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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:グリクシス・コントロール(スタンダード)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:グリクシス・コントロール(スタンダード)

by 岩SHOW

 やあ、良い子の皆! グランプリ・東京2016は楽しんでくれたかな?

 マジックが盛り上がるように、という形で携わっている人間としては、会場にいた約4000人はもちろん、お家で公式生放送を観戦してくれていた皆もこのイベントを楽しんでくれていたら、こんなに嬉しいことはないよ!

 さて、公式生放送と言えば......あぁ、うん。皆、初日の第2ラウンドは観てないよね? まだ朝早いからスヤスヤ寝てたよね? 観てないと言ってほしい。恥ずかしながら、人生初フィーチャーされた。しかもボコボコにされるというね......今回、結局のところ練習はまるっきりできずに本番を迎えた。デッキは、あの黒田正城氏に前夜「使ったってや」と託された「赤緑ランプ」。このデッキタイプの完成形とのことで、実際リストを見ても綺麗で、短時間ながら環境に存在するデッキ相手のサイドイン/アウトもレクチャーしていただいたので、なんとか戦えそうな気持で臨む。

 仕事でマジックに携わっていると、グランプリに出るのもなかなか難しく、プレインズウォーカー・ポイントもまったく貯まっていないので不戦勝なしの9回戦。これはしんどいよ、皆も日頃からトーナメントに出てポイント稼いでおこうね!で、第1ラウンドの初陣は「黒緑サクリファイス」。ランプのランプたる所以を見せつけての圧勝。気分がいいところでプロツアー実況仲間の鍛冶友浩さんがスーッと来て

「次、(フィーチャーに)呼んじゃいますね」

と一言&ニヤリ。鼓動高まる中迎えたフィーチャーマッチでは......お恥ずかしいところを見せてしまうことに。僕のプレイングの駄目さもさることながら、お相手の方の攻めもえげつなく......今日は負けて帰ったホテルでこの記事を書いている。この日、僕の心を二度へし折った「グリクシス・コントロール」を紹介しよう。

Oliver Tiu - 「グリクシス・コントロール」
グランプリ・トロント2016 3位 / スタンダード (2016年4月30日〜5月1日)[MO] [ARENA]
1 《
5 《
1 《
2 《窪み渓谷
4 《燻る湿地
4 《凶兆の廃墟
3 《シヴの浅瀬
3 《さまよう噴気孔
3 《進化する未開地

-土地(26)-

4 《ヴリンの神童、ジェイス
4 《ゲトの裏切り者、カリタス
4 《ゴブリンの闇住まい
2 《龍王シルムガル

-クリーチャー(14)-
3 《焦熱の衝動
2 《闇の掌握
2 《精神背信
2 《究極の価格
3 《コラガンの命令
3 《骨読み
3 《破滅の道
1 《光輝の炎
1 《炎呼び、チャンドラ

-呪文(20)-
2 《竜使いののけ者
4 《強迫
1 《引き裂く流弾
3 《熱病の幻視
3 《光輝の炎
1 《シルムガルの命令
1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス

-サイドボード(15)-

 グリクシス(青黒赤)はラッキーなカラーリングだ。『タルキール覇王譚』の退場でスタンダードから3色土地やいわゆるフェッチランド(※1)が去ったことで、多くの3色デッキが死滅。デッキは2色以内に収めるべき、という環境へと変化した。

(※1:《汚染された三角州》のように、これ自身はマナを生み出さないが、生け贄に捧げることで2種類の基本土地タイプのいずれかを持つ土地をライブラリーから戦場に出すことができる土地のサイクルをこう呼ぶ。色マナの供給を安定させるとともに、例えばライブラリーの上のカードを知っている場合はこの土地でシャッフルすることで、不要なカードを引く確率を下げられるという、便利で強力な土地サイクルだ。)

 先のプロツアー『イニストラードを覆う影』でも2色のデッキが成功し、3色デッキは一歩......いや半歩ほどか、引く形となっていた。

 しかし、グリクシスというカラーリングは『マジック・オリジン』『戦乱のゼンディカ―』『ゲートウォッチの誓い』『イニストラードを覆う影』に存在する土地を用いることで、割と不自由なく運用することが可能だ。となれば、プロツアーを経て環境に存在する狩るべきデッキが判明した今、前環境でも強力なデッキであった「グリクシス・コントロール」の復権は当然のものだったのかもしれない。このデッキはグランプリ・東京2016に先駆けて行われたグランプリ・トロント2016でTOP4まで勝ち上がっている。

 以前に当コラムで紹介したもの(前環境)よりも、クリーチャーが増量されているのが特徴。青いコントロールデッキの嗜みである《ヴリンの神童、ジェイス》はもちろんのこと、《ゴブリンの闇住まい》というアドバンテージ獲得源、「黒緑アリストクラッツ」を完封しクリーチャーデッキ全般の天敵でもある《ゲトの裏切り者、カリタス》は4枚ずつ。

 そして、2枚採用されている《龍王シルムガル》、これが現環境では本当に強い。基本的な除去となっている《闇の掌握》《究極の価格》では撃墜されないこの龍王は、クリーチャーとプレインズウォーカーが強い現環境では「使い得」とでも言おうか、とにかく出してしまえば相手の苦い顔を拝むことが出来る1枚である。

 このシルムガルに繋がるように、クリーチャー除去、手札破壊でコントロールしていくのがこのデッキだ。その時その時のメタゲームに合わせて、メインから《強迫》をガッツリ採用したり、全体除去と単体除去のバランスを調整したり......そういう細かいアップデートで、この環境では最後まで生き抜くんじゃないかと思わせる、ナイス・コントロールデッキである。

 僕はこのデッキに手札破壊をバシバシ打ち込まれて、二度の敗北を喫している。黒田さんは「練習すれば全然勝てるよ!」と仰るのだが、苦手意識はまだ抜けきっていない......。とりあえず、「赤緑ランプ」を今後使おうというプレイヤーは、このデッキとの練習はみっちりやってほしいなと思う。グリクシスの紹介記事でランプ目線でまとめるのもどうかとは思うが......それだけ悔しいんです!次は勝ってやるってぇ!

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