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第19回:あの日見たドラフトの完成形を僕達はまだ知らない。
渡辺雄也の「リミテッドのススメ」より

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渡辺雄也の「リミテッドのススメ」

2011.05.30

第19回:あの日見たドラフトの完成形を僕達はまだ知らない。


 こんにちは。渡辺です。

 「新たなるファイレクシア」が発売されてから早2週間が経ちました。
 みなさんもそろそろこの環境に慣れてきた頃かと思います。

 そんな中、先週チェコのプラハでは、この環境を使用した初のプレミアイベントが開催されました。
 1235人ものプレイヤーが集まったグランプリ・プラハ(リンク先は英語カバレージ)。
 新エキスパンションが出た直後のリミテッドだけあって多くの人が集まりましたね。


 今回はそのグランプリ・プラハのTop8ドラフトのデッキから、アーキタイプ別に完成度が高いと感じたものを紹介していきます。

 では早速見てみましょう。


「感染」
Robert Jurkovic
グランプリ・プラハ2011 Top8ドラフト[MO]
11 《
6 《

-土地(17)-

1 《荒廃のマンバ
1 《胆液爪のマイア
1 《屍百足
1 《腐敗狼
1 《盲目の盲信者
1 《囁く死霊
1 《胆液の鼠
1 《ファイレクシアの消化者
1 《死体の野犬
1 《荒廃後家蜘蛛
1 《核をうろつくもの
2 《災いの召使い
1 《疫病口獣

-クリーチャー(14)-
1 《悪性の傷
1 《血吸いの噛み付き
1 《ゲスの評決
2 《不気味な苦悩
1 《寄生的移植
1 《荒々しき力
1 《ダークスティールの斧
1 《迫撃鞘

-呪文(9)-

 これは黒緑の感染デッキですね。前環境で最強を誇ったアーキタイプは現環境でも健在。
 デッキの完成度は非常に高く、理想的な感染デッキと言って良いでしょう。

 7つの分析の時にも話した、新たなるファイレクシアの黒と緑の感染クリーチャーの薄さに対し、《不気味な苦悩》のような呪文を取って土台を作り、2~3パック目できちんと感染クリーチャーを確保する、というこの環境の感染ドラフトのセオリーがキチンとできていますね。

 新たなるファイレクシアで全ての色に感染クリーチャーが出ましたが、やはり包囲戦と傷跡で感染をやりやすいのは黒と緑。
 他の3色が絶対駄目とは言いませんが、やはり黒と緑は他の3色よりも断然感染をやりやすいですね。
 他の3色の感染をやるにしても、その色と黒か緑のどちらかという認識でピックするようにしましょう。


 ちなみに黒と緑以外の色で感染をするなら僕がオススメするのは青ですね。

 《荒廃の工作員》と《つながれた喉首追い》は両方とも単体で十分な活躍をしてくれますし、何より青の特性上アドバンテージが取りやすく、長期戦に強くなるというメリットがあります。
 1パック目で上記の2種の感染クリーチャーを確保しておいて、2~3パック目は青のコントロールカードと黒か緑の感染クリーチャーを確保するというピックの仕方ですね。
 初速が大事な感染のビートより、じっくりと腰を据えた感染風味のコントロールを組むことができるので、1パック目の青の感染クリーチャー2種の流れ次第で狙ってみてください。


金属術
Petr Brozek
グランプリ・プラハ2011 Top8ドラフト[MO]
9 《平地
8 《

-土地(17)-

2 《突風掬い
2 《磁器の軍団兵
1 《ケンバの空護衛
1 《宝物の魔道士
1 《強欲な魂喰い
1 《尖塔の海蛇
1 《カルドーサの鍛冶場主
1 《ソリトン
1 《ルーメングリッドのガーゴイル

-クリーチャー(11)-
1 《変異原性の成長
1 《鋼の妨害
1 《神への捧げ物
1 《分散
1 《テゼレットの計略
2 《水銀の噴出
1 《真実の確信
1 《青の太陽の頂点
1 《貫く幻視の祭殿
1 《戦争と平和の剣
1 《闊歩するものの装具

-呪文(12)-

 これは青白の金属術デッキですね。
 アーティファクトの枚数が少なかったり、クリーチャーの枚数も少なくデッキとしては微妙なのですが、今回は良い「失敗例」として紹介することにしました

 というのも、現環境の金属術というアーキタイプは以前に比べ非常に組み辛くなったのです。
 今までは、金属術関連のカードの多い「傷跡」のパックの割合が多かったので比較的組むことのできたアーキタイプでしたが、新たなるファイレクシアの加入により金属術関係のカードの出現率が激減してしまい、「アーティファクト自体はあるけれど肝心の金属術を持ったカードが少ない」という事態が多発するようになってしまったのです。

 上のリストもよく見てみると、金属術と書かれているカードは《尖塔の海蛇》の1枚のみ。
 実際僕も練習で何度か金属術デッキを試してみたのですが、3パック目の傷跡の出方次第でデッキの完成度が決まってしまうという、かなりの博打ドラフトになってしまうことが多い、という印象でした。
 本来ドラフトの3パック目とは1~2パック目で取れなかったデッキに足りない部分を補足する役割のはずなのに、その3パック目でデッキの主要パーツを集めるというのはパックの出にかなり左右されてしまいます。

 上のリストは、まさにその危惧が的中し、1~2パック目までは良い感じの待ち受けだったのですが、3パック目の傷跡で金属術関連がほとんど確保できずに終わってしまった典型的なパターンですね。
 《戦争と平和の剣》や《真実の確信》のようなレアには恵まれていますが、デッキの中核部分が貧弱なので結局レア頼みのデッキになってしまっています。

