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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ストーム(ヴィンテージ)
岩SHOWの「デイリー・デッキ」:ストーム(ヴィンテージ)
by 岩SHOW
この記事が掲載されるころには、日本国内でのスタンダードの大規模なイベントももう終了し、日々更新される『イニストラードを覆う影』のプレビューに皆で興奮している時期だろう。そのタイミングで、終わりゆく環境のデッキを紹介してもなぁ......と思うので、今週はそれ以外のフォーマットのデッキを紹介することにしている。今日は、当連載初のヴィンテージのデッキを紹介だ!
デッキについて語る前に、まずはヴィンテージについて簡単なおさらいを。これまでに販売・配布されたカードをほぼすべて使用可能である、というのが最大の特徴。使用不可能なカードは、銀枠・金枠・裏面のデザインが違うカード、策略カード、アンティに関するカード、そして物理的なアクションを要求したりするカードだ(※1)。それ以外のカードは、どんなに強力・極悪な性能のものでも、制限カードとして1枚は使うことが可能だ。かの有名な「パワー9」(※2)や《トレイリアのアカデミー》といった連中を制限カードとして使える、《Bazaar of Baghdad》や《頭蓋骨絞め》といったレガシーでも禁止されているようなカードを4枚使える、そんなフォーマットだ。
(※1:具体的に言うと『アングルード』『アンヒンジド』のジョークセット、チャンピオンデッキ、ホリデーギフトカード、アンティ(カードの賭け)を前提とした能力を持ったカード、《Chaos Orb》のようにカードを投げたりして効果を得るカードは使用不可だ。)
(※2:最初期の基本セットにのみ収録された、ぶっ飛んだ能力を持った9枚のカードの総称であり、ヴィンテージの象徴。《Black Lotus》《Mox Pearl》《Mox Sapphire》《Mox Jet》《Mox Ruby》《Mox Emerald》という0マナ・アーティファクト6枚、《Ancestral Recall》《Time Walk》《Timetwister》の青い3枚から構成される。今後これらを上回るパワーカードが出てくることはないだろう、起源にして頂点な9枚。)
歴代のパワーカードが集結するということで、1ターンキル・2ターンキルは当たり前の魔境なんでしょう?とお思いの方も多いことかと。ここでその誤解を払拭しておこう。確かに、先手1ターン目で無限にターンを得るコンボが決まってしまうこともある。ただ、それらから身を守る手段も《Force of Will》をはじめ幾つか存在するため、弾くことも簡単で、初動にすべてをかけたデッキがそのファーストアクションを捌かれてしまうと、以後ビタッと動きが止まってしまいドローゴーを繰り返す......なんて展開になることも多々ある。こういったゲームを制するために、最近ではヴィンテージでも優秀なクリーチャーを積極的に採用するようになってきているし、緑と白の優秀な妨害能力持ったクリーチャーを20枚以上採用したデッキ、いわゆる「ヘイトベアー」がトーナメントを制したりしている。
とはいえ、制限カードを山盛り詰め込み、使用枚数欄に「1」を並べたデッキでやりたい放題やっちまうのがヴィンテージをヴィンテージらしく楽しむ方法であるとも言える。今日はそんな制限カードがズラリ並ぶ中、現スタンダード環境にも存在するカードが主役を張るデッキを紹介しよう。ヨーロッパで定期開催されている賞金制トーナメント、MKM Series。昨年12月に開催されたMKM Series Madridのヴィンテージ・イベントで優勝したOscar Basartの「ストーム」をとくとご覧あれ!
