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プロツアー『マジック2015』

戦略記事

メタゲームブレイクダウン・1日目

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Adam Styborski / Tr. Tetsuya Yabuki

2014年8月1日


 ついにスタンダードは完成を見た。『基本セット2015』の登場により、このフォーマットは1年で最もカード・プールの広いときを迎えることになる。さらにこの時期にプロツアーが追加されたことで、私たちは偉大なプレイヤーたちがこのスタンダードをどう扱っていくのかを目にすることができるのだ。

 この週末へ至るまでにも、スタンダードの大会は何カ月にもわたって行われてきており、最高のパフォーマンスを見せるデッキを確認する機会はあった。この環境の怪物と聞いて誰もが思い浮かべるのが、「黒単信心」だ。《アスフォデルの灰色商人》でライフを吸い取るという動きを持つこの強力無比なデッキは、《太陽の勇者、エルズペス》などの黒でない強力なカードのタッチも可能としている。復帰力の高さと単純なパワーにより、グランプリでのトップ8入賞率、そしてこの週末にプレイヤーたちが見ることになる(あるいは使うことになる)率はどのデッキより高いと言って差し支えない。

 もちろん、「青単信心」(《波使い》をフィーチャーしたデッキであり、今シーズン中のプロツアーも制している)や、「白赤バーン」(「信心」デッキもコントロール・デッキも等しく圧倒できる、最近の出世頭)、「白黒ミッドレンジ」(前回のスタンダードのプロツアーで活躍したもうひとつのデッキ)、それから「白青コントロール」系と「赤緑モンスターズ」系もまた、議論に上がり続けてきたと想像できるだろう。

 さて、本日プレイヤーたちが持ち込むことを決めたデッキは以下の通りだ。

項目使用者数
黒単信心61
白黒ミッドレンジ39
青単信心32
エスパー・コントロール31
白赤バーン24
白青コントロール23
緑単信心18
ジャンド・モンスターズ17
白緑アグロ16
ジャンド・プレインズウォーカーズ10
赤単「熟練扇動者」9
赤緑モンスターズ8
赤単アグロ7
白赤アグロ7
黒緑ミッドレンジ6
呪禁ナヤ5
バント・コントロール4
黒単アグロ4
ナヤ・モンスターズ4
ナヤ・アグロ3
ナヤ・ミッドレンジ3
ナヤ・プレインズウォーカーズ3
スリヴァー3
黒緑アグロ2
青白コントロール2
ジャンド・ミッドレンジ2
赤単バーン2
赤単信心2
白黒アグロ2
バント・ミッドレンジ1
黒緑リアニメイト1
黒赤バーン1
緑白トークン1
白黒緑リアニメイト1
迷路の終わり1
赤緑アグロ1
白緑ミッドレンジ1
白青赤コントロール1
黒緑「備蓄品」1

 しかしながら、以上のようにただ積み上げただけでは、本当に欲しい数字やアーキタイプごとのグループを確認する助けにはならない。だが安心して欲しい、私たちはそこもカバーしているのだ。

アーキタイプサブタイプ使用者数使用率
黒単信心系タッチ白30.8%
タッチ緑82.2%
タッチ赤10.3%
黒単4913.6%
合計7821.7%
白青コントロール系エスパー318.6%
バント41.1%
白青赤10.3%
白青236.4%
合計5916.4%
アグロ系赤単「熟練扇動者」92.5%
赤単71.9%
白赤71.9%
黒単41.1%
白緑164.5%
ナヤ30.8%
その他30.8%
合計4913.6%
ミッドレンジ系白黒226.1%
黒緑61.7%
ナヤ30.8%
その他20.6%
合計359.7%
青単信心系タッチ赤20.6%
青単308.4%
合計328.9%
赤緑モンスターズ系ジャンド174.7%
ナヤ41.1%
赤緑82.2%
合計298.1%
緑単信心系タッチ黒61.7%
タッチ赤30.8%
タッチ青20.6%
緑単71.9%
合計185.0%
プレインズウォーカーズ系ジャンド102.8%
ナヤ30.8%
合計133.6%
バーン系白赤バーン41.1%
赤単バーン20.6%
黒赤バーン10.3%
合計71.9%
その他合計3910.9%
総計359100.0%