 成功すれば強いデッキができる金属術ドラフトですが、ピック時に要求される事柄が多いのと結局は3パック目のカードの出に大きく影響されるので、金属術をやる際はそのあたりのリスクを覚悟してピックしましょう。


「恐竜」
Joel Larsson
グランプリ・プラハ2011 Top8ドラフト[MO]
9 《
6 《
2 《

-土地(17)-

1 《金のマイア
1 《鉛のマイア
1 《死の頭巾のコブラ
1 《脊柱の飛行機械
1 《病毒のドレイク
2 《血清掻き
1 《絡み森のカマキリ
1 《絡み森の鮟鱇
1 《絡み森の大男
1 《空長魚の群れ
2 《尖塔の監視者
1 《ファングレンの匪賊
1 《水銀のガルガンチュアン

-クリーチャー(15)-
1 《鋼の妨害
1 《分散
1 《停止命令
1 《冷静な反論
1 《堕落の三角護符
1 《無感覚の投薬
1 《病気の拡散
1 《変換室

-呪文(8)-

 これは青緑に《病気の拡散》をタッチした恐竜デッキですね。
 恐竜デッキのお決まりのパターンであるマナマイアからの大物連打の図式が見える、お手本のような構成になっています。

 青緑という色の特性上、直接的な除去カードが無いので、3色目として黒の《病気の拡散》を入れています。
 3色目とはいえ《》2枚と《鉛のマイア》があれば問題なく使用できるでしょう。

 ただ呪文枠のカードも重いものが多くなっていて、デッキが1ターンに1アクションしか出来ないようになってしまっているのが残念ですね。
 できれば軽めの戦闘を有利に進められる《使徒の祝福》や《変異原性の成長》のようなカードが欲しかったですね。重いクリーチャーたちをバックアップできるカードが無いのは少々厳しいです。

 普段ならいぶし銀な活躍を見せる《冷静な反論》や《停止命令》も、デッキが全体的に重いので動くターンとカウンターを構えるターンが重なってしまっているのでこのデッキでは使いにくいでしょう。
 この部分がコンバットトリックなら、かなりデッキが引き締まったていたのですが、残念ながら確保できなかったようですね。

 ただクリーチャーのラインナップは恐竜としてはかなり理想的になっているので、恐竜デッキのお手本として覚えておきましょう。


「除去コントロール」
Ondrej Baudys
グランプリ・プラハ2011 Top8ドラフト / 優勝[MO]
10 《
5 《
1 《黒割れの崖

-土地(16)-

1 《鉄を食うもの
1 《モリオックの肉裂き
1 《剃刀の豚
1 《ヴァルショクの難民
1 《肉食いインプ
1 《侵略の寄生虫
1 《カルドーサの首謀者
1 《髄掘り
1 《ダークスティールの歩哨
1 《オオアゴザウルス
1 《カルドーサの炎魔

-クリーチャー(11)-
1 《虚無の呪文爆弾
1 《胆液の水源
1 《マイコシンスの水源
1 《太陽の宝球
1 《堕落の三角護符
1 《鞭打ち炎
1 《粉砕
1 《不気味な苦悩
1 《金屑の嵐
1 《石弾化
1 《金屑化
1 《皮剥ぎの鞘
1 《殴打頭蓋

-呪文(13)-


 最後に紹介するのはグランプリ・プラハを制した優勝者のデッキです。
 これは赤黒の除去コントロールですね。

 序盤は《マイコシンスの水源》や《胆液の水源》などでデッキを回し、後半の重いカードと除去カードに繋げる伝統的なコントロールです。
 その2種類の「水源」に対して《カルドーサの炎魔》《石弾化》《鉄を食うもの》とあるので、生け贄にするのにも困ることはないでしょう。
 赤をやる際は上記の「水源」2種の生け贄手段の確保が容易なので、「水源」を積極的に確保しにいくようにしましょう。

 デッキの平均マナコストがかなり重いですが、環境が基本的に遅いということと、序盤で押し切られないように《鞭打ち炎》や《金屑の嵐》がきちんと確保できています。
 アーティファクト・クリーチャーが環境に多く、普段はデッキに入るか微妙なラインの《鞭打ち炎》も、この構成なら序盤を耐えるためのパーツとして良い役割をしてくれますね。
 また爆弾レアも《殴打頭蓋》があったりと、かなりまとまった構成になっています。

 除去コントロールはどのくらい除去が確保できるかと、デッキの中にどれだけ重いクリーチャーを入れるかが難しいところですが、このリストはその辺りも絶妙なバランスになっています。
 流石優勝デッキのクオリティですね。

 この環境で目指すのはこのようなデッキ!と言える完成度なので、上のデッキリストをよく見て、デッキの完成系をイメージしておきましょう。



 今回はここまで。

 環境初期なだけに、大きなイベントの結果は得るものが多いですね。
 できればドラフトビュアーなどでドラフトの流れを見てみたかったのですが、今回のイベントではピック譜を取っていなかったらしく残念。
 ただデッキリストやカバレッジからでも得られるものは多いので、まだ物足りない人はグランプリのカバレッジを見てみると良いと思います。


 来週末のプロツアー・名古屋でも、各国の猛者たちがどんな戦術を用意してくるか今から楽しみです。
 僕もプロツアー・名古屋に向けて、今までよりも身を入れて練習に励むとします。

 では今回はこの辺で。また来週お会いしましょう。


2011年日本選手権予選

プロツアー・名古屋

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