナでこれはお得である。しかも《貴族の教主》《死儀礼のシャーマン》あるいは《緑の太陽の頂点》X=0からの《ドライアドの東屋》サーチなどでこれを行ってやれば、2ターン目からこの動きを行うことも可能だ。
3ターン目《対立》設置から相手のアップキープに土地をタップして......と動ければ、いかに軽い呪文が強いレガシーといえど、何もできない状態に追い込み、どんなデッキ相手にも勝ててしまうだろう。レガシーのセオリーからは大きく外れているが、好きなものを追求した結果、必殺の型ができた......そんなところだろうか。カッコイイ、羨ましいと素直に思ってしまうぜ。
巫女以外にもその後継機ともいえる《エルフの幻想家》も搭載されており、それらと相性の良い《ワイアウッドの共生虫》まで採用されている。エルフ・デッキ以外でこのカードが使用されているのを見るのは初めてのことで、驚きを隠せない。
これらアドバンテージ源となるエルフを手札に戻しつつ、マナ・クリーチャーをアンタップできるというのはなかなか使い勝手が良いのかもしれない。フィニッシャーもまさかのエルフデッキと同じく《孔蹄のビヒモス》。いや~もしかしたらこのデッキ、エルフの亜種になるのか?
《対立》で強制的に無抵抗状態にされた相手に対してビヒモスを呼び出してマナ・クリーチャーたちと走り抜ける、ややオーバーキル気味だが、ソフトロック状態からさっさと勝ってしまおうという姿勢は素晴らしい。こういうわがままなデッキは大好きだ! このリストを見たそこのあなた、あなたの脳内最強ムーブだって、実現させることができれば強力なものかもしれないぞ。セオリーなんてぶっ壊せ!
と・こ・ろ・で...デッキ使用者のお名前はPierre Canali......この名前にピンと来たあなた、かなーりのプロツアーオタク認定! 初めて出場したプロツアー・コロンバス2004に初出場してそのまま優勝、2004~2005シーズンのルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いたピエール・カナーリ氏だ!...と思う。このイベントもフランスで開催されており、彼の出身国とも合致。TOP8プレイヤー集合写真にも、彼の面影を残す人物の姿が......こりゃもうほぼ確定でしょう。しばらく姿を見ていなかったが、今でもしっかりマジックプレイヤーとして活動されているのだなぁ。プロツアー・横浜2007、メガネが壊れたままトーナメント参加した浅原さんとの対戦を記したカバレージが、妙に印象に残っているのでした。
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