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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:緑赤エルドラージ・ランプ(スタンダード)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:緑赤エルドラージ・ランプ(スタンダード)
by 岩SHOW
30代に突入したというのもあると思うが、最近ではゴリゴリ動き回るタイプのゲームよりも、こうなんというか......落ち着いたゲームが好きになってきて。例えば農場経営、例えば野球チームのゼネラルマネージャーとなってシーズンを見守る、例えば三国・戦国時代の弱小勢力の君主となって地道に国造り......こういうのが疲れずじっくり楽しめる。いずれも、まずはコツコツと地道に土台を築いてから......まだ、今は領地を取られようが客が入らなくて赤字になろうが耐えるのじゃ......と自分に言い聞かせ。しっかりと土台を築いてから、エース格を引き抜いたり、近隣勢力に攻勢を仕掛ける時の「ニンマリ感」といったらない。
マジックも例外ではなく、若い頃は《ジャッカルの仔》《ボール・ライトニング》を走らせたりと果敢に攻め立てる、いわゆるアグロなデッキが好みだったが、最近では上記のような戦略を用いるドッシリ系デッキが好みだ。その名はランプ。前環境のスタンダードでも活躍したデッキ「緑赤エルドラージ」「エルドラージ・ランプ」など呼び名は多いが......この場では、情報を全て伝えるために「緑赤エルドラージ・ランプ」と呼ばせてもらおう。このデッキ名にも含まれる「ランプ」という単語の意味も再確認しながら、最新のデッキリストを見てみよう。
12 《森》 2 《山》 1 《荒地》 2 《燃えがらの林間地》 4 《ウギンの聖域》 4 《見捨てられた神々の神殿》 -土地(25)- 4 《ジャディの横枝》 4 《世界を壊すもの》 4 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》 -クリーチャー(12)- |
4 《ニッサの誓い》 4 《コジレックの帰還》 4 《ニッサの巡礼》 4 《爆発的植生》 4 《ニッサの復興》 3 《炎呼び、チャンドラ》 -呪文(23)- |
3 《不屈の追跡者》 4 《難題の予見者》 1 《引き裂く流弾》 3 《次元の歪曲》 2 《歪める嘆き》 1 《翼切り》 1 《炎呼び、チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
ランプ=Rampであって、こすると精霊が出てくるLampではないし、柔らかくきめの細かいRump肉でもない。このRampはそれ単体では「傾斜路」を意味する。Ramp upと表記すると、「増やす・増加(上昇・成長)させる」という意味となり、このデッキタイプの名称もこれが由来となっている。使えるマナを増加させて、大物を叩き付ける。This is Ramp baby!
マナを増加させる手段は主に、《ラノワールのエルフ》のようなマナクリーチャーを展開していくものと、《不屈の自然》のようなライブラリーから土地をサーチしてきて戦場に出す呪文を唱えるものと、2つのスタイルがある。以前に紹介した前環境のこのデッキは、その両者を採用したものとなっていた。現環境の土地増加呪文(先の《不屈の自然》系の呪文ということで、これの英名からランパンと称されることも)では2マナ圏が手薄ということもあって、そこをマナ・クリーチャーで補い3ターン目に《爆発的植生》を唱えること目指す形だ。
一方でこのデッキには、そのマナ・クリーチャーの採用はなく。マナを伸ばす手段は《ニッサの巡礼》《爆発的植生》《ニッサの復興》と、ランパン系オンリーでまとめられている。今スタンダード環境でも、《毒天狗茸の栽培人》《面晶体の這行器》と2マナのマナ・クリーチャーはいるため、使おうと思えば上記の呪文らと合わせて、2・3・4ターンにバンバンバンとマナを伸ばしてそこからビッグアクション......という動きは相変わらず狙える。
それを捨て去ったこのデッキが、毎度おなじみStarCityGames.com Standard Openのような大きなトーナメントで優勝しているのも事実。何故この形になったのかは、マナクリーチャーの代わりに採用されているカードを見ればわかりやすい。やはり目立つのはメインから4枚積みされた《ジャディの横枝》。この1マナクリーチャーは、そのタフネスで1〜2マナ域のクリーチャー単体での攻撃をガッチリと防ぎつつ、毎ターン着実なライフゲインをもたらす。この壁役とともに4枚採用されているのが、タフネス2以下の小童どもを蹴散らす《コジレックの帰還》だ。3ターン目にはこれを絶対に使い、戦場をリセットするという確固たる意志が伝わってくる。マナクリーチャーを並べてしまうと、この呪文によって自分も被害を受けてしまう。ゆえにマナクリーチャーは不採用にして、リセットした3ターン目以降にソーサリーを用いてマナを伸ばすという構築になっている。以前の、いち早く7マナ10マナから《世界を壊すもの》《絶え間ない飢餓、ウラモグ》らヘビー級を叩き付けるイケイケのランプではなく、どっしりと腰を据えて、着実にエルドラージというゴールを目指す......そんなデッキに仕上がっている。
最新のランプが何故こんな形になったのかというと、第36回で紹介した「白単人間」を初めとした人間デッキの流行がその背景にある。1、2ターン目に必ずクリーチャーを展開してくるこの高速ビートダウンがあふれかえっているのならば、このアプローチは大正解。人類に立ちはだかる巨大怪獣の気分が味わいたいのであれば、ランプしかない!
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