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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:シミック・プリズン(スタンダード)

岩SHOW

 今週のCool Deck! このコラムもようやく『ゼンディカーの夜明け』リリース後に実際に使われたデッキを紹介できる形に。ようやく追いついたね~全国のクールなデッキファンの皆さん、お待たせしました!

 いや~どうですか、夜明けは。このセットが皆さんにとってのクールの始まり、クールの夜明けとならんことを心より祈っておりますよ。というわけで早速、デッキリストをご覧いただこう!

AliEldrazi - 「シミック・プリズン」
スタンダード (2020年9月19日、『エルドレインの王権』~『ゼンディカーの夜明け』)[MO] [ARENA]
5 《
5 《
4 《寓話の小道
4 《神秘の神殿
2 《ヴァントレス城

-土地(20)-

4 《水蓮のコブラ
4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ
2 《老いたる者、ガドウィック

-クリーチャー(10)-
4 《ジュワー島の撹乱
4 《当惑させる難題
2 《バーラ・ゲドの復活
3 《耕作
1 《サメ台風
3 《崇高な天啓
4 《不連続性
3 《海門修復
3 《時の支配者、テフェリー
3 《精霊龍、ウギン

-呪文(30)-
1 《漁る軟泥
3 《長老ガーガロス
1 《老いたる者、ガドウィック
4 《ベイーンのヴェール
4 《神秘の論争
2 《サメ台風

-サイドボード(15)-
AliEldrazi氏のTwitter より引用)

 

このクールなデッキは?

 デッキ名は「シミック・プリズン」。ローテーションによりラヴニカのギルドであるシミック連合のカードは去ったが、このカラーリングのデッキは《自然の怒りのタイタン、ウーロ》がいる限りまだまだ存在感を示し続けるだろう。

 シミックカラーのデッキなのは良いとして、プリズンとは何か? これはかなり古い時代から用いられるデッキ名の1つであり、プリズン=Prison、すなわち牢獄の意味であり、ロック戦術を備えたデッキ全般を指すものである。ロックとはLock、鍵をかけるように閉じ込めることを意味する。《冬の宝珠》と《氷の干渉器》で相手の土地を封じてマナを使えなくするクールなデッキが懐かしい。シミックカラーがこの新しいスタンダード見せるロックとは、クールな予感がするぜ。

どこがどうクールなのか?

クールポイントその1:マナの使い道は……

 デッキとしての基本的な動きはランプに準ずる。緑が得意とする、土地を手札やライブラリーから戦場に出して使えるマナを増やし、コストの重いカードでドカンと一発決めるスタイルである。前回紹介した《創造の座、オムナス》を用いるランプデッキ同様に《水蓮のコブラ》を備えたことで、序盤からかなりの手数で積極的に動いていける。

jp_94zyrBZ06t.png

 ウーロから土地を出してマナを得て、《耕作》から土地を出してマナを得て、土地を一気に展開。そこから繋げるパワーカードは……お馴染みの《精霊龍、ウギン》がゲームを終わらせるフィニッシャー兼全体除去役で採用されている。

 安心と信頼の絶対的エースだが、しかしこれだけではただのランプである。プリズンを名乗るには、相手を封じ込めるカードを用いねば。その手段が……《不連続性》!

 これを唱えることで相手のターンを終わらせる。強制的かつ問答無用で行動不能にして、こちらだけがウギンというパワーカードで押すという自由を手に入れるのだ。この傲慢さこそこのデッキのクールさだ。

 相手のアップキープに唱えてドローもさせずに終わることもあれば、ある程度泳がせてマナや手札を消費したところを強制終了させても良い。最高にクールな使い方で相手を時の牢獄に封じよう。相手が自由に行動できない間に《時の支配者、テフェリー》の忠誠度を貯めて[-10]能力を決めれば……それだけで24時間はすべての物事がクールに感じられることだろう。

クールポイントその2:ランプして良いのは私だけ

 このデッキは他のランプデッキに対するアンチテーゼという側面もかなり強い。そのデッキパワーの高さから、圧倒的な使用者数を誇るオムナス系のランプデッキ。これに対する解答が《当惑させる難題》!

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 このエンチャントは対戦相手が1ターンに土地を2枚以上戦場に出すことを許さない。出したなら、その代償として土地を1枚手札に戻すことになる。上陸こそ誘発させることはできるが、マナを増やして大技へという動きは真面目に毎ターン土地を置くことで目指さなければならない。この対ランプにおける必殺の1枚で相手を封じ込め、こちらだけが土地を伸ばして置き去りにする、これまた傲慢極まるクールさだ。

クールテクニック!

 このデッキの小技として、まずは前環境でも見られた《不連続性》を用いるマニアなテクを。《自然の怒りのタイタン、ウーロ》は通常、手札から唱えた場合はそのまま生け贄に捧げられて墓地に落ちてしまう。墓地を肥やして脱出させることで戦場に定着し、戦闘が行えるようになるのだが、墓地対策をされた場合は脱出が難しくなってしまうのが弱点。

 これを解決するのが《不連続性》だ。ウーロのドロー・回復・土地を置く能力を解決したら、その後に生け贄に捧げる能力を解決する前に《不連続性》! 自分のターンなのでたった2マナで唱えられ、これでターンを終わらせることでウーロはそのまま戦場に残る。クールにターボウーロ戦術を決めて対戦相手を圧倒しよう。

 もう1つのテクニカルなカードは《崇高な天啓》。

 モードが非常に多く、このカードのポテンシャルをどれだけ引き出せるかでその人のクールさが分かる、試金石的な1枚とも言える。呪文を打ち消しながら相手のクリーチャーなどを戻すことで《不連続性》のように相手の自由を封じたり、各種上陸能力を打ち消して計算を狂わせたり。コブラのコピーを生み出すことで次のターンにマナを大量に得たり、《老いたる者、ガドウィック》を手札に戻し、これを再使用して物量差で勝負を決めたり。とにかくやれることは多数だ。もちろんこれでもウーロが生け贄になることを防げるし、相手のウーロの脱出を打ち消すこともできるぞ!

さらなるクールのために

 かなり完成度が高いリストなので、これ以上のクールを求めるとデッキの形が歪みそうではある。ただ、デッキ内の土地の多くが《海門修復》のような両面カードであるため、ここのチョイスをいじってみるのは良いかもしれない。具体的には《シルンディの幻視》。

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 これで《不連続性》か《崇高な天啓》を探り当てるという動きは悪くなさそうだ。余りがちなマナの使い道として、後半能動的に動けることは評価できると思う。

クールなまとめ

 新環境スタート直後に、人気デッキを狩る姿勢たるやクール。「シミック・プリズン」は一般的なランプよりは使う人を選ぶ側面があるかもしれないが、ハマった時はまさしく圧倒的。よりクールなランプで、スタンダードで自由とは何なのか、体現してほしい。

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