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ワールド・マジック・カップ2017

観戦記事

準決勝:日本代表 vs. イタリア代表

矢吹 哲也
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Frank Karsten / Tr. Tetsuya Yabuki

2017年12月3日


 準々決勝にて、イタリア代表は中国代表を下し、日本代表はオーストリア代表を退けた。今こそ、決勝へ進むチームとここで敗退するチームを決めるときだ。

チーム紹介

 今大会を迎えるにあたり、日本代表には多くの注目が集まっていた。今回の3人の生涯獲得プロ・ポイント合計は、1195点という驚異的なものだ。その大半は渡辺 雄也、八十岡 翔太というふたりの殿堂顕彰者が稼ぎ出した数字だが、日本選手権王者の原根 健太もまた、短いキャリアながら69点のプロ・ポイントを獲得している。3人の平均値を取っても、それを上回るポイントを稼いだプレイヤーは歴代で25人しかいない。

 イタリア代表は、これで3大会連続の準決勝進出。これだけ安定して成績を残す国は他にない。ワールド・マジック・カップ2015では優勝を果たしたイタリア代表だが、2016年は準決勝で敗れた。そして彼らは今年も、再びタイトルを獲得するべく準決勝の戦いに挑む。特にアンドレア・メングッチ/Andrea Mengucciは、この3大会すべてで国の代表として出場している。

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メンバーの戦績だけを見れば、日本代表が最強のチームであることは明らかだ。だが対するイタリア代表も、ワールド・マジック・カップ3大会連続トップ8入賞という唯一無二の戦績を誇っている。両チームの戦いは、歴史に残るものとなるだろう。

 試合開始前、2日間にわたって行われた予選ラウンドの成績からイタリア代表が全試合の先手後手を決められることをメングッチが伝えると、八十岡が冗談めかして後手の選択を提案した。イタリア代表はそれを丁重に断る。

「デッキ相性的にはどう?」とメングッチが尋ねた。

 八十岡は「先手ならこっちが有利だよ」と笑う。

 多くのものが懸かったこの試合だが、実にリラックスした雰囲気だった。

ゲーム展開

B卓:渡辺 雄也(世界ランキング12位/4色エネルギー) vs. アンドレア・メングッチ(緑青「打撃体」)

 渡辺が衝撃的なまでの速さでメングッチを打ち破った。フィーチャーマッチ・エリア内で見ていた筆者が見逃してしまいそうなほどだった。

 第1ゲーム、渡辺は2ターン目に《導路の召使い》を繰り出すと、続く3ターン目に《反逆の先導者、チャンドラ》を呼び出し、さらに4ターン目には《秘宝探究者、ヴラスカ》まで戦場に並べた。メングッチにとっては不幸な出来事だった。

 第2ゲームはメングッチが今大会初めてだというマリガンを喫し、緑のカードに《》と《霊気拠点》という手札をキープした。しかしその後緑マナ源を引き込むことはできず、彼は上限を超えた手札を捨て続け、渡辺の揃えた軍勢を前に屈したのだった。

C卓:原根 健太(白青「王神の贈り物」) vs. アドリアノ・モスカート/Adriano Moscato(ラムナプ・レッド)

 C卓の戦いは、長く白熱したものだった。

 第1ゲーム、モスカートは1ターン目から4ターン目までマナを綺麗に使い切り、脅威を次々と展開していった。原根は《査問長官》で墓地を肥やしたものの、4ターン目《復元》からの《王神の贈り物》は実現しなかった。だが仮に実現していたとしても、モスカートの《暴れ回るフェロキドン》によって《発明の天使》は力を削がれており、十分ではなかったかもしれない。こうして「ラムナプ・レッド」が第1ゲームを制した。

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ふたつのマジック大国がフィーチャーマッチの舞台で激しい応酬を繰り広げる。モスカートはチームメイトの助けを受けて、イタリア代表が失った勝ち星を取り返そうとしている。

