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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

いつだってスタートダッシュはアグロが切る。白単アグロのバリエーション(スタンダード)

岩SHOW

 新環境の合言葉! 毎度毎度口酸っぱく言っててごめん! でもこれは格言なので知っておくことに意味はあるので今回も書く。

 構築フォーマットにおいて、新しいセットが出るなどして環境に変化がもたらされる際、すべてのデッキが位置から組み直しになる時にスタートダッシュを制するのはアグロデッキであるッ!

 新しいカードの中からその真価を見出そうとした時、アグレッシブにクリーチャーで攻めるデッキに使われるようなカードの方が圧倒的にわかりやすいのがその一因だ。6マナで新しい能力などテキストが長々と書いてあるカードよりも、2マナでパワー3で速攻で~みたいなシンプルなカードの方が直感的に強いと分かるからね。

 そういったカードで固められたアグロデッキは新セットリリース直後に高い使用率を誇ることになりがちである。アグロデッキは1ゲームの時間も短くなるので、新カード・新構築を試してはいじってという工程をより効率よく行えるからというのも近年では大きな後押しになっているだろう。MTGアリーナでランク戦をゴリゴリやるにはアグロが最適だからね。

 この9月にやって来たスタンダードの新環境は、ローテーションも含んでいる。これまで使えたカードが大量に環境を去り、同時に『イニストラード:真夜中の狩り』の新カードが加わるという混沌とした状況だ。つまりはアグロが活躍しやすい土台はバッチリ。

 大方の予想通り、『イニストラード:真夜中の狩り』がリリースされた直後のMTGアリーナでは「白単アグロ」が非常に多く見られることとなった。

Andrea Mengucci - 「白単アグロ」
スタンダード (2021年9月17日、『ゼンディカーの夜明け』~『イニストラード:真夜中の狩り』)[MO] [ARENA]
18 《冠雪の平地
2 《不詳の安息地
-土地(20)-

4 《掟綴りの僧侶
4 《素拳のモンク
4 《堕ちたる者の案内者
4 《クラリオンのスピリット
4 《剛胆な敵対者
4 《光輝王の野心家
4 《スカイクレイブの亡霊
-クリーチャー(28)-
4 《導きの声
4 《農家の勇気
2 《カビーラの叩き伏せ
2 《スカイクレイブの大鎚
-呪文(12)-
1 《環境科学
1 《拡張解剖学
1 《墨獣召喚学
3 《神に愛された者、シグリッド
4 《ガーディアン・オヴ・フェイス
4 《ポータブル・ホール
1 《花の大導師
-サイドボード(15)-
Andrea Mengucci氏のTwitter より引用)

 

 2マナでパワー3の絆魂と攻めっ気を重視したクリーチャーであり、追加のマナを支払えば自身も周りのクリーチャーも強化するという、どのターンに引いても仕事をするタイプのクリーチャー《剛胆な敵対者》。

 これを採用した白単を組もうと考えていたプレイヤーもかなり多くいたことかと。アンドレア・メングッチ/Andrea Mengucciもそれを実行に移し、既存の優秀な白いクリーチャーたちとこの敵対者を組み合わせたリストを構築した。

 《スカイクレイブの亡霊》以外のクリーチャーはすべて2マナ以下と序盤の盤面づくり、1ターンに複数回の行動を最大限に意識したクリーチャーチョイスだ。そうすることで《掟綴りの僧侶》《クラリオンのスピリット》の価値を最大限に引き出せて、強い戦場を早期ターンに形成して押し切ってしまえる。ターンが進んだなら敵対者で皆強化して雪崩れ込もうと。

 《光輝王の野心家》《スカイクレイブの大鎚》と打点を引き上げる選択肢は従来のものを用いているが、前述の1ターンに2回行動コンビや、《素拳のモンク》との相性を考えて1マナのソーサリーも2種8枚採用されている。1つは既存カードより《導きの声》。

 履修で講義カードを手に入れられる、このデッキの数少ないアドバンテージ源でもある。履修自体の効果はそれほど強いものではないが、手札が減らないということは何よりも重要だ。

 そして新カードより《農家の勇気》。

 通常時もフラッシュバックも1マナと使いやすく、+1/+1カウンターを置きつつ警戒も与えるので同じアグロデッキと戦う際にもより大胆に攻めやすくなる。一見地味ながらかなり強いコモンだ。

Homunculus - 「白単アグロ」
ラジオ東淡路スタンダードトーナメントChapter.1 最初の噴火/The First Eruption / スタンダード (2021年9月18日、『ゼンディカーの夜明け』~『イニストラード:真夜中の狩り』)[MO] [ARENA]
18 《冠雪の平地
2 《不詳の安息地
-土地(20)-

4 《戦場の猛禽
4 《掟綴りの僧侶
4 《堕ちたる者の案内者
3 《素拳のモンク
4 《レオニンの光写し
4 《光輝王の野心家
3 《クラリオンのスピリット
-クリーチャー(26)-
4 《導きの声
4 《農家の勇気
3 《ポータブル・ホール
3 《運命的不在
1 《戦闘講習
-呪文(15)-
1 《謹慎補講
1 《休憩時間
1 《拡張解剖学
1 《墨獣召喚学
1 《記憶留出法
1 《スピリット召喚学
1 《殲滅学入門
2 《炎巻物の祝賀者
2 《パラディン・クラス
1 《ポータブル・ホール
1 《セジーリの防護
2 《ドゥームスカール
-サイドボード(15)-
MTG Melee より引用)

 

 同じく白単のリストをもう1つ。こちらは《剛胆な敵対者》は不採用、代わりに《レオニンの光写し》が全体強化役を担う。

 《農家の勇気》とこのレオニンの組み合わせは、一瞬で対戦相手のライフを削り切る、ちっちゃいクリーチャーが並んでかわいいね、なんて油断してたら即お陀仏だ。

 そして先ほどのリストと差異はもう1つ、メインからの除去採用。《ポータブル・ホール》とともに新カード《運命的不在》を採用。

 対戦相手のクリーチャーを除去し続け、一方的に押し切るゲーム展開を強く意識している。

 アグロ同士の戦いにおいて、除去カードというものは言うまでもなくゲームの流れを大きく変えるものだ。間接的な手段を使って優位に立つか、それともクリーチャーをより多く採用して物量で押し切るか。このあたりは個人の好みもあるし、アグロ同型以外のマッチアップも考慮して選びたいところ。

 「白単アグロ」はローテーション後のイニストラード・スタンダード環境において機先を制した。このまま勢いを継続するのか、あるいは対応すべき相手と使用するべきカードを見極めたコントロールなど他のデッキが待ったをかけるか。そこから終わらない、環境の変遷が続いていく……というのが理想のスタンダード。さあ、今日もスタンダードのデッキを練っていこうぜ。

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