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プロツアー『イクサランの相克』

トピック

スターダムへの昇殿

川添 啓一
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Chapman Sim / Tr. Keiichi Kawazoe / Edit. Yusuke Yoshikawa

2018年2月2日


 自宅での遊びからいきなりプロツアーへと駒を進めるプレイヤーは決して多くないが、もう少しスタート地点を引き上げれば多くの例が見受けられる。今回、この先の数か月のうちに一流プロの中に加わりうるようなプレイヤーを何人か見出すことができた。

 ピオトル・グロゴウスキ/Piotr Glogowskiは最近頭角を現してきたプレイヤーで、その名声は目覚ましいほどに高まってきている。無名なプレイヤーだった彼は、今はもはやポーランドの誇りでさえあるのだ。しかし、グロゴウスキの感情やゲームに対する熱意について、彼自身が述べたり書いたりしたことを目にする機会はあまり多くない。

「私は本当にマジックを楽しんでいるし、ずっと長いことプレイしてきているんです」と彼は言う。「最近自分が良い結果を残せているのは本当に嬉しいことだし、やっと努力が報われたように感じています」

 ポーランド選手権で2位に入賞して2017年のワールド・マジック・カップの椅子を手にした後、彼はプロツアー『イクサラン』でトップ8に入賞した。これは、ポーランド人として初の輝かしい快挙である。さらに1か月後、彼はポーランド・チームのチームメイト、グジェゴジュ・コヴァルスキ/Grzegorz Kowalski、ラデク・カチュマルチク/Radek Kaczmarczykとともに2017年ワールド・マジック・カップで最後に日本のドリームチームに負けるまで勝ち続け、準優勝を成し遂げた。加えて、グロゴウスキはグランプリ・ミラノ2015とグランプリ・バーミンガム2017でもそれぞれトップ8に進出している。

「プロツアー『イクサラン』とワールド・マジック・カップが転機でした。プラチナを狙えるとは期待していませんでしたが、今や十分射程圏だと思っています」

 こうした実績にも関わらず、先日までの彼はシルバー・レベルの地位に甘んじていた。だが、この週末直前の時点でのプロ・ポイントは33点と、今回プロツアー『イクサランの相克』参加でゴールド・レベルを確実なものとし、続く3つのプロツアーの参加権をも手中に収めていた。ついに、彼は世界的なスターダムに到達したといえるだろう。

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2017年最後の3か月は、ピオトル・グロゴウスキが翌シーズンに向けて弾みをつける素晴らしい時期となった。

「基本的にヨーロッパのグランプリには全部参加したいと思っているので、次のグランプリはリヨンでまたモダンを楽しむことになるでしょう。このフォーマットは私のお気に入りで、活気があり複雑さを楽しめると思っています。実際、私はモダンでクールなデッキを探して、それを試して、そして現時点での最適解を探すことを楽しんでいるのです。スタンダードやリミテッドもまた別の形で奥深いものですが、モダンは私にとってより広い視点での挑戦を強いるのです。時々、芸術品のように感じられるデッキもあります。例えば『ランタン・コントロール』などは、私の目には傑作に見えています」

 次にチーム「Tower Games」のメンバーであり、そして同じ週末に素晴らしい実績を挙げたサミュエル・イレンフェルト/Samuel Ihlenfeldtを見てみよう。プロツアーデビュー戦でトップ8に入賞した彼はそのままトップ4まで駒を進め、そこで伝説のプレイヤーであるセス・マンフィールド/Seth Manfieldに止められた。しかしながら、その圧倒的な結果によって、彼は最低2つの、そして将来的にはおそらくそれ以上のプロツアー参加権を保証されたのだった。

 ただ、プロツアー『イクサラン』で得た25点のプロポイント、そしてこのプロツアー『イクサランの相克』からプロツアー『ドミナリア』までで得られるそれぞれ最低限の3点のみでは、プロツアー継続参戦にはまだ少し足りていない。

 イレンフェルトは、今年どのような展望を持っているのだろうか?

