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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

白ウィニー:バハムートと悟りの安息地(スタンダード)

岩SHOW

 新セットリリース直後にはオンライントーナメントが活発化する!

 やっぱり皆新しいカード、新しいデッキを使って遊びたいっていう思いをいつも抱いているってことだね。真新しいデッキリストもうじゃうじゃ出てくるので当コラムとしてもありがたい! 世界中のトーナメント主催者および参加してリストを残してくれるプレイヤーたちに感謝を。

 今回のセット『フォーゴトン・レルム探訪』は、毎年基本セットが発売されているタイミングで特別にリリースされたものになる。ダンジョンやd20を振るなど、これまでにない奇抜なカードも多数見られるが、古典的なファンタジーの空気とともに基本セットらしい一面も見られる。

 単色各色にプレインズウォーカーが用意されている点などからはそれが強く伝わってくると思う。「ダンジョンズ&ドラゴンズ」の登場人物をプレインズウォーカーとしたこれらのカードの中から1つを用いたデッキを紹介しよう。その1枚は《花の大導師》!

 この白のプレインズウォーカー、タイプを見てもらえばわかるようにその正体はバハムート。バハムートとはメタリック・ドラゴンという種族の主神であるのだが、このカードのように人間の姿に化けて物質界を放浪することもあるのだとか。このとき彼は黄金のカナリアを7羽連れて歩くという。厳密にはそれらは7頭のエインシャント・ゴールド・ドラゴンが姿を変えたものだとか。バハムートはドラゴンの女王であるティアマトとその子孫であるドラゴンたちの悪事を防ぐために定命の者に力を貸してくれることがあり、そのために正義と守護の守り神として信仰されてもいる。マジックの白のイメージにピッタリだね。

 《花の大導師》は白らしいキーワード能力を持たないクリーチャーに戦闘を行わせない妨害能力と、彼を信仰する《素拳のモンク》をサーチするアドバンテージ能力と、2つの起動型能力を武器とする。これらで忠誠度を高めれば、その本来の姿となりて7/7のドラゴンとして暴れ回ってくれる。堅実な働きをしつつ夢もある、基本セットらしい仕上がりだ。

 《素拳のモンク》も1マナと使いやすく、かつ最近目にする機会が多い1ターンに2回の呪文をキーに強化される能力も持つ。

 これらのカードをセットでデッキを組むわけだが、モンクを活かすためには他にも軽いクリーチャーを採用して序盤から展開して強化していく形がベストだろう。というわけでトーナメントに姿を現したのは、前スタンダードでも活躍していた「白ウィニー」だ!

fernando herrera - 「白ウィニー」
Black Pearl AFR Tournament 6位 (2021年7月11日)[MO] [ARENA]
20 《冠雪の平地
4 《不詳の安息地
-土地(24)-

4 《素拳のモンク
3 《命の恵みのアルセイド
3 《無私の救助犬
2 《巨人落とし
4 《光輝王の野心家
4 《歴戦の神聖刃
2 《ドラニスの判事
2 《忠実な軍用犬
3 《スカイクレイブの亡霊
2 《精鋭呪文縛り
2 《ガーディアン・オヴ・フェイス
-クリーチャー(31)-
2 《高貴なる行いの書
1 《スカイクレイブの大鎚
2 《花の大導師
-呪文(5)-
1 《命の恵みのアルセイド
3 《傑士の神、レーデイン
2 《精鋭呪文縛り
1 《スカイクレイブの亡霊
3 《ポータブル・ホール
3 《ガラスの棺
2 《神聖なる一撃
-サイドボード(15)-
MTG Arena Zone より引用)

 

 白単色、1ターン目からクリーチャーを展開するアグロデッキ。古よりのその呼び名は「白ウィニー」。

 現在のこの手のデッキは、その頑丈さを売りにしている。1マナ域には《命の恵みのアルセイド》《無私の救助犬》を用意し、攻撃を担うクリーチャーを相手の除去などから守護。

 《歴戦の神聖刃》はパワーが3あり自力で破壊不能を得られる。

 これらで戦場にクリーチャーを保ちながら攻めていく。打点としぶとさを併せ持っている強力なデッキだ。

 ここに《花の大導師》と《素拳のモンク》のパッケージを取り入れたものが上記のリスト。クリーチャーを途切れさせない《花の大導師》でさらにしぶとさアップを狙っている。《素拳のモンク》は序盤の1マナ域連打でも育てられるので、打点を下げずにデッキの引き出しを増設することに貢献している。

 デッキの頑丈さをさらに増しているのが《ガーディアン・オヴ・フェイス》。

 フェイズ・アウトさせることで破壊不能やプロテクションでも対処できない《絶滅の契機》《影の評決》などへの耐性を高める。かつ本人が3/2と打点もあり、対戦相手にとってはかなりイヤ~な存在としてプレッシャーをかけてくれる。

 これら新カードを含む戦場を継続させるクリーチャーと《不詳の安息地》を組み合わせることで太くしっかりしたデッキになるわけだが……

 この安息地のポテンシャルに注目して採用されているカードもある。《高貴なる行いの書》だ。

 ハッキリ言って、このデッキにはライフを得る手段がほとんどない。アルセイドに装備品をつけるくらいでしか、天使・トークンを得る能力は誘発させられない。なのでこの能力には期待していない。

 重要なのは2つ目の能力、天使に悟りカウンターを置くというもの。このカウンターを持った天使をコントロールしている限り、相手は勝利できずこちらは敗北しない。ライフが0以下になろうが、ライブラリーが0枚になろうが、延々とゲームを続けられる。

 天使が戦場を離れれば不死身の悟りが解けて即敗北となるので注意が必要だが、そこで《不詳の安息地》の出番。この土地はクリーチャー化すると多相を持ち、すなわち天使でもある。《高貴なる行いの書》で悟りカウンターを置ける。そのままターン終了を迎えるとクリーチャーから土地に戻るわけだが、そうなっても悟りカウンターによって得た能力は保持している。

 通常の天使・クリーチャーであれば除去される可能性におびえなければならないが、安息地であればその後クリーチャー化させなければずっと土地。土地破壊でも飛んでこない限りは安心で、ゲームに負けなくなる。後は相手がライブラリーを引き切るまで眺めていれば良いという算段だ。

 デッキによっては詰んでしまうこのコンボだが、弱点もないわけじゃない。インスタント除去で介入されてしまうし、あまりにも流行した場合は各デッキが(現状のスタンダードにはないが)《廃墟の地》の類の土地破壊など対策を用意してくる。そして何より、2枚揃えて不死身コンボが決まれば良いが、そうでない場合。《高貴なる行いの書》は単体で何もしないお荷物になってしまう。ここでクリーチャーを引けたら、という場面で引いてしまう自分にとっての地雷でもあるのだ。これに特化させればそれはそれで白ウィニーの魅力は下がるし、決まればラッキーくらいの気持ちで1~2枚採用しておくというのが無難なのかな?

 《スカイクレイブの亡霊》《ドラニスの判事》《精鋭呪文縛り》とクリーチャーを出していくだけで対戦相手にナチュラルに妨害が行えるのもこのデッキのセールスポイント。

 とりあえずアグロデッキが使いたい、あるいは《花の大導師》がパックから飛び出したけどどう使おうか?と迷っている人がいたらシンプルなこのようなリストからスタートしてみるのがオススメだ。対クリーチャーも対コントロールも無難に立ち回れる「白ウィニー」、癖がないデッキをお求めの方はどうぞ!

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