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戦略記事

行弘賢のよくわかる!リミテッド講座

第50回:『団結のドミナリア』ドラフト攻略

行弘 賢

 皆さんこんにちは! セットの発売サイクルの関係で前回からだいぶ時間が経ちましたが、今回の『団結のドミナリア』からまた記事を再開させていただきます!

 さて、今回は前回から引き続き、事前にMTGアリーナで『団結のドミナリア』でドラフトしてきましたので、そこで得た経験を皆さんに共有する記事をお送りしていきます。

 それではまずは環境のポイントから見ていきましょう!

1.『団結のドミナリア』ドラフト環境のポイント

DMU_draft3packs.png

 『団結のドミナリア』ドラフトは、『団結のドミナリア』ドラフト・ブースター3パックを使用します。

環境のポイント1:土地を取るか、取らないか。

 この環境はキッカーがそのカード以外の色を要求することと、「版図」による土地タイプを参照にする都合上、マナベースを強化する特殊地形をピックすることが重要になります。

 緑をメインカラーとする場合は版図のカードが多いため特殊地形を2~6枚程度ピックしてシナジーと多色化によるカードパワーを軸に、その他の色をメインカラーとする場合は基本でない土地を1~4枚にとどめキッカーや少量の3色目をタッチするために取るようにするといいと思います。

環境のポイント2:アーキタイプに必要なカードを抑える

 緑を軸にした場合は緑とサブカラー1色を軸に多色化し、強力なカードを使う都合でシナジーというより単体のカードで戦うことが多くなるので、そこまでシナジーを意識せずともそれなりのデッキになりますが、それ以外の色を使う場合はアーキタイプを意識してシナジーで戦わないと緑のカードパワー戦略に叩き潰されてしまうことになりやすいです。

 そのため各種2色の組合せで優先して集めるカードを把握し、緑以外で戦う時に狙ったアーキタイプに向かえるようにしましょう。

 後の項目で注目のアーキタイプと色別トップコモン、アンコモンで重要なカードの解説をしますので、そちらをぜひ参考にしてみてください。

環境のポイント3:長期戦に備える

 白系のデッキは攻めるアーキタイプになりやすく試合のレンジも短めではありますが、それ以外は試合が長引きやすい傾向にあります。

 そのため、除去等の妨害手段で相手のカードに対応しつつ、なんらかのカードアドバンテージを稼ぐ手段が無いと相手と差をつけるのが難しくなります。

 レア以上のカードが少なく、勝ち手段が限られているデッキでは長期戦になった時に相手にレア以上のカードでやられてしまいます。なので長期戦をやるようなデッキを目指す際は、初手付近から「何で勝つか」を考えつつデッキを作っていく必要があります。

 例えば、初手で強力なレアを獲得したなら、そのレアにアクセスするための墓地回収やドロー呪文を意識して取る、初手付近でレアを取れなかった場合かつ白系のアーキタイプにも行けない場合は除去とカードアドバンテージで対応しつつ差をつけるようにするなど……ただ強力なカードや土地を取るだけでなく、どう勝つかを意識してデッキを作るようにしましょう。

 

 以上の3つのポイントを意識することでデッキを作りやすくなると思うので、まずはこれらを意識してピックするようにしてみましょう。

2.収録メカニズムについて

 それでは続きまして、今回の新規収録メカニズムをおさらいしていきましょう。

後援

後援(このクリーチャーが攻撃するに際し、あなたがコントロールしていて召喚酔いの影響を受けておらず攻撃してもいないクリーチャー1体をタップしてもよい。そうしたとき、ターン終了時まで、このクリーチャーのパワーにそのタップしたクリーチャーのパワーを足す。)

 後援とは、後援を持つクリーチャーを攻撃させる際に召喚酔いも攻撃もしていないクリーチャーをタップさせることで、そのクリーチャーのパワーを後援持ちのクリーチャーに加算することができるキーワード能力です。

 「攻撃していない」なので、たとえ警戒持ちであっても攻撃クリーチャーをタップさせることはできません。速攻持ちのクリーチャーは召喚酔いしていないので、戦場に出したターンから後援に使用することができます。

先読

先読(章を選び、それに等しい数の伝承カウンターで始める。あなたのドロー・ステップの後に、伝承カウンター1個を追加する。飛ばされた章は誘発しない。Ⅲの後に、生け贄に捧げる。)