 第2ゲーム、「白青『王神の贈り物』」は純粋なコントロール・デッキに変化した。原根は序盤から積極的な交換を取ってライフを守り、《暴れ回るフェロキドン》にも《排斥》で対処した。そして5枚目の土地を置くと、ゲームを圧倒する。原根は《発明の天使》から《賞罰の天使》を複数枚連打し、盤面を制圧した。そして天使たちは攻撃へ向かい、彼に勝利をもたらしたのだった。

 第3ゲームでは「ラムナプ・レッド」が再び先手を得た。モスカートは最初の3ターンでマナ・カーブに沿った美しいまでの展開を見せ、早くも原根のライフを13点へ落とした。そして5ターン目に残りライフ4点となった原根は《発明の天使》と2体の霊気装置・トークンを戦場に繰り出してターンを返したが、決して良い状況とは言えない。

 モスカートの盤面には《損魂魔道士》2体と《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》がおり、彼はさらに《地揺すりのケンラ》を「永遠」で戦場に戻すと、その能力で霊気装置を1体ブロック不可にした。原根は《発明の天使》をチャンプ・ブロックに向かわせる他になく、それでもダメージを受け、残りライフは1点と追い込まれてしまう。しかし原根は望みを捨てず、ここから再び反撃への道を進み始めた。《賞罰の天使》を連打して盤面を制圧すると、攻撃に向かう。

 だがモスカートが止めの火力を引き込むのに時間はかからなかった。《ショック》でも《稲妻の一撃》でも良い。もちろん《ラムナプの遺跡》でも良いし、《陽焼けした砂漠》でも勝てる。クレイグ・ジョーンズ/Craig Jonesの《稲妻のらせん》トップ・デッキを思わせるしぐさで、モスカートはライブラリーの一番上のカードをめくった。彼は安心した表情を浮かべる――そのカードは《稲妻の一撃》だった!

 崖っぷちのイタリア代表だったが、モスカートがなんとか勝利をもぎ取り、この戦いは1勝1敗で並んだ。

A卓:八十岡 翔太(世界ランキング11位/ラムナプ・レッド) vs. マティア・リッツィ/Mattia Rizzi(青黒コントロール)

 八十岡はチームのために、得意とするコントロール・デッキではなく「ラムナプ・レッド」を手に取った。それでも土地を信頼している「グル・ランド」で揃えたことで、気分良くプレイできているようだ。長年にわたりコントロール・デッキを使用した経験から、彼はコントロール・デッキに対する戦い方も熟知していた。「相手のゲーム・プランとか構えているカードとか手に取るようにわかるので、それに合わせてうまくできた」とは、試合後の八十岡の言葉だ。

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決勝進出チームを決める最後の戦いを見守るチームメイトたち。真の達人たる八十岡は、コントロール・デッキを相手に立場を逆転させた。

 第1ゲーム、八十岡は3ターン目に早くも優れたプレイを見せる。彼はここで、《アン一門の壊し屋》ではなく《過酷な指導者》を唱えた。打ち消しや除去呪文があるコントロール・デッキに対しては、次善のカードを展開した方が良い場合があることを、八十岡はよく知っているのだ。これが功を奏し、リッツィは《過酷な指導者》に除去を使った結果《アン一門の壊し屋》への回答を出せなかった。その後数ターンにわたり、大きなダメージを負うことになったのだ。

 ところが、それだけでは不十分だった。最終的にリッツィは、ライフを11点残し《スカラベの神》を盤面に残すことにも成功した。この状況から「ラムナプ・レッド」が逆転する手立てはなく、八十岡は敗北を認めるとサイドボードに手を伸ばした。

 第2ゲーム、八十岡は《損魂魔道士》から《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》、《ピア・ナラー》、《暴れ回るフェロキドン》と見事な展開を見せた。後手のリッツィはこれにうまく対応できず、瞬く間に残りライフ4点まで追い詰められ、4体のクリーチャーの対処を強いられた。ここまで来ると《奔流の機械巨人》では手が足りず、両者の勝ち星は並んだ。

