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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:奇跡コントロール(レガシー)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:奇跡コントロール(レガシー)
by 岩SHOW
マジックのデッキは大きく分けて3つ。ビートダウン・コントロール・コンボだ。そのすべてに固定のファンがおり、ずーっと延々そのアーキタイプを使い続けるプレイヤーも少なくない。特にやりこみプレイヤーが多いと感じるのは、コントロールだ。知人となってから今日まで数年間、ずっとコントロールデッキを使い続けているプレイヤーが少なくとも3人はいる。皆、スタンダード・モダン・レガシー、どのフォーマットでもコントロールを使用している。プロツアー殿堂顕彰者であるギョーム・ワフォ=タパ/Guillaume Wafo-Tapaはどんな時代・環境でも青黒コントロールを構築してくるし、そうしたコントロール使いは、どことなく雰囲気が似ている気もする。
レガシーというフォーマットはスタンダードのようなローテーションが存在しないため、多くのプレイヤーが同一のデッキを愛機として長年使い続けていたりする。特にここ数年は、あるコントロールデッキを回し続けているプレイヤーが増えたように思う。ここまで前置きを述べてきたが、これはそれっぽい導入を書く必要があったわけで......正直なところ、今日紹介するデッキはレガシーのデッキを紹介し続ける上で毎度毎度名前を出す必要がある存在であり、その度にどういうデッキなのか説明するよりはリンク貼って参照してもらった方がええよなという話。レガシーを語る上で絶対に無視することのできない存在、「奇跡コントロール」とは、こんなデッキだ。
4 《島》 2 《平地》 3 《Tundra》 3 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《沸騰する小湖》 1 《乾燥台地》 -土地(21)- 3 《瞬唱の魔道士》 2 《僧院の導師》 -クリーチャー(5)- |
4 《師範の占い独楽》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《剣を鍬に》 1 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 4 《相殺》 2 《対抗呪文》 4 《Force of Will》 4 《終末》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(34)- |
2 《ヴェンディリオン三人衆》 3 《狼狽の嵐》 2 《紅蓮破》 2 《安らかなる眠り》 1 《対抗呪文》 2 《血染めの月》 1 《天使への願い》 2 《摩耗 // 損耗》 -サイドボード(15)- |
このデッキの肝となるのは《師範の占い独楽》。このライブラリー操作系アーティファクトの強さを最大限に活かした、青白のコントロールデッキである。
古くはスタンダードでも用いられた《相殺》とのソフトロック・コンボはレガシーでも受け継がれている。デッキに含まれているカードのマナコストが総じて1〜2マナ、重くても4マナ程度に抑えられているのが一般的であるレガシーにおいて、「独楽相殺」と呼ばれるコンボの強さは比類なきもの。相手が呪文を唱えれば《相殺》の能力が誘発する。本来ならばライブラリーの上に存在するカードは不確定であるため、打ち消せるかどうかは純粋に運の勝負となるが......《師範の占い独楽》で3枚見て自由に順番を入れ替えれば、相手の呪文と同じマナ・コストのカードをトップに仕込んで、ドヤ顔で公開して打ち消すことができるというわけ。
もし上から3枚見て1マナのカードがなかった場合でも、《師範の占い独楽》の持つ「ドローしてライブラリーに移動する」能力で無理やり1マナを仕込むことも可能だ。あるいは《溢れかえる岸辺》でシャッフルして、新鮮なライブラリートップを3枚見て対応するカードを探してくることも出来る。この2枚が揃ってしまうだけで、以降何もできなくなるデッキは少なくない。
もう1つの独楽要素は、デッキ名にもなっている「奇跡」能力。これはそのターンの最初に引いたカードが奇跡呪文であった場合誘発する能力で、これをその場で公開することで本来その呪文に設定されたマナ・コストではない、もっと軽いマナ・コストで唱えることができるという能力だ。その名の通り、奇跡のトップデッキで引き込んで叩き付けろ!というカードなのだが、《師範の占い独楽》があれば簡単に奇跡呪文をトップに仕込むことができる。これは最早、奇跡というよりヤラセではないかといつも思っているのだが......「奇跡コントロール」使いの皆さんに意見を伺ったところ「奇跡は自らの手で起こすものなんでね」という、納得いくようないかないような返答が多かった。まあ、そういうことらしい。
このデッキでは白の奇跡呪文《終末》《天使への願い》が採用されている。《終末》はたった1マナで盤面のクリーチャーを一掃してくれる、超強力除去呪文だ。対象も取らずダメージや破壊でもなく、墓地にも落とさないと、パーフェクト除去と言って差し支えないだろう。《天使への願い》は近頃採用枚数も減り、このデッキではメインからサイドへと落とされてはいるが、これもマナ効率が抜群のフィニッシャーである。《相殺》ロック下で4/4の天使を2〜3体出せば、ゲームは速やかに終わることだろう。どちらの奇跡呪文もソーサリーではあるが、《師範の占い独楽》や《渦まく知識》で相手のターンにドローすることで、インスタントタイミングにて唱えることが可能だ。攻撃クリーチャーを天使トークンでキャッチ、とかされて悶絶することは多々あるので気を付け...てもしょうがない時はあるしなぁ。
コントロールデッキであり、《師範の占い独楽》を起動しつつ引き込んだカードを唱えるために土地は盤面に複数枚必要なデッキである。にも関わらず、デッキに積まれた土地はわずかに21枚。これは同環境のビートダウンデッキでも少ないと言える枚数だが......この土地の枚数にして毎ターンのセットランドを可能にするのが《渦まく知識》《思案》といった1マナドロー呪文と、そしてこれまた《師範の占い独楽》。独楽を運用するための土地を独楽自身で探し、逆に土地が不要な時は引かないように調整可能。マジックは何を引くかわからないからこそ、その前のターンなどにどういう動きをするのかが難しいのだが......このアーティファクトはその根底を破壊している恐るべきものである。
残りの部分はレガシーの青白(タッチ赤)の嗜み的な除去・打ち消し・《精神を刻む者、ジェイス》で構成されている。メインの勝ち手段はこのジェイスと《僧院の導師》だ。軽い呪文を唱えてモンクトークンを生み出しつつ、果敢で一撃必殺も狙えるこのクリーチャー、相性が良いのは...やはり《師範の占い独楽》。これが2枚あれば、カードを引く能力を起動して独楽がライブラリーに→その独楽を2枚目の独楽で引いて再度唱える→同じことを繰り返す、でマナがあるだけトークンを生み出し果敢を誘発させることができる。
ここまでご覧になってもうご理解いただけたとは思うが、このデッキは完全に《師範の占い独楽》デッキだ。独楽コントロールと呼んでも過言ではない。即ち、これに対抗するには独楽を封じ込めてしまえば良い。《真髄の針》《ファイレクシアの破棄者》あたりが軽くて扱いやすいか。アーティファクト破壊呪文は、トップに逃げて避けられるし、そもそも2枚目を引かれてしまっただけで対策にはならないので注意だ。あるいは依然紹介した「ゴブリン」のようにそもそもデッキの構成が「奇跡コントロール」に強いものを使用するか、というところか。
人の手によって起こされる奇跡にどう立ち向かうのか、これはレガシーの命題である。このデッキが環境から駆逐される日が来たら、レガシーも新時代へと突入したんだなと実感することになるだろう。
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