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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ジャンド城塞(スタンダード)

岩SHOW

 君が悪の組織の親玉として、その活動を行うための基地を作るとなったなら……何が必要だろうか?

 よくわからないトゲトゲしたデザインのデカい玉座、幹部が作戦会議を行う部屋にホログラムが表示される円卓、制御不能な怪物が封じられた檻、トラップだらけの通路……考えていけばキリがないが、これは外せんだろうと思うのは「主砲」だ。

 幹部の発射許可のセリフとともに、技師がレバーを引いてエネルギーが充填されて一気にドカーンと……正義の味方に向けてぶっ放して畏怖を与える最強兵器、どう考えても必須!

 同じことを思ったのかはわからないが、多元宇宙の数々の事件の黒幕であったニコル・ボーラスも彼の要塞には主砲を備えていた。《ボーラスの城塞》にもそれがしっかりと書かれている。

 ライブラリーの上からカードを唱えられる能力に注目して忘れられがちだが、「各対戦相手はそれぞれ10点のライフを失う」という高火力の主砲的な能力をしっかりと持っているのだ。

 その起動にかかるコストは、本体のタップとパーマネント10個の生け贄。決して簡単なことではないが、その代償に見合うだけの威力を誇る城塞砲……一度は起動してみたくないか?

 というわけで今日は、《ボーラスの城塞》デッキを紹介だ!

Yuuki Ichikawa - 「ジャンド城塞」
Red Bull Untapped 2020 International Qualifier I ベスト4 / スタンダード (2020年5月16~17日)[MO] [ARENA]
3 《
3 《
1 《
4 《草むした墓
4 《血の墓所
4 《踏み鳴らされる地
1 《ロークスワイン城
4 《寓話の小道

-土地(24)-

4 《大釜の使い魔
4 《金のガチョウ
4 《忘れられた神々の僧侶
4 《波乱の悪魔
4 《悲哀の徘徊者

-クリーチャー(20)-
4 《初子さらい
4 《魔女のかまど
4 《パンくずの道標
1 《移動経路
3 《ボーラスの城塞

-呪文(16)-
2 《エンバレスの盾割り
2 《虐殺少女
4 《強迫
2 《魂標ランタン
3 《焦熱の竜火
2 《燃えがら蔦

-サイドボード(15)-
mtgmelee より引用)

 

 色は黒赤緑、いわゆるジャンドカラー。『イコリア』より前のシーズンではかなりのユーザー数を誇った、実力と人気を兼ね備えたデッキだった。「ジャンドかまど」とも呼ばれ、《魔女のかまど》と《大釜の使い魔》の組み合わせを主軸としている。

 もうお馴染みかもしれないが、始めたばかりのプレイヤーのためにも説明しておこう。《魔女のかまど》はクリーチャーを生け贄に捧げることで食物・トークンを生成する。この食物を墓地に落ちた《大釜の使い魔》の能力で生け贄に捧げると、使い魔が戦場に戻る。

 カードの損失なく使い魔が墓地と戦場を出入りし、1点のライフを吸い取る能力が誘発した分だけ得をする。相手の攻撃をブロックしてから生け贄に捧げれば、ダメージをいなしつつこちらがライフを攻められる。1点とあなどるなかれ、かまどが複数枚並ぶと2点、3点とボディーブローがじわじわしたものからズンズンと重くなってくる。

 そこに《波乱の悪魔》も加われば……

 対戦相手を屠るには十分な火力になるし、相手のクリーチャーを除去もできてしまう。

 ここに《パンくずの道標》も加われば、手札も増えていく。

 追加の生け贄手段で《忘れられた神々の僧侶》や《悲哀の徘徊者》も加えて、《初子さらい》でクリーチャーを奪って生け贄に……とやりたい放題。

 この「ジャンドかまど」に《ボーラスの城塞》が入ったことでどうなるか。6マナと重めのカードだが、《金のガチョウ》で加速したり《パンくずの道標》で土地を得れば唱えることは大変でもない。一度設置したら圧倒的なアドバンテージをもたらすのももちろん、主砲である10点のためにパーマネントを10個生け贄に捧げると……《波乱の悪魔》の能力が10回誘発! このバルカン砲と主砲で合計20点!完結ッ!

 という具合に、一瞬で勝利することが可能だ。城塞しかない状況下でもライブラリーから悪魔が降ってくるかもしれないので、圧倒的不利な状況から大逆転という切り札になるのが夢がある。《悲哀の徘徊者》で、ライブラリーの一番上に土地が来ても占術で下に送れるというのも重要なポイント。

Stephen Croke - 「ジャンド城塞」
スタンダード(BO1) (2020年5月19日)[MO] [ARENA]
3 《
3 《
1 《
4 《草むした墓
4 《血の墓所
4 《踏み鳴らされる地
1 《ロークスワイン城
4 《寓話の小道

-土地(24)-

4 《大釜の使い魔
4 《金のガチョウ
4 《忘れられた神々の僧侶
4 《波乱の悪魔
4 《悲哀の徘徊者
1 《運命の神、クローティス
1 《打ち壊すブロントドン

-クリーチャー(22)-
4 《魔女のかまど
3 《初子さらい
3 《パンくずの道標
2 《反逆の行動
2 《ボーラスの城塞

-呪文(14)-
Stephen Croke氏のTwitter より引用)

 

 先ほどのリストは賞金制オンライントーナメントである「Red Bull Untapped 2020」国際予選1で上位に入賞したものだ。賞金制トーナメントと言えば、MTGアリーナで参加できるイベントとして「アリーナ・オープン」も開催される。直前の大規模トーナメントで結果を残しているので、「ジャンド城塞」も注目デッキの1つとして見逃すことはできない。

 ただこの大会、初日はBO1(メインデッキ戦1本勝負)で開催されるので、それ用のデッキも用意しなければならない。そのサンプルとして、有名ストリーマーが考案したサンプルが上記のリストだ。

 メイン1本勝負になることで、トーナメント内のデッキ分布はまた異なるものとなる。一発逆転の主砲を持つ城塞デッキはBO1でも魅力的ではあるが、仮想敵をしっかりと把握してそれに合わせた微調整を施せばより勝率が上昇することだろう。

 これを機に、競技の舞台に挑んでみたいけどデッキがまだ決まっていないというプレイヤーは、試してみると良いかもしれないね!

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