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今は笑って我慢の時

Adam Styborski
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2021年3月2日

 

 『時のらせんリマスター』は熱いセットだ。それは「マスターズのような限定生産の製品」というだけでなく「楽しく、燃えるようなカードが満載」という意味でもある。例えば旧枠加工を施されてこのセットのボーナス・シートに加わったおなじみの顔がいる。《鏡割りのキキジキ》だ。

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 キキジキは統率者戦やキューブ・ドラフトのプレイヤーならすぐに分かる象徴的なゴブリンだ。こいつの能力はシンプルで、ターン終了時までの期限付きの自分のクリーチャーのコピー・トークンを出すことで、いくつかの驚異的な活用方法がある。

 とにかくやってみよう。戦場に出たときや死亡したときの誘発型能力を持ったクリーチャーの価値を倍にする。(注意:『時のらせんリマスター』には複数種類のそういうクリーチャーがいる。)

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 《鏡割りのキキジキ》用に5マナ出せる余裕があるならもっと強いクリーチャーが選択肢に入ってくるだろうが、ここでは我慢しよう。《モグの戦争司令官》は出てきて1体、退場して1体の合計2体のトークンを展開し、わずか2マナでとてつもない価値を提供してくれるのでドラフトでは鉄板のカードだ。

 キキジキがこれをコピーするとかなりすごいことになる。コピーが戦場に出たときに1体、終了ステップに《モグの戦争司令官》のコピーを生け贄に捧げたときにもう1体ゴブリン・トークンが出る。だがこれよりも強い動きができる。

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 今度は文字通り火を使って料理してやれ! 《大火口のカヴー》も出たときと死亡したときの誘発型能力のペアを持っていて、戦場に出たときに2点、離れたときに4点を対象のクリーチャーに与える。キキジキでこれをコピーすると1ターンの間に同じクリーチャーに8点のダメージを与えることができる――コピーとオリジナルがそれぞれ出たときの2点が2回、コピーが生け贄に捧げられたときの4点で合計8点になる。

 そしてキキジキは速攻を付与するので望むならば自由に攻撃できる。どうせトークンは死んでしまうので、そうしたほうがいいんじゃないかな?

 ここまでは『時のらせんリマスター』で赤がもたらすもの――に加えてキキジキとシナジーを形成するもの――を見てきたが、クリーチャーのコピーはもっとトリッキーなこともできる。

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 《にやにや笑いのイグナス》は、何の誘発型能力もない《灰色オーガ》だ。出てきたときも死んだときも何もくれない。これには赤マナ1つと自身を手札に戻すことで唱えるために使ったマナを「返す」という一風変わった起動型能力がついている。

 これは少ないマナを支払って一時的に大量のマナを獲得する「儀式」(マジックの最初の製品にあった《暗黒の儀式》にちなんでいる)効果に少し似ているが、これは儲けがない。合計で4マナ支払って得られるのは3マナで、起動の赤マナを考えると2マナだけだ。

 しかし2ターンに渡って時間を賢く使うと(何をしたかわかるかな?)面白いことが仕掛けられる。例えば《にやにや笑いのイグナス》を3ターン目にプレイして次のターンに土地を置きマナを支払ってイグナスを手札に戻せるなら、使えるのは6マナになる――4ターン目ならば悪くないし、多分キキジキとかを唱えるのには十分だ。もし複数の呪文を全部同じターンに唱えたり、相手の予想よりも早く大きい呪文を唱えたりしようとするなら、《にやにや笑いのイグナス》はその助けになれる。

にやにや笑いのイグナス》 アート:James Kei

 だがキキジキはこれを馬鹿げたレベルにまで持ち上げることができる。我らが伝説のゴブリンは生け贄に捧げなければならないトークンを生成するが、そのタイミングは「次の終了ステップの開始時」であり、これはつまり終了ステップにトークンを作って丸々1ターン維持できるということだ。

 これが《にやにや笑いのイグナス》が輝く盤面だ。

 今あるのはタップ状態の山3つと9マナ浮き、おそらくアンタップ状態のマナ源だってあるだろう。9マナで何ができるだろう?(ヒント:ドラフトのピック中にこのマナで「何か」できるようにしておこう!)

 『時のらせんリマスター』は3月19日に発売される。帰ってきたカードと旧枠カードを見るには『時のらせんリマスター』カードイメージギャラリーと、プロモおよびボーナスシート・カードイメージギャラリーをチェックしてくれ!

(Tr. MASUYAMA Takuya, TSV YONEMURA "Pao" Kaoru)

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