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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

オゾリス・グリーン(スタンダード)

岩SHOW

 《オゾリス》って何ですのん?

 マジックには時折、この手の固有名詞だけのカードがポンと登場する。オゾリスはその中でもアーティファクトであり、見た目は巨大な水晶なこともあってシュールさが増している。イコリア次元にはそこら中で水晶が自然発生しているが、これが一体何なのかは完全には判明していない。分かっているのはこの次元に住む怪物たちの成長や進化と関係があるということ。水晶から発生する何らかの力で、怪物たちは巨大化したり全く別の姿かたちに変容するのだ。

 この水晶は怪物が接近すると共鳴するようにゆらめき輝くという。この特性を利用して、イコリアの人々は水晶を怪物探知機として用いる。都市への怪物の接近を知る警報だったり、軍用の装備に付けて隠れ潜む怪物を探し当てたりするのだ。

 怪物とも人間とも深いかかわりにある水晶の中で、オゾリスは最大級の集合体である。それはイコリア最大の人間の聖域・ドラニスの遥か北に存在する。怪物たちの変容の原因を追って、ビビアン・リードとルーカはこのオゾリスにたどり着き、ルーカはその水晶の中から自分に語り掛けるように脈打つ力を感じ取る……。

 というわけで、判明している範囲でも謎が多い存在であるが、これをカード化した《オゾリス》もまた一見ややこしいカードである。

 自身のコントロールしているクリーチャーが戦場を離れるたび、それの上に置かれているカウンターを《オゾリス》の上に移す。戦闘の開始時にこのカウンターをすべて任意のクリーチャーの上に置いてもよい。というわけで、カウンターが置かれたクリーチャーが死亡したり追放されてもカウンターは他の誰かが引き継ぐという、保管庫的な役割を果たす。

 クリーチャーの上に置かれるカウンターと言えば+1/+1カウンターで、これを多用するデッキに入れておけば単体除去を使用されても打点に大きな変化が起きないという、地味ながらいやらしい仕事をしてくれる。また、新たに登場したキーワード・カウンターとの相性もばっちりだ。

 今日はこの《オゾリス》を活かすデッキを紹介するぞ!

David A Smith - 「オゾリス・グリーン」
スタンダード (2020年5月11日)[MO] [ARENA]
19 《
4 《ギャレンブリグ城

-土地(23)-

4 《生皮収集家
4 《石とぐろの海蛇
4 《樹皮革のトロール
4 《楽園のドルイド
2 《僻境生まれの保護者
4 《結晶の巨人
4 《ギャレンブリグの領主、ヨルヴォ
2 《大食のハイドラ

-クリーチャー(28)-
4 《オゾリス
3 《強行突破
2 《グレートヘンジ

-呪文(9)-
4 《水晶壊し
4 《探索する獣
2 《変容するケラトプス
3 《墓掘りの檻
2 《影槍

-サイドボード(15)-
David A Smith氏のTwitter より引用)

 

 シンプルなリストがなんともたくましい、緑単色のビートダウン! 緑と言えばクリーチャーの色であり、動物や植物の成長を担う色でもある。クリーチャーにカウンターを置くのは得意中の得意だ。カウンターが置かれて戦場に出たり、条件を満たすとカウンターが増えるクリーチャーを展開して殴る。それに対して対戦相手が何らかの手段で対処してきても、そのクリーチャーに置かれていたカウンターを《オゾリス》が保持して次に繋げる。除去が飛び交う時代にフィットしたアグロの形である。

 《生皮収集家》《僻境生まれの保護者》《ギャレンブリグの領主、ヨルヴォ》は後続のクリーチャーが出てくると+1/+1カウンターが乗る。

 《石とぐろの海蛇》《大食のハイドラ》は+1/+1カウンターがX個置かれて出てくる。

 これらのクリーチャーを《楽園のドルイド》《ギャレンブリグ城》による加速で繰り出し、コスト比で見て優れたサイズで圧倒する。

 これらが死んだり《霊気の疾風》で弾かれたりしたことで《オゾリス》が受け継いだカウンター、移して嬉しいヤツといえば……《樹皮革のトロール》はかなりアツい。

 +1/+1カウンターを1個取り除くことで一時的に呪禁を得るその能力、本来なら1回こっきりなものが使い放題になれば、その威圧感は半端じゃないぞ。

 あとカウンターと言えば《決戦兵器、メカゴジラ》こと《結晶の巨人》!

 メカゴジラという人類の夢に恥じない、毎ターン何かしらのカウンターを得ていく能力は圧巻だ。呪禁を得てしまえば後は放置しているだけで手の付けようがない決戦兵器となるし、そうはならず除去されたとしてもこれが得たカウンターは次の誰かに引き継がれる。緑のサイズに優れた連中が飛行や威迫を得れば厄介極まりない。

 《結晶の巨人》の遺したカウンターを次の巨人に引き継がせるのも有効だ、能力の解決を《オゾリス》が先に行われるように処理すれば、より効率よく重複しないキーワード能力を得てくれるというわけだ。もちろんヨルヴォやハイドラの遺した大量の+1/+1カウンターを託して、絆魂を持ったメカゴジラで殴り合いを制するなど、サイズアップ先としても非常に優秀だ。

 緑単のたしなみである《グレートヘンジ》も、このデッキであればより強く扱える。

 単体のサイズを上げやすいので唱えるコストを大きく下げることができるし、設置後に出てくるすべてのクリーチャーがオゾリス貯金に貢献するのでちょっとやそっとじゃ打点が変化しない。

 個人的にはこの《グレートヘンジ》との相性も鑑みて《成長室の守護者》を採用するのもアリだと考えている。手札を得る手段が限られるこのデッキにとって、《オゾリス》と組み合わさることで本当に途切れることのない4/4以上のクリーチャーが湧いてくるこのカードは噛み合っているはずだ。

 最後に1つ小ネタを。飛行カウンターを持ったクリーチャーが戦場を離れると、他のカウンター同様に《オゾリス》がそれを引き継ぐ。MTGアリーナであれば、その瞬間からオゾリスは……大地を離れ、宙に浮かぶ! ふわふわと戦場を漂う巨大な水晶の姿は何ともシュールで、謎のかわいさがある。イコリア・レア・シチュエーションの1つだ、遭遇したらスクショを撮ろう(笑)。

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