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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

コプターゾンビ:死の落下物(モダン)

岩SHOW

 昔はマジックの最新情報を得る手段は本当に少なかった。中学生当時、唯一の媒体は雑誌だった。発売を目前に控えたセットのカードがいくつか紹介され、付録で収録カードリストがついてきたもんだ、これを穴が開くほど読んで、新セットのカードに思いを馳せたものである。

 あれは『プレーンシフト』発売直前のこと。どうしても気になってしょうがないカードが紙面を飾っていた。《死人カタパルト》だ。

 なんやねん、死人カタパルトって。ゾンビを生け贄に捧げて2点ダメージを飛ばすことのできるエンチャントであり、能力自体はなかなかに強力なのだが、どうしてもその名前の響き、それからイラストが集中力を削いでくる。カタパルトとは戦闘機なんかを射出する機械や発射台のことである。いらすとのどこにもそれらしいものはなく、特撮ヒーローみたいなやつが必殺ビームを撃つようなポーズをとっている。その掌は光を放ち、そして前面に向かって燃え盛るゾンビが飛んできている……いくらなんでもインパクトありすぎ! 発売前からすっかりこのカードの虜になってしまい、『インベイジョン』ブロック期はゾンビデッキを組みまくったものである。

 思い出の1枚について長々と書かせてもらったが、今日はそんな《死人カタパルト》的なビジュアルの面白さを体感できるデッキを見つけた。このモダンのデッキはゾンビを射出……というより投下する。投棄と言った方が良いかな。頭上からゾンビが降ってくるなんて、この世の終わりみたいなもんである。

 B級映画で観てみたいシチュエーションを作り出す、「オルゾフ(白黒)ゾンビ」の登場だ!

UrsaMajor - 「オルゾフ・ゾンビ」
Magic Online Modern Finals 28位 / モダン (2019年1月6日)[MO] [ARENA]
3 《
2 《神無き祭殿
1 《湿地の干潟
2 《汚染された三角州
2 《血染めのぬかるみ
1 《新緑の地下墓地
4 《秘密の中庭
2 《乱脈な気孔
2 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ
3 《変わり谷
-土地(22)-

4 《戦慄の放浪者
4 《墓所這い
4 《潮の虚ろの漕ぎ手
2 《恐血鬼
1 《ゲトの裏切り者、カリタス
-クリーチャー(15)-
3 《致命的な一押し
3 《思考囲い
2 《コジレックの審問
2 《流刑への道
2 《集団的蛮行
4 《未練ある魂
4 《密輸人の回転翼機
3 《ヴェールのリリアナ
-呪文(23)-
1 《戦争の報い、禍汰奇
3 《大爆発の魔道士
1 《配分の領事、カンバール
1 《ゲトの裏切り者、カリタス
3 《外科的摘出
1 《致命的な一押し
1 《流刑への道
1 《苦渋の破棄
2 《滅び
1 《衰滅
-サイドボード(15)-
 

 同じクリーチャータイプで固めた、いわゆる部族デッキというのは、軽くて戦闘に秀でたものや相手を妨害する能力を持ったものを展開し、それらを同一部族を強化するカードでサイズアップして殴り勝つ、というのが基本である。しかしゾンビの兵法というのはそれだけではない。

 このデッキの狙いは先述の通り、ゾンビの不法投棄……文字通り動く死体を投げ捨てることである! かつて、『カラデシュ』環境のスタンダードで最強のカードの1つとして君臨した《密輸人の回転翼機》を用いて!

 この機体で攻撃し、誘発型能力でクリーチャーカードを捨てる。それらは《墓所這い》をはじめ、墓地から戦場に出てくる能力を持ったものばかりだ。回転翼機の能力は実質無料ドローとなり、隙なく戦場を構築することができるというわけだ。ヘリコプターから敵陣めがけて投げ捨てられるゾンビ……最悪の光景をお見舞いしてやろう!

 《墓所這い》《戦慄の放浪者》はコプターに乗ったり、そのまま殴っても良いが、《ゲトの裏切り者、カリタス》の餌にするという手もある。彼の能力はゾンビだけでなく吸血鬼も生け贄にできるので、《恐血鬼》とも相性が良い。

 また彼は、同時に相手のクリーチャーが死亡した場合、墓地に眠ることを許さないという一方的な俺様ルールを発揮する。これらのカードで相手のライフを攻め、コプターで得た白と黒が誇る軽量除去と手札破壊などで相手の戦略を否定していこう。

 《ヴェールのリリアナ》や《集団的蛮行》も、除去も手札破壊もできるカードで、かつ手札を捨てることを要求してくる。このデメリットをゾンビと《未練ある魂》で帳消しにし、そうして得たアドバンテージ差により最後に勝つ! カッコイイじゃないか……こういう中速でギミックがあるデッキこそ、マジックをやっているという感じがして個人的には大好きである。

 コプターからのゾンビ投下、という絵面をイメージした時に《死人カタパルト》のあの射出しているヒーローがどうしても思い浮かんでしまって、気が付けばこの原稿を書き終わっていた。カタパルト、また使いたいな……モダンで使える日がいつか来れば、このデッキに赤を足して使いたいところだ。再録、待ってます!

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