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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:バント・カンパニー(スタンダード)

岩SHOWの「デイリー・デッキ」:バント・カンパニー(スタンダード)

by 岩SHOW

 「白単人間」というデッキが新たに誕生したのはすでに当コラムで紹介した。この派生形で緑や青をタッチしたものも活躍している。《ギトラグの怪物》《アーリン・コード》といった新たなる神話レアを軸にした「ジャンド・ミッドレンジ」もご紹介済み。個人的には可能性を感じるデッキなので、今後の進化に期待している。

 これらのデッキはいずれもStarCityGames.com Standard Openで上位に入賞したデッキだ。では、同トーナメントで優勝したデッキは? 紹介するのをもうちょっと引っ張ろうかとも思ったが、プロツアーも目前ということでもったいぶってもいられない。それでは、新環境最初のビッグ・トーナメントを征した「バント・カンパニー」をご覧あれ。

Jim Davis - 「バント・カンパニー」
StarCityGames.com Standard Open ボルティモア 優勝 / スタンダード (2016年4月9~10日)[MO] [ARENA]
3 《
3 《平地
2 《
3 《梢の眺望
1 《要塞化した村
4 《大草原の川
1 《港町
4 《伐採地の滝
4 《進化する未開地

-土地(25)-

4 《薄暮見の徴募兵
4 《ヴリンの神童、ジェイス
4 《森の代言者
1 《棲み家の防御者
1 《隠れたる龍殺し
4 《跳ねる混成体
4 《反射魔道士
2 《不屈の追跡者
1 《巨森の予見者、ニッサ
2 《大天使アヴァシン

-クリーチャー(27)-
3 《ドロモカの命令
4 《集合した中隊
1 《オジュタイの命令

-呪文(8)-
1 《棲み家の防御者
1 《隠れたる龍殺し
2 《ランタンの斥候
1 《不屈の追跡者
3 《否認
2 《翼切り
2 《石の宣告
2 《聖トラフトの祈祷
1 《オジュタイの命令

-サイドボード(15)-
StarCityGames.com より引用)

 前環境から存在したこのデッキタイプ、狙ってくることは《集合した中隊》から質の良いクリーチャーを大量展開してのビートダウンだ。《跳ねる混成体》《反射魔道士》らが2体同時に飛び出すと、相手の盤面にはブロックに回れるクリーチャーが居なくなる→がら空きのボディにパンチ、というアクションでダメージレースを制する。

 これらのトリッキーな連中をサポートする新たなカードを手に入れたことにより、このデッキは強化された。4枚搭載された《薄暮見の徴募兵》がそれだ。この新たなる2マナ域のクリーチャーは、このデッキが抱える弱点でもあった「《集合した中隊》を引けなかった時に展開力が大いに落ちる」という弱点をカバーする。具体的には......

  • 2ターン目:《薄暮見の徴募兵》を唱えて戦場へ
  • 3ターン目:徴募兵の能力を起動。27枚もクリーチャーカードを採用しているので、何かしらのカードは手に入る。呪文を唱えずターンを終えたので、相手のアップキープに徴募兵が《爪の群れの咆哮者》へと変身。
  • 4ターン目:咆哮者の能力でマナ・コストが軽くなった3マナクリーチャーを2枚唱えて相手の展開を妨害しつつ殴る。相手のアップキープで咆哮者が《薄暮見の徴募兵》に変身し......以下、補充と展開を繰り返す。

 《集合した中隊》か《薄暮見の徴募兵》があれば、4ターン目に3マナクリーチャー2体を戦線に投下することが可能と、デッキとして立派な進化を成し遂げたのだ。この狼男の登場で、2マナ域は《森の代言者》《ヴリンの神童、ジェイス》と合わせて12枚と、かなり分厚いものとなった。

 他に目を引くところと言えば、やはり《大天使アヴァシン》。クリーチャーを展開して殴るこのデッキにおいて、瞬速で飛び出してすべてのクリーチャーに破壊不能を与えるこの天使は、戦闘を一方的なものにし除去を弾く、これ以上にない頼もしい存在だ。前環境では除去を弾く役目は《層雲の踊り手》やその他打ち消し呪文が担っていたが、同じ効果を得るのであれば4/4飛行警戒がついてきた方が良いに決まっている。

......5マナ構えるのは重そうって? そんな時のための《爪の群れの咆哮者》ですよ。一度アヴァシンの襲来を経験した対戦相手は、《爪の群れの咆哮者》がいる状況で4マナ立っているだけで警戒して動けなくなることだろう。これをあざ笑うかのように相手のターンエンドに《集合した中隊》を唱える、これ以上の快感があるだろうか?

 とにかくデッキの完成度が頭一つ抜けて高く、新環境優勝一番乗りも納得である。このデッキが今後も暴れまわるのか、それとも研究が日々進むことでより進化したデッキが登場しこれを打破するのか。う~ん、やっぱり環境初期って面白い!

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