1 《沼》 4 《Underground Sea》 1 《Badlands》 4 《汚染された三角州》 1 《血染めのぬかるみ》 1 《トレイリアのアカデミー》 1 《Library of Alexandria》 -土地(13)- -クリーチャー(0)- |
1 《Black Lotus》 1 《ライオンの瞳のダイアモンド》 1 《水蓮の花びら》 1 《Mana Crypt》 1 《Mox Emerald》 1 《Mox Jet》 1 《Mox Pearl》 1 《Mox Ruby》 1 《Mox Sapphire》 4 《暗黒の儀式》 4 《強迫》 4 《ギタクシア派の調査》 3 《陰謀団式療法》 1 《Ancestral Recall》 1 《渦まく知識》 1 《魔力の櫃》 1 《思案》 1 《太陽の指輪》 1 《吸血の教示者》 2 《陰謀団の儀式》 2 《ハーキルの召還術》 1 《Demonic Tutor》 1 《Time Walk》 1 《ネクロポーテンス》 1 《Timetwister》 1 《Wheel of Fortune》 1 《ヨーグモスの意志》 1 《苦悶の触手》 4 《闇の誓願》 1 《精神の願望》 1 《ヨーグモスの取り引き》 -呪文(47)- |
3 《防御の光網》 1 《残響する真実》 1 《ハーキルの召還術》 3 《貪欲な罠》 2 《精神壊しの罠》 1 《巣穴からの総出》 4 《古えの墳墓》 -サイドボード(15)- |
制限カード、堂々の25枚! 土地13枚、クリーチャーでない呪文が47枚という構成もヴィンテージならではといったところ。「ストーム」はその名の通り、ストーム能力を持ったカード......往々にして《苦悶の触手》で勝負を決めるコンボデッキである。このデッキが目指すのは、ストーム9以上(相手のライフによって変動するが)の状態の《苦悶の触手》を撃ち込んでライフ20点を吸い尽くすこと。この手順を満たすのに必要なものは、ドローとマナブースト。カードを引いたりサーチする呪文で手札を補充し、マナを伸ばす呪文でそれらを連打するマナを捻出し、この工程を繰り返した後に十分なコピーを生み出せるだけのストームが貯まったら触手をズルリと解き放ち勝利する。
こうして文字で書くと簡単に見えるが、レガシーでは4枚使える《渦まく知識》《思案》がヴィンテージでは制限カードであるため、簡単にポンポンと唱えてこのチェーンが繋がるというわけではない。その代り、《Timetwister》《Wheel of Fortune》《精神の願望》そして《ヨーグモスの意志》のような、ハッキリ言ってイカれたカードパワーを誇る連中を一度プレイできればそれだけで簡単にストーム9くらい達成できてしまうので、トータルで見ればプレイングは簡単な方になるのかもしれない(もちろん、これを極めてトーナメントで優勝するのは簡単なことではない)。
これらの超強力カードに混じって、『マジック・オリジン』にて登場した《闇の誓願》が4枚採用されている。このカードは制限カード《Demonic Tutor》の調整版で、5マナで好きなカードをライブラリーからサーチする呪文。そして、このデッキでは「魔巧」を簡単に達成してしまえるため、この呪文の解決時にあなたの手元に残るのは、サーチしてきたカードと黒マナが3つ。実質2マナで運用できてしまえるため、このデッキは《Demonic Tutor》を5枚搭載しているようなもの。捻出されるのが黒マナ3つなので、《ネクロポーテンス》を持ってきてそのまま設置なんて邪悪極まりないアクションができるのは魅力的だ。
サイドボードに4枚積まれた《古えの墳墓》にも触れておこう。このカードをサイドに4枚?と驚くかもしれないが、これも《闇の誓願》加入後から見られるようになったサイドカードだ。アーティファクト対策で各種Moxおよび《Black Lotus》、その他《太陽の指輪》などのマナブーストが封じられてしまっても、5マナと重い《闇の誓願》やその他のカードを唱えられるようにサイドインされるのである。
もう《闇の誓願》デッキと言ってしまっても過言ではないな。つまりここを封じてしまえる《ガドック・ティーグ》なんかでビートするデッキを組めれば、良い勝負を挑めるのではないだろうか?
ヴィンテージを遊ぶ機会は、今この時点でデッキを持っていないのであればなかなか厳しいものがあるが......これまでのマジック観を変えてしまいそうな体験、機会があればぜひ一度味わってみてほしい。
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