 先読とは、英雄譚の章をⅠからではなく、好きな章から選ぶことができるキーワード能力です。

 状況に応じて必要な章からスタートできるようになったことで、そもそも強力な英雄譚がさらに使いやすくなりました。

版図

版図 ― ~あなたがコントロールしている土地の中の基本土地タイプ1種類につき~。

 版図とは、平地・島・沼・山・森の5種の基本土地タイプを参照し、その数だけ呪文や起動型能力にボーナスが付くことを示す能力語です。

 基本的には3種類以上あるとコストパフォーマンスが良くなるものが多いので、版図はぜひ3つ以上を揃えて使いたいですね。

キッカー

キッカー N(この呪文を唱えるに際し、追加でNを支払ってもよい。)

 キッカーとは、呪文を唱えるに際し追加で指定されたマナ・コストを支払うことで、さらに強力な呪文として唱えることができるキーワード能力です。

 今回は白のカードに白のキッカーコストのような同色の組み合わせがなく、実質マルチカラーと言えるカードも多いので、強力なキッカーのカードを使えるように色の組合せを覚えておきたいですね。

麻痺カウンター

麻痺カウンター(麻痺カウンターが置かれているパーマネントがアンタップ状態になるなら、代わりにそれの上から麻痺カウンター1個を取り除く。)

 麻痺カウンターとは、麻痺カウンターが置かれているクリーチャーがアンタップする際にアンタップする代わりに麻痺カウンターを取り除き、アンタップしないカウンターが持つ能力です。

 アンタップ・ステップ以外にアンタップさせる呪文や能力でも麻痺カウンターを減らすだけなので注意しましょう。

 

 さて、続きましては各色のトップコモン・アンコモンを見ていきましょう!

3.『団結のドミナリア』のトップコモン&アンコモン

白・アンコモン

曙光の騎士》:先制攻撃とお手軽パンプ能力のおかげで、ほとんど一方的に戦闘することができる強力な軽量クリーチャーです。

ファイレクシアの宣教師》:2マナ2/3という優秀なスタッツを持ち、魂絆でダメージレースを優位にし、中盤以降はキッカーでリソースも回復できる非常に優秀なクリーチャーです。

翼套の司祭》:防衛をサーチできる《盾壁の歩哨》との組み合わせで再現性の高い飛行トークン生成ができるということもあり、環境最強アーキタイプとも言われる防衛デッキに必須のクリーチャーです。

白・コモン

アルガイヴの騎兵》:3マナで2枚分の働きをするので、横並びに価値がある白系において必要不可欠のクリーチャーです。

市民の拘束》:墓地参照カードが多い環境なので、追放が嬉しい優秀な除去です。

アルガイヴの密集軍》:横並びのアーキタイプにおいてダブルアクションをしやすく、高いパワーが後援の種としても機能する優秀なクリーチャーです。

青・アンコモン

霜拳の徘徊者》:護法を持つため対処が難しく、戦場に出た時のタップ能力で一時的に盤面を優位にすることができる、ダメージレースに入る際に非常に頼りになるクリーチャーです。

微小術師》:キッカーがあるおかげで、1マナ域に優秀な呪文が多く存在する環境とマッチしている、アドバンテージを稼ぎつつ自身も最低限のスタッツを持つ優秀なクリーチャーです。

ローナの渦》:基本的にはキッカー込みの4マナで後腐れない除去として、非常時には1マナのバウンスとして使用することができる優秀な除去です。

青・コモン

トレイリアの恐怖》:4~5マナの感覚で出せる護法持ちの5/5はさすがの脅威。青の軸となるクリーチャーです。

トレイリアの噴出》:バウンスしながらドローできる優秀な呪文です。前述した《トレイリアの恐怖》との相性も良いですね。

タラスの見張り》:4マナ3/2飛行と決して無視できない性能のクリーチャーながら、墓地に行った際にアドバンテージも稼ぐダブルシンボル以外に欠点のない優秀なクリーチャーです。