 そして最終ゲーム、リッツィは八十岡が2ターン目に繰り出した《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》へ《致命的な一押し》を撃たない選択をした。ライフもリソースとして消費し、《バントゥ最後の算段》の威力を最大限に引き出そうとしたのだ。リッツィは《廃墟の地》で「紛争」を達成した《致命的な一押し》で《霊気圏の収集艇》も除去すると、《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》と他に2体のクリーチャーを《バントゥ最後の算段》で一掃した。天秤はリッツィの方へ傾き、彼がさらに《奔流の機械巨人》で《ヴラスカの侮辱》を再利用すると、イタリア代表の勝利がぐっと近づいた。

 しかし八十岡は《奔流の機械巨人》を《削剥》で破壊し、一方のリッツィはマナ・フラッドに陥った。たしかに彼のデッキは土地の枚数が多く基本的に1対1交換を取るカードで構成されていたが、今は《スカラベの神》や《水没遺跡、アズカンタ》のようなアドバンテージ・エンジンが必要だった。だがそれらを引き込めない。八十岡は攻め手を慎重に管理しながら攻め続け、ついに赤のクリーチャー軍団で致命打を放った。昨年と同様に、イタリア代表は準決勝で敗れ去ることになったのだった。

日本代表がイタリア代表を2勝1敗で下し、決勝へ!

八十岡 翔太(日本・A席) - 「ラムナプ・レッド」
ワールド・マジック・カップ2017 トップ8 / チーム共同デッキ構築・スタンダード (2017年12月1~3日)[MO]
14 《
4 《ラムナプの遺跡
4 《陽焼けした砂漠
2 《屍肉あさりの地

-土地(24)-

4 《ボーマットの急使
4 《損魂魔道士
4 《地揺すりのケンラ
2 《過酷な指導者
2 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ
4 《アン一門の壊し屋
2 《暴れ回るフェロキドン
4 《熱烈の神ハゾレト

-クリーチャー(26)-
4 《ショック
3 《削剥
3 《稲妻の一撃

-呪文(10)-
3 《ピア・ナラー
2 《暴れ回るフェロキドン
1 《砂かけ獣
3 《栄光をもたらすもの
1 《削剥
4 《霊気圏の収集艇
1 《

-サイドボード(15)-
渡辺 雄也(日本・B席) - 「4色エネルギー」
ワールド・マジック・カップ2017 トップ8 / チーム共同デッキ構築・スタンダード (2017年12月1~3日)[MO]
3 《
1 《
1 《
1 《
4 《植物の聖域
4 《尖塔断の運河
2 《隠れた茂み
3 《根縛りの岩山
4 《霊気拠点

-土地(23)-

4 《牙長獣の仔
4 《導路の召使い
4 《ならず者の精製屋
4 《つむじ風の巨匠
2 《逆毛ハイドラ
2 《スカラベの神

-クリーチャー(20)-
4 《霊気との調和
1 《マグマのしぶき
4 《蓄霊稲妻
2 《慮外な押収
2 《木端+微塵
2 《反逆の先導者、チャンドラ
2 《秘宝探究者、ヴラスカ

-呪文(17)-
3 《多面相の侍臣
3 《チャンドラの敗北
3 《否認
1 《宝物の地図
1 《人工物への興味
1 《領事の旗艦、スカイソブリン
1 《反逆の先導者、チャンドラ
1 《王神、ニコル・ボーラス
1 《自然に仕える者、ニッサ

-サイドボード(15)-
原根 健太(日本・C席) - 「白青・王神の贈り物」
ワールド・マジック・カップ2017 トップ8 / チーム共同デッキ構築・スタンダード (2017年12月1~3日)[MO]
7 《
6 《平地
3 《灌漑農地
4 《氷河の城砦
2 《イプヌの細流
1 《敵意ある砂漠

