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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

Goodbye My Deck! 赤単編(スタンダード)

岩SHOW

 ついにこの時が来た。前回より随分と期間が空いたように感じる。何の時かって? ローテーションさ!

 スタンダードは使用可能なセットが限られている。新しいセットが発売されると使用可能なカードが増えていくのだが、同時にそれらに押し出されるようにセットが退場していくことがある。今回のローテーションでは、『ラヴニカのギルド』の参入と同時に『カラデシュ』『霊気紛争』『アモンケット』『破滅の刻』が環境を去ることになる。

 同時に4つのセットが退場する、その意味するところは……激変ッッ! 環境の基本になっていたカードの大半が無くなることで、次期スタンダード環境では構成を大きく変える必要があるデッキ・そもそも存続できなくなるデッキがある。

 これから数回に渡って、現スタンダード環境のデッキを振り返ってみよう。各々思い入れのあるデッキへ別れを告げ、来るべき新環境に備えよう! レッツゴー!

Miura, Ryuji - 「赤単アグロ」
日本選手権2018併催 The Finals予選 予選ラウンド1位通過 / スタンダード (2018年9月9日)[MO] [ARENA]
19 《
-土地(19)-

4 《ボーマットの急使
4 《ギトゥの溶岩走り
4 《損魂魔道士
4 《ヴィーアシーノの紅蓮術師
2 《地揺すりのケンラ
2 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ
4 《ゴブリンの鎖回し
2 《アン一門の壊し屋
-クリーチャー(26)-
4 《ショック
4 《稲妻の一撃
3 《ケルドの炎
4 《魔術師の稲妻
-呪文(15)-
3 《熱烈の神ハゾレト
3 《チャンドラの敗北
2 《削剥
1 《苦悩火
2 《嘲笑 // 負傷
2 《木端 // 微塵
1 《反逆の先導者、チャンドラ
1 《
-サイドボード(15)-
(日本選手権2018 サイドイベントより取材)
 

 まずは環境随一のシンプルにしてパワフルなデッキ、赤単から! 読んで字のごとく赤単色、相手のライフをいち早く削りきることに特化したスピード重視の攻め攻めデッキだ。《ボーマットの急使》《損魂魔道士》らスタンダード以外のフォーマットでも強い1マナ圏、《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》ら安定した仕事をする2マナ圏、そして《ゴブリンの鎖回し》と、軽くて優秀なクリーチャーを全力展開。

 相手のクリーチャーは火力で除去しながら殴り、手札が尽きたタイミングで《ケルドの炎》!

 Ⅱ章能力で手札を補充し、Ⅲ章能力で小粒クリーチャーや《ショック》の打点も致命的なものに引き上げてフィニッシュ!と、理想的な動きをした時には、環境の他のデッキを寄せ付けない強さがあった。プロツアーで、グランプリで、国別選手権で……活躍しっぱなしのデッキだった。

 赤単が失うものは、このデッキの最も大事な部分……スタートダッシュを担う軽量クリーチャーだ。先に挙げた《ボーマットの急使》《損魂魔道士》《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》らは退場する。

 打点に優れたカーリ・ゼヴ、先制攻撃と威迫で攻防ともにいい仕事をしたものだ。損魂は果敢で打点もあり、《ゴブリンの鎖回し》とのコンボなどでも大活躍。そして赤単の最も強いカードとも言えるボーマット! 速攻で殴りつつ、3~4枚のカードを貯蓄する、殴れる《Ancestral Recall》とまで評されたヤツがついに環境を去るのか……最大で7枚手札に加えているところを目撃したこともあるが、あんなとてつもない光景はもうしばらくないのかもしれない。

 他にもクリーチャーで言えば、これらの面々の攻撃をねじ込むのに一役買っていた《地揺すりのケンラ》《アン一門の壊し屋》がいなくなる。ゴリ押し要素が無くなって、今後はダメージを通すのにはより真面目にカードを消費しなければならないだろう。

 サイドによく見られ、赤単全盛期にはメインでも暴れまくっていた《熱烈の神ハゾレト》ともついにお別れだ。

 《反逆の先導者、チャンドラ》《栄光をもたらすもの》とともに重いマナ域のカードでも勝負できる赤単を成立させてきたカードが去り、サイド後はちょい重にシフトするという戦略も今後は難しくなるか。《削剥》や《チャンドラの敗北》といった軽くて強いサイドカードの消失も大きい。

 このデッキは『ラヴニカのギルド』環境ではどのような変化を遂げるのか? このコラムを書いている段階で判明している新カードから考えられる可能性は……3つ!

ゴブリン戦略

 ラヴニカには多くのゴブリンが生息している。過去のセットでも《軍勢の忠節者》のような使えるカードがあったが、今回も強そうなゴブリンがしっかりと収録されている。カードが減った1マナ圏を埋めてくれそうな《ゴブリンの旗持ち》は、速攻こそないがパワー上昇能力を持ち打点になり、「教導」能力で一緒に殴っているクリーチャーを強化することができる。戦場を作りつつ、後半は攻撃が抜ければパワーを上げてライフを削り切れるぞというプレッシャーになってくれそう。

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 2マナ圏には《ゴブリンのクレーター掘り》が参入。2マナ2/2として殴りにも行けて、クリーチャー除去やアーティファクト&《ウルザの後継、カーン》対策にもなる。シブい活躍に期待できる。

jp_wzNyvZffyf.png

 そして《軍勢の戦親分》!

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 こちらは「教導」で味方を強化することができ、その味方となるゴブリンを自分で生成することができるすごい親分だ。これらの新ゴブリンを、現行セットにすでに収録されている《ゴブリンの戦長》《ゴブリンの連射》《ゴブリンの損壊名手》といった部族シナジーを持ったカードとともに使用する、「赤単ゴブリン」……なんてどうだろうか。

インスタント/ソーサリーデッキ

 先に挙げた教導ゴブリンたちは赤白のギルド・ボロスのカードである。『ラヴニカのギルド』の赤はもう1つ、青赤のイゼットも担っている。イゼットのテーマはインスタントとソーサリーで、これらを使えば使うほど高い効果を得られるカードが多数公開されている。

 《奇矯なサイクロプス》を強化して殴るデッキはぜひとも組んでみたいもの。個人的には《弧光のフェニックス》にも期待している。

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 《ケルドの炎》で捨ててしまってもOK、追加ドローで得たインスタント&ソーサリー火力を対戦相手に投げつけまくって、3/2飛行・速攻でアタック!やってみたいね。

 数が減った軽量除去の穴を埋める《溶岩コイル》や、本体火力 or ドローを得て使いまわせる《危険因子》とセットで使いたい。赤単なら《遁走する蒸気族》を育てるのも面白そうだ。

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多色化

 赤単の可能性でこんなことを言うのはちょっとズルいかもしれないが……《蒸気孔》《聖なる鋳造所》の再録で赤い多色デッキも組みやすいことだし、折角だからボロスとイゼットの多色カードを採用した赤いデッキにしてしまうというのも手だ。

 《小柄な竜装者》《速太刀の擁護者》《ボロスの挑戦者》……軽めで手数で攻め立てるデッキには相性の良いカードがしっかりと揃っている。

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 《栄光の好機》で押し込むデッキも面白そうだ。

jp_O5LQT2xuIv.png

 以上、赤単の失うカードと新戦力になり得るカードをチェックしてみた。赤いデッキの天下はまだまだ続くのか、あるいは他の色がそれに待ったをかけるのか? 多色化して全く新しいデッキが生まれるかもしれない。期待しながら、新環境を待とうじゃないか!

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