黒・アンコモン

締めつける瘴気》:全体除去かつ、キッカーで自分のクリーチャーも強化しつつその影響から守ることができる優秀なソーサリーです。

切り崩し》:1マナ除去として序盤をしのぐだけでなく、終盤もアンコモンかつ1マナという意外性のある除去として活躍する優秀なカードです。

暮影の騎士》:《曙光の騎士》ほどの盤面制圧力はないものの、攻める際には威迫とパンプ能力が頼もしい優秀な軽量クリーチャーです。

黒・コモン

光の消滅》:インスタントの確定除去かつ、マナ総量3以下のクリーチャーを破壊した時のライフ回復が嬉しい優秀な除去です。

ファイレクシアの憤怒鬼》:ドロー付きのクリーチャーとしてデッキを安定させる、アドバンテージ戦略にかかせないクリーチャーです。

アーボーグの奪還》:ライフを回復しながらクリーチャーを回収できるだけでなく、キッカーするとパーマネント・カードも「追加で」回収できるので、さまざまなカードとシナジーする長期戦において必須ともいえるカードです。

赤・アンコモン

静電式歩兵》:軽量呪文と相性がいいので青系と組み合わせることが多く、青赤系のアーキタイプにおいて無双の活躍が期待できる優秀なクリーチャーです。

勝利の炎》:序盤はほぼインスタントの確定除去として、中盤以降はキッカーでアドバンテージを狙える除去として優秀な除去です。

ハールーンの戦賛歌》:インスタントの4点除去はそれだけで信頼度が高く、キッカーによって大きくライフを回復することもできる優秀な除去です。

赤・コモン

稲妻の一撃》:信頼と実績のある昔から使われ続けている優秀な除去です。最後の一押しとして本体に撃てるのも嬉しいですね。

ケルドの急襲隊》:キッカーしない場合は少し頼りない性能ですが、キッカー込みだと盤面の展開力、速攻からの奇襲性と赤白の横並び戦略の軸となるクリーチャーです。

連合の戦暴者》:後援と相性が良いトランプルを持ちつつ、自身も3/4と文句ないスタッツの優秀なクリーチャーです。

緑・アンコモン

ウェザーシード盟約》:必要な基本土地を探してマナを伸ばしつつクリーチャーを盤面に残し、最後はパンプ能力で攻めに転じる……と、一枚で完結している強力な英雄譚です。

ニショーバの喧嘩屋》:2色で使っても最低限の2/3トランプルで、3色以上ならば2マナ域としては破格の性能となる、優秀なクリーチャーです。

羅利骨灰》:キッカー込みの性能でないとメインデッキに入れることはないですが、キッカーした際には触ることができる範囲が広い、環境にほとんどないインスタントの追放除去になる環境屈指の除去呪文です。

緑・コモン

蔦形成師の神童》:2マナ域として最低限の仕事をしつつ、キッカー込みの4マナ域としてアドバンテージを稼ぐことができる優秀なクリーチャーです。

死花の庭師》:全色出るマナ・クリーチャーなので多色戦略の肝、かつ接死により盤面にもしっかりと影響を与えられる優秀なクリーチャーです。

マグニゴスの歩哨》:緑の苦手な飛行に対して強い到達持ちかつ、4/4と4マナのクリーチャーの中では最高峰のスタッツを持つ優秀なクリーチャーです。

 

4.『団結のドミナリア』ドラフトの注目のアーキタイプ

 続きまして、『団結のドミナリア』の注目アーキタイプを紹介していきます。

注目のアーキタイプ・その1:白赤トークン

 「白赤トークン」は、白と赤のトークンを出すカードを軸に、全体強化呪文でバックアップして一気に押し切るアーキタイプです。

 《アルガイヴの騎兵》や《ケルドの急襲隊》などのトークンを出すカードで盤面に一気にクリーチャーを展開し、全体強化の代名詞《英雄的突撃》や、《戦元の熱狂》でバックアップするシンプルな戦略を取るので、このあたりのカードは見たら取るようにしたいですね。

 除去呪文などの単体で優秀なカードも必要ではありますが、あくまでこの横並びからの全体強化がメインの勝ち筋となるのでこの軸から大きく外れないように気を付けましょう。

 また、キッカーの噛み合いやマルチカラーでタッチしたいカードとして黒を必要するものが多いので、黒を絡めた2色土地は優先的に取っておくと採用できるカードの幅が広がります。