「最近、私はまず次の4か月の間のグランプリのスケジュールをまとめるんです。毎月2回グランプリに遠征するので、次はメンフィスになるでしょう。また、新しいフォーマットやデッキについて学ぶ時間も増やしたいですね。マジックで良い結果を残したいので、学習と改善を続けることは重要なのです」

 自身の言葉を裏付けるように、彼は今日一日そうし続けてきたように、いつも対戦相手に、自分が何かプレイミスをしたり、間違ったサイドボードをしたりしていなかったかということを尋ねているのだ。探求、そして時には失敗が、学びの機会になる。

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サミュエル・イレンフェルトはプロツアー『イクサラン』で想像以上の成功を収め、このシーズン序盤のリードを維持するために学び続けている。

「進歩のための私個人にとっての最適な方法は、多くの人たちとプレイすることです。多くの時間をMagic Onlineに費やしていますし、さらに友人やチームメイトとも可能な限り会うようにしています。友人であるミーガン・ウォルフ/Meghan Wolff(訳注:マジックのポッドキャスト配信者の一人)と会うこともありますし、モダンの一人回しに一日費やすことすらあります。ただ、私は大学院生でもあるので、勉強とマジックのバランスを取ることは簡単ではありません」

 よくみんなそう言うね。確かに簡単じゃないだろうけど、だからこそやる価値があるんじゃないか!

「とにかくスケジュールを合わせるのが難しいので、最近Magic Onlineを特に重要視しています。宿題が終わった後に何ゲームかこなすこともできますし、真夜中にふとドラフトを始めることすらできるのです。Magic Onlineは私にとって、本来不可能な時間にさえマジックをプレイして時間を有効活用することを可能にする手段と言えます」

 さて、彼が今後のプロツアーで得られる参加点をすべて計算すると、イレンフェルトはゴールド・レベルに到達するためにはあと4点のプロ・ポイントの上乗せが必要になる。次のラウンドに彼を送り出す時、彼はダニエル・ワイザー/Daniel Weiser、ジャクソン・ヒックス/Jackson Hicks、そして同じく「Tower Games」のチームメイトに激励の声をかけた。

「ジャクソンと私はすでに複数のプロツアーの権利を持っていますが、私たちは他のメンバーが同様に権利を得られるように助け合うようにしているので、まずプロツアー・チームシリーズの順位を上げるために頑張る必要があります。ここ最近のイベントでは皆よくやっているので、きっと結果を出すことができるでしょう!」

 そして最後に、地元スペインのセルジオ・フェレール・ロサーレン/Sergio Ferrer Rozalenを見てみよう。彼はアマチュアが思い描く最も素晴らしいスタートを切ったところだと言える。プロツアー『破滅の刻』の権利を得ると、そこで12勝4敗の11位(7人しかいないドラフト6戦全勝を含む)を記録した。その後プロツアー『イクサラン』でも同様のパフォーマンスを見せ12位に付け、さらにその印象を強めたのだった。ここまでに得たプロ・ポイントと参加権を計算すると、フェレール・ロサーレンはシルバー・レベルというステージをすでに射程に収めている。

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セルジオ・フェレール・ロサーレンは自身初のプロツアーの大舞台から2連続でトップ16の快挙を成し遂げた。地元スペインの人気選手のひとりとして、ここビルバオでの好成績を狙っている。

 同郷の古豪、ハビエル・ドミンゲス/Javier Dominguezがフェレール・ロサーレンの熟練を評していわく、「セルジオは最近本当によくやっていて、多分今スペインで一番強いプレイヤーのひとりだと思うよ」と述べている。

 昨シーズンは、ここで挙げた3人のニューカマーにとって非常にエキサイティングな年であった。彼らは現在プロツアー『イクサランの相克』を戦っており、我々は彼らがベストを尽くしてより高みに昇ることを期待している。スターの座というのは、誰かが計画しなくとも、時として運命づけられるかのように現れるのだ。誰も彼らの夢の前に立ちはだかることはできない。人生の勝利は偶然ではないと言われる。それを望み従えれば、必ず成功はやってくるのだ。

 人生はかように面白いものだと思えないだろうか? 成功を従えようと思ったなら、この3人が歩んだような道を目指してみてはどうだろうか。

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