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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ヴァラ・シュート(モダン)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ヴァラ・シュート(モダン)

by 岩SHOW

 豪快な勝ち方をするデッキが好きな人と、そうでない人がいる。僕は、圧倒的前者ッ!わけのわからない角度からズドドドドッと雪崩を起こすような攻めで勝利したいと常に思っている。プロレス好きというのも要因かもしれないが、やはりフィニッシュは絵面も格好良く説得力のある技が良い。

 そんな思いを叶えてくれるデッキは......モダンにこそある、というのが僕個人の意見だ。スタンダードではカードプールが制限されているし、レガシーでは《Force of Will》などの妨害が強すぎる。モダンは、妨害手段がないわけではないが、どちらかと言えばやりたいことをやったもん勝ちな環境である。2016年前半に隆盛を誇ったエルドラージたちも落ち着いた今、様々なデッキが可能性に満ちたこのフォーマットでの活躍の時を......同一ラインに立って、よーいドンのその時を待っているのだ。

 次のモダン・グランプリで一歩抜け出すのはどんなド派手なデッキか?もしかしたら、コイツかもしれないぞ。

CHABRIER Damien - 「ヴァラ・シュート」
BAZAAR of MOXEN Annecy 2016 Main Modern / モダン (2016年5月8日)[MO] [ARENA]
6 《
2 《
4 《踏み鳴らされる地
2 《燃えがらの林間地
1 《血の墓所
4 《樹木茂る山麓
3 《乾燥台地
3 《溶鉄の尖峰、ヴァラクート

-土地(25)-

4 《桜族の長老
3 《クルフィックスの狩猟者
1 《強情なベイロス
3 《引き裂かれし永劫、エムラクール
4 《原始のタイタン

-クリーチャー(15)-
3 《稲妻
2 《遥か見
4 《明日への探索
3 《神々の憤怒
1 《風景の変容
4 《裂け目の突破
3 《召喚の罠

-呪文(20)-
1 《ジャディの横枝
2 《呪文滑り
1 《強情なベイロス
1 《大祖始の遺産
2 《突然のショック
1 《古えの遺恨
3 《神聖の力線
1 《塵への崩壊
1 《粉砕の嵐
1 《殺戮遊戯
1 《仕組まれた爆薬

-サイドボード(15)-
BAZAAR of MOXEN より引用)

 《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》と《風景の変容》のコンボデッキは以前からモダン環境では人気・有力デッキだ。《明日への探索》《遥か見》で土地を伸ばしながら相手のアクション・妨害は《差し戻し》《謎めいた命令》などで打ち消し、土地が7枚揃ったら《風景の変容》を唱えて《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》1枚+山である土地6枚をサーチしてきて戦場に出す。するとヴァラクートの能力が計6つ誘発して18点のダメージを与えることができる。フェッチランド・ショックランドなど自らのライフをすり減らす土地が使用されているモダンでは、20点に達さずとも十分に致死ダメージ(もちろん、土地が8枚9枚と増えていけば初期ライフから多少回復されようが削りきれる)。このコンボを仕込んだデッキは、《風景の変容》からとって「スケープシフト」と呼ばれている。

 今日紹介するこのデッキは、その一般的な「スケープシフト」からはかけ離れた構成になっている。まず、青を採用せず(メインは)赤と緑の2色でまとめてあること。つぎに《風景の変容》の採用枚数は1枚に抑えられていること。代わりに、『モダンマスターズ 2015年版』が誇る神話レアラインナップから2体、大型クリーチャーが参戦している。《原始のタイタン》と《引き裂かれし永劫、エムラクール》だ。

 《原始のタイタン》といえば、元祖ヴァラクートの相方だ。好きな土地を2枚サーチしてこられるこのタイタンは、ヴァラクートそのものを探すこともできるし、《》2枚でその能力を誘発させることもでき、これらが共存した頃のスタンダードでは一大勢力を築く強力デッキであった。モダンという環境においても、そのコンビネーションは健在だ。クリーチャーのサイズが《タルモゴイフ》や《包囲サイ》の4/5がマックスサイズな環境において、6/6トランプルという素の戦闘力も頼もしい。ヴァラクートと絡めて12点くらいは持って行ってくれることだろう。

 そしてもう一体の《引き裂かれし永劫、エムラクール》。こちらは......さすがに普通に唱えて出す、ということは100ゲームやって1回あるか否かの話ではないかな。つまりはズルして呼び出すわけだが、それを担うのが《裂け目の突破》と《召喚の罠》。これらのインスタントは、それぞれ5マナ、6マナor0マナでクリーチャーを直接戦場に出すことができる。

 特に速攻を与える《裂け目の突破》はエムラクールとの相性が素晴らしく、15点のダメージでライフを削りきれなくとも、パーマネントを6個吹き飛ばして戦場に壊滅的被害を与えることが可能だ。《原始のタイタン》をこれでブン投げても、攻撃まで行ければ土地を4枚獲得できるのでその場でヴァラクートを噴火まで導けるだろう。《召喚の罠》は、6マナと重く打ち消されやすい《原始のタイタン》のフォローにはもってこい。タイタンを打ち消したと思ったらエムラが降って来た!なんてことも多々ある。

 デッキの残りの部分は土地を伸ばすカードとクリーチャー除去だ。特に《クルフィックスの狩猟者》は、このデッキにおいてはアドバンテージとライフを生み出し続けることだろう。これで公開されたカードが引きたくないものであれば、《樹木茂る山麓》らフェッチランドでシャッフルしてしまえば良い。このシナジーのためにも、不用意にフェッチランドを起動しないように気を付けたい。

 この手のデッキは1年くらい前からチラホラとその姿を見るようになったが、その呼び名が安定していないように思う。「スケープシフト(エムラシュート型)」「ブリーチ・スケープ」などなど......個人的にはヴァラクートと、大型クリーチャーをインスタントで投げつける(シュートする)2つの勝ち筋を持つデッキということで、勝手に「ヴァラ・シュート」と呼んでいるのだが...どうだろう? 流行らんかなぁぁぁ。

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