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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

青単デルバー(レガシー)

岩SHOW

 先日はスタンダードの青単デッキを紹介した。ハマればもう、相手を完膚なきまでに叩きのめす強さがセールスポイントだ。

 青には昔からこの手のデッキがある。1~2マナのクリーチャーを出したら、以降は相手のアクションを打ち消しまくって完封する……こういった戦略をクロック・パーミッション、縮めてクロックパーミと呼ぶ。クロックとは相手のライフを刻んでいくもの=クリーチャーを指し、パーミッションとは許可、すなわち「この呪文、通りますか?」と相手が許可を求めてくる様を意味する。

 クロックパーミの代表格と言えば「デルバー」デッキだ。デルバーこと《秘密を掘り下げる者》を《昆虫の逸脱者》に変身させ、3点クロックで速やかに殴りきる。《意志の力》《目くらまし》《呪文貫き》などで除去から護り、コンボ成立を防ぐ……レガシーの由緒正しきデッキである。

回転

 特にマナがいらず、アドバンテージの損失もない《目くらまし》は強烈。

 そもそも軽い呪文しか用いず、土地を並べる気がないデルバーデッキにとって島を手札に戻すというの痛くないのだ。その手軽さゆえに序盤は相手を大いに苦しめる1枚だが、まあ{1}支払わないと打ち消し、というのが通用するのはゲーム中盤まで。賞味期限は短い呪文である。

 この《目くらまし》などが刺さるターンを伸ばすために、クロックパーミが打ち消し以外に搭載することがあるのが「マナ否定戦術」というやつ。単純な話、《不毛の大地》で土地を割ってやれば《目くらまし》が効くターンは1~2ターン長引くし、そもそも相手が事故って何も唱えられらなくなれば儲けもんだ。レガシーでは基本でない土地が多用されるためにこの戦術がブッ刺さることがある。

 相手ももちろん、それをケアして基本土地を戦場に並べようとするのだが、それをも否定するのが《もみ消し》。

 レガシーでは《汚染された三角州》のように、生け贄に捧げるという起動型能力で特定の土地をライブラリーから戦場に出す、フェッチランドと呼ばれる土地がありとあらゆるデッキで使われている。ライブラリー圧縮になり、多色化を支えてくれる便利な存在なのだが、その能力を起動したところを《もみ消し》で打ち消すことで、実質1マナでの土地破壊をしてしまおう!という、恐ろしい戦術なのだ。

 今日はこの古き良きマナ否定戦術を搭載した、最新型のデルバーデッキを紹介しよう。それはまさかの、スタンダードのクロックパーミと同じく青単色だ!

RedArmada - 「青単デルバー」
Magic Online Competitive Legacy Constructed League 5勝0敗 / レガシー (2019年2月8日)[MO] [ARENA]
6 《
2 《溢れかえる岸辺
2 《汚染された三角州
2 《沸騰する小湖
2 《霧深い雨林
4 《不毛の大地

-土地(18)-

4 《秘密を掘り下げる者
4 《プテラマンダー
2 《真の名の宿敵

-クリーチャー(10)-
4 《渦まく知識
4 《思案
4 《もみ消し
2 《呪文貫き
1 《狼狽の嵐
1 《呪文嵌め
1 《頑固な否認
4 《蓄積した知識
4 《目くらまし
1 《残響する真実
1 《疑念の影
1 《四肢切断
4 《意志の力

-呪文(32)-
1 《造物の学者、ヴェンセール
3 《外科的摘出
1 《トーモッドの墓所
1 《狼狽の嵐
1 《侵襲手術
1 《残響する真実
2 《秘儀の研究室
2 《基本に帰れ
2 《不忠の糸
1 《水没

-サイドボード(15)-

 《プテラマンダー》! これが加わったことで、デルバーとの1マナ航空部隊8枚体制が可能になり組まれたのがこの「青単デルバー」だ。

 1ターン目にこれらのクリーチャーを出し、以降の相手のアクションは打ち消しで弾く! 土地は割る、フェッチランドは《もみ消し》! これを徹底的に行うために《渦まく知識》《思案》でライブラリーからカードをかき集める。

 これらは同時にライブラリーの上を操作できるので、デルバー変身のための一助ともなる。また、これらを連打することで墓地にインスタントとソーサリーが溜まり、《プテラマンダー》を5/5にするターンを近づけようというわけだ。

 このデッキの面白い、というかオールドファンにはたまらないところが、《蓄積した知識》を採用していることだ。

 1枚目は2マナ払って1枚ドローと弱いのだが、2枚目以降は手札の枚数をしっかり増やしてくれる頼もしいやつ。これで打ち消しとマナ否定カードを補充して、最後まで何もさせないというデッキのスタイルを貫くのだ。《疑念の影》まで入れて、《もみ消し》を水増ししているのが熱いね。

 このタイプのデッキは赤や緑と組まれることが多いが、青単でもそれなりに戦えるデッキが登場したというのは面白い。プテラがどれくらいの頻度で順応できるのかも気になるね。今後もこの手のデッキは増えていくだろうか? 古えの2色土地、デュアルランドが不要なのも新規プレイヤーにとっては嬉しい点、そういう意味では単色のデッキがもっと増えてほしいな!

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