-土地(23)-

4 《査問長官
3 《聖なる猫
4 《機知の勇者
1 《博覧会場の警備員
4 《発明の天使

-クリーチャー(16)-
4 《航路の作成
4 《巧みな軍略
2 《アズカンタの探索
4 《復元
2 《排斥
1 《燻蒸
4 《王神の贈り物

-呪文(21)-
3 《博覧会場の警備員
4 《賞罰の天使
2 《領事の権限
2 《ジェイスの敗北
2 《不許可
1 《排斥
1 《残骸の漂着

-サイドボード(15)-

Mattia Rizzi(イタリア・A席) - 「青黒コントロール」
ワールド・マジック・カップ2017 トップ8 / チーム共同デッキ構築・スタンダード (2017年12月1~3日)[MO]
6 《
7 《
4 《異臭の池
4 《水没した地下墓地
2 《廃墟の地
3 《進化する未開地

-土地(26)-

2 《スカラベの神
3 《奔流の機械巨人

-クリーチャー(5)-
4 《致命的な一押し
4 《検閲
4 《本質の散乱
2 《アズカンタの探索
4 《不許可
2 《本質の摘出
4 《ヴラスカの侮辱
2 《天才の片鱗
2 《ヒエログリフの輝き
1 《徙家+忘妻

-呪文(29)-
3 《巧射艦隊の追跡者
2 《才気ある霊基体
3 《強迫
2 《ジェイスの敗北
1 《アルゲールの断血
2 《バントゥ最後の算段
2 《本質の摘出

-サイドボード(15)-
Andrea Mengucci(イタリア・B席) - 「緑青打撃体」
ワールド・マジック・カップ2017 トップ8 / チーム共同デッキ構築・スタンダード (2017年12月1~3日)[MO]
5 《
2 《
4 《植物の聖域
1 《花盛りの湿地
4 《ハシェプのオアシス
4 《霊気拠点

-土地(20)-

2 《緑地帯の暴れ者
4 《牙長獣の仔
4 《導路の召使い
4 《静電気式打撃体
4 《ならず者の精製屋
1 《不屈の神ロナス
3 《逆毛ハイドラ

-クリーチャー(22)-
4 《霊気との調和
4 《顕在的防御
2 《潜水
4 《知識のカルトーシュ
4 《気宇壮大

-呪文(18)-
2 《緑地帯の暴れ者
2 《呪文貫き
2 《送還
4 《否認
4 《野望のカルトーシュ
1 《

-サイドボード(15)-
Adriano Moscato(イタリア・C席) - 「ラムナプ・レッド」
ワールド・マジック・カップ2017 トップ8 / チーム共同デッキ構築・スタンダード (2017年12月1~3日)[MO]
15 《
4 《ラムナプの遺跡
4 《陽焼けした砂漠
1 《屍肉あさりの地

-土地(24)-

4 《ボーマットの急使
4 《損魂魔道士
4 《地揺すりのケンラ
3 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ
3 《アン一門の壊し屋
3 《暴れ回るフェロキドン
4 《熱烈の神ハゾレト

-クリーチャー(25)-
3 《ショック
4 《稲妻の一撃
2 《削剥
2 《反逆の先導者、チャンドラ

-呪文(11)-
2 《ピア・ナラー
1 《暴れ回るフェロキドン
1 《砂かけ獣
3 《栄光をもたらすもの
2 《チャンドラの敗北
2 《削剥
2 《霊気圏の収集艇
1 《反逆の先導者、チャンドラ
1 《屍肉あさりの地

-サイドボード(15)-
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RESULTS

対戦結果 順位
最終
S2-3 S2-3
S2-2 S2-2
S2-1 S2-1
S1-3 S1-3
S1-2 S1-2
S1-1 S1-1
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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