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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:スゥルタイ・デーモン・ミッドレンジ(スタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:スゥルタイ・デーモン・ミッドレンジ(スタンダード)
by 岩SHOW
マジック:ザ・ギャザリングというゲームは音楽ジャンルで言うならばメタルである、というのが僕の研究結果だ。「お、これブラックメタル感あって良いな」「これメイデンやん!」と思ったイラストが何枚あったことか。デッキ自体がザクザクとしたギターリフ(※1)のような動きをするものもあり、そういったデッキでフリープレイをしていると思わずヘドバンしてしまいそうになる(そんなことはない)。
髑髏にゾンビにデビルにデーモンなんてまさしくブラックメタル/デスメタル、あるいは『アイスエイジ』の世界観なんかはヴァイキング・メタルが聴こえてくるもので......『ミラディン』なんてまさしく鋼鉄世界! 音が聴こえてくるアナログゲームなんて他にないぞ。広い会場で4000人近い人間が同時に「お願いします」と合唱するなんてもうこれはフェスだ。実際にグランプリ・東京2016でもバンドTシャツをまとったウォリアーたちの姿をよく見たものだ。
(※1:リフレインが語源であるといわれるスラング、リフ/Riff。曲中、イントロやサビで何度も繰り返される伴奏を指す。これのカッコ良さがメタルの肝だ!マジックでも《軽快なリフレイン》というカードがありますね。)
最近の個人的なヒットは《精神壊しの悪魔》だ。名前もイラストもゴリゴリで好いたらしい。その能力は、戦場に出たときに墓地を4枚肥やすものと、アップキープ毎に昂揚を達成していなかったら4点のライフをかっさらうというクレイジー極まるもの。4マナ4/5飛行トランプルというスペック自体は現環境では悪くなく、このぐらいのデメリットはやむ無しか......むしろこの生きるか死ぬかのデメリットがあるのが良さと言うべきか。そんなスーサイドなところも含めてメタルやなぁと思うわけですよ。
これを採用したデッキをずっと紹介したかったのだが、上記の通り癖が強すぎるので......ドラフトでも、僕はこれに《金縛り》を貼られた上に《忘られじ》で墓地のカードの種類を減らされて昂揚達成できずに、相手から一度の攻撃を受けることもなくデーモンにより首を絞められてゲームに敗北したことがある。扱いづらいにも程がある! しかし使いこなせた時の強さはなかなか、何より悪魔を従えたという達成感があるッッ! 今日はついに、この悪魔を4枚ガン積みしたサタニックなデッキを発見できたので、ここに紹介しようではないか。
4 《沼》 2 《森》 1 《島》 4 《ラノワールの荒原》 4 《風切る泥沼》 2 《ヤヴィマヤの沿岸》 1 《伐採地の滝》 1 《亡骸のぬかるみ》 1 《荒廃した湿原》 2 《溺墓の寺院》 3 《進化する未開地》 -土地(25)- 3 《森の代言者》 1 《棲み家の防御者》 1 《巨森の予見者、ニッサ》 4 《精神壊しの悪魔》 1 《ゲトの裏切り者、カリタス》 2 《ギトラグの怪物》 1 《アンデッドの大臣、シディシ》 1 《龍王シルムガル》 1 《世界を壊すもの》 4 《搭載歩行機械》 -クリーチャー(19)- |
3 《ウルヴェンワルド横断》 1 《闇の掌握》 1 《究極の価格》 2 《骨読み》 2 《餌食》 1 《ムラーサの胎動》 1 《破滅の道》 2 《衰滅》 1 《闇の誓願》 1 《末永く》 1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 -呪文(16)- |
1 《静寂を担うもの》 1 《棲み家の防御者》 1 《議事会の自然主義者》 2 《死の重み》 2 《強迫》 2 《精神背信》 2 《悪性の疫病》 1 《無限の抹消》 1 《シルムガルの命令》 1 《過ぎ去った季節》 1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 -サイドボード(15)- |
土地以外は《精神壊しの悪魔》と《搭載歩行機械》のみが4枚積みで、あとはまばらに多種多様なカードが採用されているのが特徴的なデッキリストだ。というか1枚挿しが多すぎて、一見何がしたいのかわからなかったり。でも、問題なし。同じ悪魔に魅入られたものだからこそ、やりたいことは伝わるぞ! 「スゥルタイ・デーモン・ミッドレンジ」と勝手に名付けてこれを紹介だ!
まず、2つの呪文に注目してほしい。《餌食》および《ウルヴェンワルド横断》のことだ。どちらも昂揚呪文で、《精神壊しの悪魔》と合わせれば実に9枚も昂揚と書かれたカードが採用されている。
そう、このデッキはデーモンで墓地にカードを落とし、ガッツリ昂揚を狙いに行くデッキなのだ。デッキを構成するカードのタイプを見てみると...
- 土地:25
- クリーチャー:19
- インスタント:5
- ソーサリー:10
- アーティファクト:4
- プレインズウォーカー:1
となっている。計算は得意ではないので、どのカードがどのくらいの割合で墓地に落ちるかなどはわからないが、土地・クリーチャー・ソーサリーが墓地に落ちることを前提として、その他が1枚落ちれば達成!な感じでデッキが作られているのはわかる。
ここでその存在が大きそうなのが、先にも挙げた《搭載歩行機械》。アーティファクトでありクリーチャーでもあるので、1枚で2種類にカウントできて、昂揚の達成を容易なものにしてくれる。《進化する未開地》切ってこれで適当にブロックして《究極の価格》なんかで除去って、ってやるだけで昂揚達成だ。
こうなると《ウルヴェンワルド横断》が1マナの《Demonic Tutor》となってくれ、《餌食》1枚で《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》と彼が呼び出すトークンに対処でき、そして《精神壊しの悪魔》が優し気な表情でこちらを見てくる。素晴らしい。
《棲み家の防御者》《ムラーサの胎動》《末永く》《亡骸のぬかるみ》と墓地に落ちたカードを再利用するカード、《溺墓の寺院》《世界を壊すもの》といった自力で墓地から戻ってくるカードなどを採用し、悪魔が肥やす墓地から昂揚以外の恵みを収穫することも可能となっている。
《精神壊しの悪魔》以外に墓地にカードを置くことのできるカードが採用されていないため、これらのカードもガンガン使っていけるわけではなく採用枚数はいずれも控えめになっているが......いっそ、この「墓地からアドバンテージを稼ぐ」ということを主軸にデッキを組んでみるのも良いかもしれない。僕はそっちに振り切ったデッキを作ろうとして迷走した経験があるので、このデッキのようにゆったり昂揚を目指すアプローチもありなのかと目から鱗だった。
このあたりは好みの問題で、肝心要なところは君が《精神壊しの悪魔》を愛せるかというところ。「メタラーは 一発昂揚 当たり前」という川柳もあるぐらいで(自作)、まずはこのメタル魂溢れる1枚を愛して、その愛にデーモンも応えてくれるように調教するところからスタートだ! なんだかよくわからない〆もまたメタルならでは、Stay Metal! See you next week!
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