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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

狩人が集うアブザン・デッキ:基本セット2021に向けて(スタンダード)

岩SHOW

 狩人の生活というのに憧れを抱いてしまう。

 自然の中で気配を殺し、罠を仕掛け、獲物を待ち続ける忍耐力。標的が見せるごくわずかな隙を逃さずに撃ち抜く集中力。ハンターのドキュメンタリーなんか面白くてついつい見入ってしまう。もちろん、自らの手で仕留めた動物の肉を美味そうに食べるというシーンではこちらもゴクリとくるものがあるね。ワイルドな生活、いつの日か送ってみたいものだなぁ。

 いきなり明日から君も狩猟者!ってわけにはいかないが(いろいろな手続きなんかが必要だからね)、マジックの世界であればあなたも今すぐに立派なハンターに……それも生態系の頂点に君臨する「頂点捕食者/The Apex Predator」になることができるぞ!

 マジック界で最も有名な狩人といえば、ガラク・ワイルドスピーカー! プレインズウォーカーである彼は、さまざまな次元を渡り狩りを行う。また各地で遭遇した獣たちと絆を育み共に戦う仲間とする能力も持っている。今日は孤高の狩人にして自然の守護者たる力を備えたガラクを用いるデッキを紹介しようじゃないか。

 デッキの色は白黒緑、通称アブザンと呼ばれるカラーリングだ。この色の組み合わせは古くは『アポカリプス』のころから、中速デッキを好むプレイヤーの心を鷲づかみにしている。

 特徴として、クリーチャーをはじめとするパーマネント除去に長け、カード2枚分の仕事をしたり決定力が高かったりするクリーチャーを有している。速攻で勝負を決めるというよりは、相手の攻め手を払いのけ、こちらの重量級で押しつぶすというプランのデッキになることが多く、今日取り上げるリストもその例に漏れないものとなっている。それじゃあ実際に見てみよう。

Steelgrip - 「アブザン」
スタンダード(BO1) (2020年6月20日)[MO] [ARENA]
4 《神無き祭殿
1 《静寂の神殿
4 《寺院の庭
2 《豊潤の神殿
4 《草むした墓
4 《疾病の神殿
4 《インダサのトライオーム
3 《ロークスワイン城

-土地(26)-

4 《怪物の災厄、チェビル
4 《楽園のドルイド
4 《エイスリオスの番犬、クノロス
3 《探索する獣
4 《狼の友、トルシミール

-クリーチャー(19)-
4 《ネスロイの神話
4 《絶滅の契機
4 《ゴルガリの女王、ヴラスカ
3 《呪われた狩人、ガラク

-呪文(15)-
Steelgrip氏のTwitter より引用)

 

 《呪われた狩人、ガラク》をデッキ内最重量の頂点に据え、単色多色問わず優れたカードを取りそろえた綺麗なデッキだ。

 注目ポイントは《怪物の災厄、チェビル》が4枚フル投入されている点。

 彼もまた、ガラクほどではないが偉大なハンターであるという。どうにも「自称」らしく、イコリアを訪れたビビアンにも鼻で笑われているのだが……カードとしては接死を持っていてダメージさえ与えられればどんな猛獣も相討ちに持ち込めるので、毒物などの使い手としてはしっかりと実力がありそうだ。

 彼はまた、賞金カウンターというものを用いる非常に珍しい能力も持つ。これを置いてクリーチャーやプレインズウォーカーが死亡すれば、ライフを3点回復してカードを1枚引ける。先に述べたようにパーマネント破壊はアブザンのお家芸。さまざまなカードで盤面を制し、手札を補充して抜かりないゲーム展開へと持って行くのがこのデッキの狙いだ。

 チェビルとあわせて嬉しいパーマネント破壊役にはまず《ゴルガリの女王、ヴラスカ》。

 点数で見たマナ・コスト(CMC)が3以下で土地以外であればなんでも壊せて、2枚目以降のチェビルを引いてしまった際には生け贄に捧げて他のカードをドローすることもできて綺麗に噛み合っている1枚だ。

 《ネスロイの神話》は基本はクリーチャー破壊だが、アブザンカラーのマナを全て用いて唱えれば土地以外何でも破壊できるようになる万能インスタントだ。

 これらを中心に、効果が大きい《絶滅の契機》も用いて対戦相手のクリーチャーの生存を許さない(これは破壊ではなく追放なのでチェビルとの相性は良くないが)。

 《狼の友、トルシミール》4枚採用も象徴的だ。

 3/3のトークンを生成し、5マナでクリーチャー2体で打点は6と優秀。そして狼が戦場に出ればそれは対戦相手のクリーチャーと格闘を行い、ついでに3点回復できるという能力。これで相手の賞金首を仕留めればチェビルとあわせて6点回復と1枚ドロー。これはかなり大きい数字で、一度でも決まれば対クリーチャーデッキで勝敗を分けるレベルのナイス・シナジー(相乗効果)。

 また、デッキの親玉である《呪われた狩人、ガラク》との相性も抜群だ。2体の狼・トークンが両方とも敵に噛みつき、タフネス4以下を毎ターン自動で討ち取りつつ[-6]能力を目指せる。アグロデッキを相手にするのに疲れたぞという時には、これらで相手を狩ってやろう。


 

 さて、せっかく『基本セット2021』が発売される(先行リリース実施中&各種デジタルゲームでは実装済み)ので、このデッキもアップデートして楽しみたいところ。どんな新カードを加えれば良いだろうか。

 例えば……除去の枠に《取り除き》はどうだろうか。

 CMC3以下のもののみという制限はあるが、より軽くて使いやすく、クリーチャーだけでなくプレインズウォーカーも破壊できるのでチェビルの能力とは噛み合っている。

 チェビルとのシナジーを意識するのであれば《ムウォンヴーリーの世捨て人、ジョルレイル》も面白い。賞金を稼いで猫をたくさん養おう。

 フィニッシャー枠には久しぶりにスタンダードに帰ってきた《悪斬の天使》なんかも良さそうだ。ゴツンゴツンと殴るたびに大量回復させてくれるので、相手の勝利が遠のいていくのが快感だ。

 プレビューにて「緑の悪斬」と評された《長老ガーガロス》も気になる1枚。名前が良いのでそれだけでも無条件に使いたくなる。戦闘するたびにどんどんとこちらを有利にしてくれるのはなんだか《魂売り》を思い出す。

 また、せっかくだから《解き放たれた者、ガラク》を使うということも検討してみたい。

 《呪われた狩人、ガラク》が生成する狼・トークンの能力は「各ガラク」に対して忠誠カウンターを置くものなので、カード名が違うため戦場に共存できるこの新たなガラクにも効果あり。忠誠度を一気に高めて[-7]能力で大暴れといきたいところだ。

 その際には《ガラクの先触れ》も使ってやりたい。

 3マナ4/3、黒に対する除去耐性と優れたスペックを誇るこのビーストで、新旧ガラクを手札に加えよう。

 ガラクは個人的にもかなり好きなキャラクターなので、今後の活躍にも期待しつつ、さまざまなデッキで試してやろうと考えている。皆のアイディアも形にして試してみよう!

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