 はっきりとわかるほど多彩なデッキがあり、フィールドの構造は君たちが想像するものと違っていることだろう。

 とはいえ、他を圧倒して使用率1位となったのは「黒単信心」だ。実に17%をこのデッキが占めたことで、ほとんどのプレイヤーがこの週末のどこかで必ず、この強力なグループと相対することになるだろう。ゲーム全体を通してあらゆる場面でアドバンテージを稼ぐ手段を持ったこのデッキはさらに《血の署名》や《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》を獲得し、しっかりと『基本セット2015』環境に適合している。

 そこへ食らいついているのが、「白青コントロール」とその系統のデッキ。「白青コントロール」の核となるのは、《至高の評決》や《スフィンクスの啓示》、それからジェイスとエルズペスのコンビだ。ここから、プレイヤーたちは各々が望むものや当たりたい相手に合わせて、より除去を多くとる形(エスパー)や、カード・アドバンテージを優先した形(《荒ぶる波濤、キオーラ》の採用)を選びデッキを仕上げている。

 もうひとつ大きな勢力を持つのが、アグロ系のデッキだ。とはいえ、その多くを緑白と、《ゴブリンの熟練扇動者》をフィーチャーした赤単のふたつが占めている。様々な英雄や単色向けのアタッカーは、スタンダードの大会で常に活躍を見せてきた。また白緑のデッキが目立つ勢力となるのは、実に1年以上ぶりとなる。

 集めてみるとすべての色が使われているミッドレンジ系のデッキだが、様々なプレイヤーが対峙することになるのは白黒の可能性が高いだろう。「黒単信心」と同様の除去を揃えた上で、白から《払拭の光》や《ヴィズコーパの血男爵》といった解答とパワー・カードを引き出した「白黒ミッドレンジ」。妨害手段に加えて何者をも打ち負かすパワーには敬意を払うべきだろう。

 「青単信心」と「赤緑モンスターズ」(ナヤとジャンドで同系統のものを含む)も、相応の地位を築き上げた。数カ月にわたって多くの活躍を見せてきたこれらのデッキに、大きな変化はない。それでもあえて挙げるなら、エンジンがかかるまでに何ラウンドか必要になったことだろう。

 この週末に、胸が高鳴る見出しを与えてくれたデッキはふたつ。ひとつは《世界を目覚めさせる者、ニッサ》を原動力に据えて、スタンダードへ帰ってきた《召喚の調べ》の効果を高め、クリーチャーの群れを並べて対戦相手を妨害し、打ちのめす「緑単信心」だ。もうひとつは特に「プレインズウォーカーズ」と呼ばれるデッキで――「赤緑モンスターズ」を構成する怪物たちの採用をやめ、ジャンドやナヤで様々なプレインズウォーカーを何枚も使ったものだ。毎ターントークンを生み出すことでこれらのデッキは守りに長けており、同時にトークンはアタッカーにも《鍛冶の神、パーフォロス》の効果を誘発させるという両面で対戦相手にプレッシャーをかけられるのだ。

 バーン系のデッキは、どの形もほとんどが鳴りを潜めている。大きな大会での活躍を見れば、今大会でもバーン系のデッキが台頭してくることはさほど問題なく期待できるはずだったが、そうはならなかった。

 もちろん世の常として、ありふれたデッキの形に堂々と反抗するものもいくつかあった。《屍術士の備蓄品》を乱用しクリーチャーをリアニメイトするデッキだったり、《迷路の終わり》をタップして勝利を掴むデッキだったり、あるいはスリヴァーの大群を使役するデッキだったり、そういうものを使っているのが君だけだとしたら、間違いなく違った方向から挑戦していることになるだろう。誰かが記憶に残る活躍を見せるかどうか、私たちは見守ることにしよう。

 さあ、君たちはこの週末を通して、どのデッキに注目していくだろうか?

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RESULTS

対戦結果 順位
16 16
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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