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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ジャンド・フレンズ:タイヴァーとかけがえのない友と(スタンダード)

岩SHOW

 3月4・5日の横浜は、早くも咲いている桜がありつつも朝夜はまだちょっと寒さを感じる……あったかいとは言えない気候だったが、パシフィコ横浜のホール内は熱い・熱い・アツい空間だった!さすが横浜、凄い人だったぜ!沢山のマジックを愛するプレイヤーが集い、そしてそれぞれの思いを胸にトーナメントに参加する姿は最高だったよ。

 オープントーナメントのフィーチャーマッチに携わらせていただいたが、モダンもスタンダードもどっちも面白くて最高!特に国内にプレイヤーが多く、多くの定員が設定されそれも埋まったモダンは盛り上がると思っていた。事実その通りにむっちゃ盛り上がったのだが、スタンダードも負けず劣らず観戦していてむっちゃ楽しかった!スタンダードと言えばどうしてもMTGアリーナのランク戦や各地での予選結果など、インターネット上の情報からデッキパターンが少ない環境になっている印象があったのだが……やっぱりテーブルトップのイベントは予想できない、“生き物”なんだなと強く実感したよ。

 見慣れたカードはあっても、それをどう組み合わせてデッキという一つの形にまとめるかはプレイヤーそれぞれのチョイスが光るもの。やっぱり紙のカードを集めて、それをスリーブに入れて、会場に持っていってシャッフルして手に取る……そこまでやるなら自分の好みを優先するプレイヤーが多くなるよな。そう強く実感させてくれたのは、他でもないオープンスタンダードの優勝デッキだ!

Takurou Kamiya - 「ジャンド・フレンズ」
プレイヤーズコンベンション横浜 2023 スタンダードオープン 優勝 / スタンダード (2023年3月5日)[MO] [ARENA]
4 《ジアトラの試練場
4 《憑依された峰
4 《死天狗茸の林間地
3 《黒割れの崖
2 《銅線の地溝
3 《硫黄泉
2 《ラノワールの荒原
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
1 《反逆のるつぼ、霜剣山
1 《耐え抜くもの、母聖樹
1 《
-土地(26)-

4 《硬化した屑鉄喰らい
4 《税血の収穫者
2 《腐れ花
2 《ラノワールの壌土語り
2 《黙示録、シェオルドレッド
1 《偉大なる統一者、アトラクサ
-クリーチャー(15)-
3 《シェオルドレッドの勅令
2 《切り崩し
2 《削剥
1 《魂転移
1 《絶望招来
4 《鏡割りの寓話
3 《歓喜する喧嘩屋、タイヴァー
1 《不笑のソリン
1 《裏切りの棘、ヴラスカ
1 《向上した精霊信者、ニッサ
-呪文(19)-
4 《梅澤俊郎の生涯
3 《悪意ある機能不全
2 《豪火を放て
2 《抹消する稲妻
2 《削剥
2 《羅利骨灰
-サイドボード(15)-
Melee より引用)

 

 ジャンド(黒赤緑)というカラーリングは、前スタンダード環境でも一定の使用率を維持していた。黒には《黙示録、シェオルドレッド》《絶望招来》、赤には《鏡割りの寓話》と使えば得するパワーカードが揃っている。さらにこの2色が揃えば《税血の収穫者》で2マナ域にも非常に優秀なスタッフを迎え入れられる。

回転

 ここに更に青を加えると、《かき消し》などの打ち消しと《死体鑑定士》というこれまた優良スタッフが。このグリクシスと呼ばれる3色がシェアでは上回っているが、青ではなく緑を選ぶジャンドユーザーも少なくなかった。特に前環境では《産業のタイタン》を《ギックスの残虐》でリアニメイトする形が定番になっていたね。

 さて、今回優勝したジャンド。このリストの特徴は……やはり《歓喜する喧嘩屋、タイヴァー》!デッキ構築の方向性を決定づけるプレインズウォーカーで、これと噛み合うようなカードチョイスが随所に見られる。

 まずタイヴァーの常在型能力は、クリーチャーに疑似的な速攻を与えるもの。攻撃できるわけではないが、戦場に出たターンにタップを必要とする能力を起動できるようになる。《キキジキの鏡像》が変身したターンに即座に能力を使ってくるのはかなりヤバい。また[+1]能力はそのクリーチャーを起こすことで能力を再起動し、[-2]能力は墓地から2マナ以下のクリーチャーをリアニメイトするもの。つまりクリーチャー陣はこれらの能力と高いシナジー(相互作用)を形成できる陣容になっている。

 言うまでもなく相性が良い《税血の収穫者》、これをタイヴァーで2回以上使いまわすことで戦場を掃除するのがやはり最高のブン回りだが、他のクリーチャーもイカすぜ。《硬化した屑鉄喰らい》は3色デッキのマナ基盤を支え、早いターンのシェオルドレッドや《絶望招来》といった必殺ムーブに繋げるマナクリーチャー。そしてこれはタップ状態になると墓地を追放するというオマケというにはあまりにもゲームに影響を与えるオマケがついてくる。

 この墓地追放はオープン決勝において猛烈に機能し、青単が《傲慢なジン》《トレイリアの恐怖》を上手く使えなくなり勝利に大貢献していた。油カウンターが乗っていき、3個たまればパワー3になるのもたまらない。マナクリーチャーとして展開しつつ、速攻で能力起動でデッキのモッサリ感を大きく解消してくれる。

 マナクリーチャーは除去されがちだが、だからこそタイヴァーで蘇らせることでプランが崩れるのを防いでくれる。《ラノワールの壌土語り》と併せて2マナのマナクリーチャーがたっぷり分厚くとれるようになってデッキの安定感は増した形だ。

 そして《腐れ花》、この便利屋がたまらない。エンチャントやアーティファクトとは遭遇しないマッチアップの方が珍しいので、これで破壊するものは山ほどある。状況によっては増殖を選び、タイヴァーやその他のプレインズウォーカーの忠誠度を増やすというのも嬉しいオプションになるだろう。しかしまあどいつもこいつも2マナパワー3、打点の面でも優れ過ぎだって!

 ジャンドは除去が豊富で、かつタイヴァー×税血で盤面を捌き切れるのでプレインズウォーカーが色々と採用されている。《不笑のソリン》《裏切りの棘、ヴラスカ》《向上した精霊信者、ニッサ》、新カードを含む1枚挿しが読めないゲーム展開をもたらすぞ。

 ソリンとニッサはトークンを生成し、ヴラスカは毒を与えるのでいずれもフィニッシャーになれるカードだ。この手のプレインズウォーカーたっぷりなデッキは「○○フレンズ」と形容される。このデッキはさしずめ「ジャンド・フレンズ」。タイヴァーを中心にお友達が大集結。サイドの《梅澤俊郎の生涯》といい、好みがバチバチに反映された素敵なお手製デッキだ。フレンズデッキで勝利し、そして優勝記念の写真を友人らと……最高じゃないか。

 スタンダード、面白いぜ。今回のプレイヤーズコンベンションがきっかけで、スタンダードのデッキを紙のカードで組んでくれる人が一人でも多くいたら……それは何よりも嬉しいことだね。

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