注目のアーキタイプ・その2:青黒コントロール

 「青黒コントロール」は、青と黒の優秀な妨害手段とカードアドバンテージを取るカードで相手の勝ち手段を潰しつつ手数で有利にゲームを進めるアーキタイプです。

 妨害系の呪文やドロー呪文から《トレイリアの恐怖》に早期に繋げるのが一番わかりやすい勝ち筋です。

 他には手数で勝るためにアドバンテージを稼ぐクリーチャーとして《ファイレクシアの憤怒鬼》と《タラスの見張り》が強力で、このどちらも使えるのがこの色の組合せの魅力的な点です。

 環境屈指のアドバンテージカードである《アーボーグの奪還》をキッカーできるように、ぜひ緑絡みの2色土地は優先して確保しておくようにしましょう。

注目のアーキタイプ・その3:青赤スペル

 「青赤スペル」は、インスタント・ソーサリーと相性が良いクリーチャーを軸に各種妨害で一方的にゲームを進め相手を圧倒していくアーキタイプです。

 《静電式歩兵》や《消えない想像体》等のインスタント・ソーサリーと相性が良いクリーチャーで攻めつつ、ある程度墓地にインスタント・ソーサリーが溜まれば《トレイリアの恐怖》で蓋をして勝つのが青赤スペルの狙っていくゲームプランです。

 そのためクリーチャーは本当に必要なものを10~13枚程度の枚数に抑え、《衝動》や《機を見た干渉》などの手札を減らさない呪文でインスタント・ソーサリーのカウントを増やしていきましょう。

注目のアーキタイプ・その4:緑多色

 「緑多色」は、多色と相性が良い版図のカードやマナサポートの多い緑と、キッカーの噛み合いが良くアドバンテージ獲得手段や除去が多い青と黒の3色を軸に、単体のカードパワーで相手を圧倒するアーキタイプです。

 初手付近に強力なレアが取れた場合、それを使いまわす《アーボーグの奪還》を使うためにこのアーキタイプになりやすいです。

 版図のカードを使うために多色にするというよりは、版図はあくまでオマケで、さまざまな色の強力なカードを使うために必要な土地を集める、という考えの方がデッキがまとまりやすいです。

 緑は多色方面ではなく《ガイアの力》などの強化系カードで攻める軸もありますが、これが混合する形になると攻めるのか守るのかちぐはぐな手札が来やすくなるので、多色化の際はこういった攻めに向いた呪文は極力採用しないようにしましょう。

 白と赤は除去以外で欲しいカードが少なく、強力なレアと除去以外はあまり採用することがないのでこの色絡みの土地は優先度が下がることを覚えておくといいかもしれません。

注目のアーキタイプ・その5:司祭防衛

 「司祭防衛」は《翼套の司祭》を《盾壁の歩哨》でサーチし、他の防衛クリーチャーと合わせて大量のトークンを出してそのまま勝ちを狙うアーキタイプです。

 アーキタイプ名にもした通り、《翼套の司祭》がない場合は成り立たないアーキタイプなので、まずは《翼套の司祭》をピックしてからこのアーキタイプを狙うようにしましょう。

 《翼套の司祭》が確保できたら、これをサーチするために《盾壁の歩哨》を最優先でピックし、《翼套の司祭》を使いまわすために《アーボーグの奪還》などの回収カードも優先的にピックするようにしましょう。

 盤面に強くシステムとしても強力な《機械仕掛けの跳ね橋》と《囈語のバリケード》を使える白と黒の色の組合せになりやすいです。

 完成すれば太刀打ちするのが難しいアーキタイプですが、必要なカードの要求値が高くなかなか組めないアーキタイプなので、《翼套の司祭》が序盤でピックできた際はぜひ挑戦してみましょう。

 

5.最後に

 これで今回の記事は終わりです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が少しでも、皆さんが新環境のドラフトを楽しむ助けになれば幸いです。

 今回は勝ち組なアーキタイプが分かりにくく、また色ごとの戦略も大きく変わってくるため、すべての色の理解度が必要な難易度の高い環境です。このような環境で勝てるようになるとドラフトのスキルアップの自信につながると思いますので、ぜひこの記事を参考にしてたくさん遊んでみてください!

 それでは皆さん、また次回の連載記事でお会いしましょう!

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