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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:マーフォーク(レガシー)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:マーフォーク(レガシー)
by 岩SHOW
夏、と言えば? 海でしょう。僕も一昨年、久しぶりに大学の仲間と海に行ったんですよ。泳ぐのは好きなんで、イキってしまってねぇ......突然足がつって、溺れそうになってしまうという失態を披露。皆も海で青春する前には、しつこいくらい準備運動した方が良いぞ! ストレッチはやり得。
マジックは海とはちょっと相性が悪いゲームだ。波、海風、湿気、砂、日差し...それでも、浜辺でマジックとか一回はやってみたいね。それともマジック合宿を海辺のコテージとかでやって、夜はマジック・昼間は海で遊ぶみたいにすれば両立できるのか。いつか完全防水加工されたカードを使って「海中でマジックやってみた!」とかいうクレイジーな動画も出てきそうな予感。
そんな際には、必ずやこのデッキを用意しよう。「マーフォーク」だ。マジック最古のクリーチャータイプの1つであり、海を中心に水中生活を行う、海の民だ。まあいわゆる人魚なんだが、日本では某アニメーションの影響もあってマーメイドと呼ぶのが浸透していると思う。これは女性を指す名詞で、逆に男性タイプの人魚はマーマンと呼ばれ、この男女をまとめたのがマーフォークというわけ。Merfolkのfolkは民、Merはラテン語の海を指すmareが由来とのことだ。
マジックの多元宇宙にも、この高い知能と魔法の技術を備えた海の人々が暮らしている次元がある。今日はそんな海千山千......じゃないな、海千川千のやり手マーフォーク達が大集結した部族デッキについて書いていこう。
12 《島》 4 《魂の洞窟》 3 《変わり谷》 2 《不毛の大地》 -土地(21)- 4 《呪い捕らえ》 4 《アトランティスの王》 4 《真珠三叉矛の達人》 4 《銀エラの達人》 2 《幻影の像》 4 《真の名の宿敵》 2 《メロウの騎兵》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(26)- |
4 《霊気の薬瓶》 4 《虚空の杯》 1 《目くらまし》 4 《意志の力》 -呪文(13)- |
2 《誘惑蒔き》 2 《トーモッドの墓所》 3 《狼狽の嵐》 1 《大祖始の遺産》 3 《四肢切断》 1 《基本に帰れ》 1 《水没》 1 《梅澤の十手》 1 《不毛の大地》 -サイドボード(15)- |
かつてのマーフォークと言えば、同期のエルフ・ゴブリン・ゾンビと比べると単体のクリーチャーも弱く、部族シナジーも《アトランティスの王》があるくらい、でしかなかった。
それがあるだけでも「フィッシュ対立」のようなデッキが組まれたりもした。文字通り《対立》を使って対戦相手をロック状態に持ち込むクロック・パーミッションデッキだったが、これには能力を何も持たない《珊瑚マーフォーク》《真珠三叉矛の人魚》なんかが採用されていたほどの苦しさ。
『オデッセイ』にて、マーフォークとゴブリン、エルフは絶滅に追いやられた。背景世界が100年後にワープして、新しい大陸に移ったということもあって各職を代表する部族も代替わりを果たそうとのことで、青の部族代表だったマーフォークはタコ人間・セファリッドとチェンジ。続く部族テーマの『オンスロート』にてエルフとゴブリンは帰還を果たし、何だったらかつてないほどに強力なカードを手に入れ、部族シナジーとは+1/+1修整だけじゃないぞという新しいマジックの一面を切り開いていく中、マーフォークはまだシーラカンスの如く深海で眠りについていた(この時の青の担当部族はウィザードと鳥、イリュージョンだった)。
契機となったのは『ローウィン』。見事に青の主要部族に返り咲き、しかも《銀エラの達人》《メロウの騎兵》《川の案内者、シグ》のような強力で新しい部族シナジーを持つカードにも恵まれ......マーフォークはここに息を吹き返した。
以降、数セットに一度《珊瑚兜の司令官》《真珠三叉矛の達人》《波使い》といった強力なマーフォークが姿を見せるようになり......今に至る。マーフォークはレガシーとモダンにて青単準拠のクロック・パーミッションデッキとしての地位を確立している。
レガシーとは、何度もこのコラムにも書き続けてきたように「青が強い」環境である。青が強いということは、デュアルランドも含めて《島》が並ぶ。これすなわち、マーフォークにとってはおら達の海だ~状態。《アトランティスの王》《真珠三叉矛の達人》の与えるサイズアップと島渡りによって、たとえ対戦相手が《殴打頭蓋》を出そうが《若き紅蓮術士》でトークンをばらまこうが、マーフォークはそれをすり抜けてプレイヤー本体に大きなダメージを与えることができるのだ。
レガシーということでプレイングが難しいデッキが多いとお思いのあなたも、「マーフォーク」なら安心。《霊気の薬瓶》《魂の洞窟》を使って、打ち消されずにマーフォーク・クリーチャーを展開し、殴る! 危険なコンボに繋がる呪文や除去に対しては《意志の力》《目くらまし》で対処!
最近では、昔のように《呪文嵌め》《呪文貫き》のような1マナ打ち消し呪文は構えずに、《虚空の杯》を採用して1マナ呪文そのものを封じる構築が主体になっている。過去にレガシーの「マーフォーク」を借りて使用したことがあったが、構えなきゃ除去されるが展開しないと打点は低いという二律背反に悩まされたので、この構築は合理的で正しいものなのだろうなと思っている。
2マナ圏のクリーチャーは既に述べた、いわゆるロード2体が担当。そこに手札を消費せずに展開できるパワー2のアタッカー《銀エラの達人》に、デッキ内のどのマーフォークでもあり《グリセルブランド》なんかにも化けられる《幻影の像》を採用。盤石の布陣である。
これに続く3マナ圏が個人的に肝かなと思っている。《真の名の宿敵》はプロテクション(選ばれたプレイヤー)という唯一無二の能力持ち。これが戦場に出る際に選んだプレイヤーのコントロールするクリーチャーや呪文・能力に対してプロテクションを持っているので、究極の回避能力と除去体制を併せ持っているのだ。3マナでパワーは3と高くはないが、これを上記のカードでサポートしてやることで強力なアタッカーにもなるし、また《タルモゴイフ》なんかをがっちり受け止める不動のブロッカーにもなる。
この《真の名の宿敵》を攻防両面に使えるようにするのが、同じく3マナ域の《メロウの騎兵》。マーフォーク全体をサイズアップさせる能力に加えて、マーフォーク呪文を唱えるとパーマネント1つをタップorアンタップする能力を持っている。この能力を駆使して、《真の名の宿敵》を警戒持ちであるかのように運用したり、《霊気の薬瓶》を1ターンに複数回使えるようにしたりと、こちらの展開をフォローしてよし、対戦相手のブロッカーを寝かせて最後の数点を削り切るという使い方をしてもよし。これが手札にあるのならば、何も考えずに1ターン目《呪い捕らえ》、みたいな動きをしない方が良い結果に繋がることもあるだろう。このあたりは、相手の土地なんかからデッキを予測して、最適解をはじき出せるように練習あるのみだ。
マジックの定番部族であるマーフォーク、ゴブリンやエルフ同様、次元によっては1体も生息していなかったりもする。『イニストラードを覆う影』『異界月』では新顔が現れることはなかった。でも大丈夫、マーフォークユーザーは一度絶滅からの長い空白期間を乗り越えている。次の隆盛の時まで、忍耐強く待っていられるはずだ!
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