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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

奇数ランプ:忘れたころに刺すオボシュ(スタンダード)

岩SHOW

 マジックの背景世界は多元宇宙をベースとしたものだ。いくつもの次元があり、そこには多種多様な種族がそれぞれの環境に適応して生活している。人間、エルフ、ゴブリンなどのファンタジーではおなじみの種族から、ヴィダルケンやスリヴァーといったマジック独自の種族まで顔ぶれは豊かだ。

 マジックオリジナルの種族の中でも面白い存在がヘリオン。ヘリオンはワームのように巨体で筒状の胴体を持ち、ほとんどのものは頭部らしき部分に円形の口しか見当たらない。そこには牙が並び、さらにそれを取り囲むように複数の触手が伸びる。これらを用いてなんでも飲み込む、凶暴な捕食者として描かれている。

 地中や溶岩内を移動するそれはすべてが赤を含む。伝説のヘリオンもそれなりにいて、最近だと《獲物貫き、オボシュ》が記憶に新しいだろうか。

 2020年前半にはこれを相棒にした赤単、黒単、赤黒2色の攻めるデッキを多く目にしたものである。最近は静かになっていたが……ヘリオンとはそもそも「乱暴者」という意味であり、ヤツがいつまでも大人しくしていると思っちゃいけない。最近はまたスタンダード環境に出現するようになってきた。

 勢いよく這いずり回り獲物を狙う、伝説のヘリオンが相棒として君臨する新デッキとは……

cftsoc - 「奇数ランプ」
CFB Clash Qualifier 4 Day 2 ベスト8 / スタンダード (2020年11月15日)[MO] [ARENA]
3 《
4 《
2 《
4 《ケトリアのトライオーム
4 《岩山被りの小道
2 《河川滑りの小道
4 《寓話の小道
-土地(23)-

4 《エッジウォールの亭主
4 《砕骨の巨人
4 《厚かましい借り手
4 《カザンドゥのマンモス
4 《恋煩いの野獣
1 《玻璃池のミミック
4 《峰の恐怖
4 《豆の木の巨人
-クリーチャー(29)-
2 《耕作
4 《発生の根本原理
2 《グレートヘンジ
-呪文(8)-
1 《獲物貫き、オボシュ
-相棒(1)-

2 《鎖巣網のアラクニル
2 《運命の神、クローティス
1 《打ち壊すブロントドン
3 《神秘の論争
4 《アクロス戦争
2 《怪物の代言者、ビビアン
-サイドボード(14)-
MTGMelee より引用)

 

 オボシュの能力は「自分のコントロールしている、点数で見たマナ・コスト(CMC)が奇数の発生源が与えるダメージを倍にする」というもの。攻めるデッキ、いわゆるアグロにとってはかなりありがたい、最後の一押しとなる能力だ。

 その代わり、これを相棒にするにはデッキ内にCMC奇数のカードしか採用できない。まあそれも些細な問題で、要は1マナクリーチャーでびっしりと固めれば良いのである。ゆえに「オボシュ・アグロ」がその数を増やしたものだが……ここにきて登場したこのリストはそのような軽量アグロではなく、ランプである。

 ランプ、そう、使えるマナを増やすことでより重いマナ域のパワーカードで勝負するデッキのことだ。これは意外ではあるが、ランプデッキを組む際に自然とCMC奇数のカードだけ集めて無理のない形にまとめあげられるのであれば、スマートなやり方である。

 オボシュをサイドボードから手札に加えて唱えると合計8マナ。アグロデッキでは到底同一ターンに捻出できるマナではないが、ランプであればいとも簡単にこれをこなす。マナがある時の選択肢が増えればランプにとってこれより心強いことはない。

 そんなわけでクリーチャーを主体とし、オボシュという勝ちパターンを得た「奇数ランプ」がその数を増やしている。

 ランプデッキといっても、基板となるのは「アドベンチャー」デッキだ。出来事能力を持ったクリーチャーと《エッジウォールの亭主》で固めて、ランプ戦術と好相性の《豆の木の巨人》を活かす形になっている。

 これだとデッキ内にはCMC奇数のカードしか採用できなくとも《砕骨の巨人》《厚かましい借り手》などの出来事で2マナの選択肢が用意できるため、2ターン目などにもきっちりと動けるようになる。相棒デッキを組むならこういう工夫が大事だね。

 亭主で手札もきっちりと補充しつつ、ランプというほどマナが伸びなくとも3マナの出来事クリーチャーなどでプレッシャーをかけ続けて殴り勝つこともできるのでデッキの柔軟性が増す。

 肝心のランプのゴール、重いところは《グレートヘンジ》と、そして《発生の根本原理》。

 根本原理は唱えて《峰の恐怖》と複数のクリーチャーが飛び出すと大ダメージをたたき出して一気にゲームが終わる。最も恐ろしい組み合わせは《カザンドゥのマンモス》と《寓話の小道》などの土地が含まれている時。

 《峰の恐怖》の能力を最後に解決するようにして、土地とともに戦場に出たマンモスの上陸能力を先に解決。複数の土地により膨れ上がったマンモスのパワー分、ドラゴンが火を噴いて相手のライフを燃やし尽くすという算段だ。めくれるクリーチャーのパワーが少ない時でも、あらかじめオボシュが出ていたりするとのけぞるようなダメージにまで伸びることも。地道に戦っていけるデッキにこういう超必殺技が用意されている構成、良いねぇ。

 サイドボードにはオボシュの相棒を解除してでも使おうと《アクロス戦争》が4枚フル投入されている点にも注目だ。

 アグロ相手には8マナ手に入った後のオボシュなどよりも、もっと現実的なコストの《アクロス戦争》で勝ちに行くべし、と言うわけである。

 扱いやすく、爽快感にあふれた「奇数ランプ」。347本もの足でうごめき暴れ狂うオボシュのようになりたい、そんな時にはこんなリストでぜひハッスルしてほしい。

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