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プロツアー『運命再編』

戦略記事

色とりどりのアブザン

矢吹 哲也
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Jacob Van Lunen / Tr. Tetsuya Yabuki

2015年2月7日


 プロツアー『運命再編』のモダン部門で最も使用されたデッキが「アブザン」であることに、驚くことはないだろう。《時を越えた探索》と《宝船の巡航》、そして《出産の殻》が禁止された直後から、この戦略は明らかに最も人気を集めたものだった。とはいえ、「アブザン」デッキがみな同じ形をしているわけではない。効率性を追求し各パーツ4枚ずつにするものもあれば、安定性を失う代わりに特定の状況で強烈な活躍を見せるカードを採用するものもある。アグレッシブな形もあれば、典型的なミッドレンジの形も、そしてミラー・マッチを意識した構成にしたものもあるのだ。

 そこで、この週末に現れた様々な形の「アブザン」について、それを手に戦うプレイヤーたちから話を聞いてみよう。

 今大会、ほぼすべての「アブザン」デッキに見受けられたのは、《タルモゴイフ》や《思考囲い》、《コジレックの審問》、《突然の衰微》、《未練ある魂》、《ヴェールのリリアナ》、そして《包囲サイ》であった。違いが生まれるのはここからだ。残りのパーツは、各プレイヤーが想定するメタゲームによるところが大きい。

 ヨエル・ラーション/Joel Larssonをはじめとして、デンマークとスウェーデンのプレイヤー集団は《闇の腹心》と《復活の声》を採用した積極的な方針をとった。ラーションは、サイドボードを駆使してさらに効率的に、前のめりにいくともっと良くなると断言する。《復活の声》は現在の環境に極めてよく合っており、とりわけ《ヴェールのリリアナ》に対して強いのだ。また、この週末に私たちが見かけたリストのほとんどには、《黄金牙、タシグル》がメイン・デッキから投入されていた。しかし、ラーションの使用した型では、《黄金牙、タシグル》はサイドボードに置くことを選択している。

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ゴールド・レベル・プロのヨエル・ラーションと彼の仲間たちは、《黄金牙、タシグル》をサイドボードへ移した。

 《黄金牙、タシグル》は、相手が「バーン」などの超アグレッシブなデッキでない限り基本的には第2、第3ゲームにサイド・インされる。サイド後は各カードの力が平均的に上がるため、《黄金牙、タシグル》はサイド後により強力になる。サイド後という状況においては、《黄金牙、タシグル》の動きに対処する有効な手段はあまりないのだ。

 ジョン・スターン/Jon Sternとチーム「Face to Face」は、《ヴェールのリリアナ》のような代表的なカードを採用せず、《ロクソドンの強打者》や《台所の嫌がらせ屋》、《ガヴォニーの居住区》、そして《萎れ葉のしもべ》を採用した超アグレッシブな「アブザン」を持ち込んだ。スターンは、4枚採用したい3マナ域の第1位は《未練ある魂》であることを認めつつ、次点としては《台所の嫌がらせ屋》と《ロクソドンの強打者》と《聖遺の騎士》が並ぶと言う。

 《台所の嫌がらせ屋》は、「バーン」と「Zoo」に対しては最高の選択肢だ。《ロクソドンの強打者》はコンボ・デッキに対して素早くクロックを刻み、また《ヴェールのリリアナ》などの手札破壊効果に対しても強力だ。そして《聖遺の騎士》は最も多芸だ。最終的に、彼らは《ロクソドンの強打者》4枚と《台所の嫌がらせ屋》2枚で分けた。《ロクソドンの強打者》の方を4枚にしたプレイヤーが多かった。

 《ガヴォニーの居住区》は、ミラー・マッチにおいて大きな役割を持つ。こちらのトークンのサイズを上げることで《未練ある魂》同士の争いを制し、また膠着した状況を見事に打破できる、とスターンは言う。

 《思考囲い》は最初サイドボードに入っていて、それが4枚必要なことは理解していた。しかし、モダンと向き合う上でサイドボードの枠は極めて貴重であり、またコンボとのマッチアップでやや不利になる。結果的に、彼らは《思考囲い》を2枚メインへ採用した。サイドボードの枠を空けてより良い形にし、また速いクロックと妨害手段を併用することでコンボ・デッキ相手を倒すための余裕ができた。スターンの「アブザン」に対しては《ヴェールのリリアナ》がまるで機能しないというのは、他の「アブザン」があとになって気づく大きな強みと言えるだろう。

 プラチナ・プロにして2度のプロツアー・トップ8入賞経験を持ち、昨年の世界選手権でもトップ4に入賞し現在世界ランキング16位につける山本 賢太郎は、また別の「アブザン」を使用している。2枚か3枚が適切だと思われるものも含め、ほとんどのカードを4枚投入した形だ。

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世界ランキング16位の山本 賢太郎が操る「アブザン」デッキには、「バーン」やコンボとの不利なマッチアップを改善するテクが込められている。

 山本は8枚の手札破壊呪文と4枚の《黄金牙、タシグル》、そしてこちらも4枚の《流刑への道》という、フィールドの他のものとは一味違うメインデッキを自信あり気に見せてくれた。このデッキは《流刑への道》と《未練ある魂》のおかげでミラー・マッチに強い、と彼は確信している。また8枚におよぶ手札破壊によって、1ターン目に妨害手段を放ち、その後《タルモゴイフ》や《復活の声》に繋げるという動きがやりやすくなり、《黄金牙、タシグル》のコストも下げられる。サイド後には《虚空の杯》も入り、コンボや「バーン」との相性差を和らげている。端的に言って、山本の選択した型は強力なカードの枚数を増やし、また妨害手段を多く搭載することで数多くの利点を得ているのだ。

 これでもまだ、この週末に見た大量の「アブザン」戦略の表面をなぞっただけだ。この戦いの頂点へと駆け上がるのは、どの型のデッキになるだろうか?

Jon Stern
プロツアー『運命再編』 / モダン[MO]
4 《新緑の地下墓地
4 《吹きさらしの荒野
3 《
3 《ガヴォニーの居住区
3 《剃刀境の茂み
2 《寺院の庭
1 《神無き祭殿
1 《草むした墓
1 《平地
1 《

-土地(23)-

4 《極楽鳥
4 《貴族の教主
4 《復活の声
2 《クァーサルの群れ魔道士
3 《台所の嫌がらせ屋
3 《ロクソドンの強打者
4 《包囲サイ
3 《萎れ葉のしもべ

-クリーチャー(27)-
4 《流刑への道
2 《思考囲い
4 《未練ある魂

-呪文(10)-
1 《殺戮の契約
2 《思考囲い
2 《虚空の杯
2 《石のような静寂
1 《突然の衰微
2 《戦争と平和の剣
1 《法の定め
1 《神聖の力線
2 《引き裂く突風
1 《英雄の導師、アジャニ

-サイドボード(15)-
Joel Larsson
プロツアー『運命再編』 / モダン[MO]
4 《湿地の干潟
4 《新緑の地下墓地
2 《草むした墓
2 《
2 《地盤の際
2 《樹上の村
2 《吹きさらしの荒野
1 《
1 《神無き祭殿
1 《平地
1 《活発な野生林
1 《寺院の庭
1 《黄昏のぬかるみ

-土地(24)-

4 《タルモゴイフ
3 《闇の腹心
3 《復活の声
2 《漁る軟泥
3 《包囲サイ

-クリーチャー(15)-
1 《殺戮の契約
3 《コジレックの審問
3 《思考囲い
2 《流刑への道
4 《突然の衰微
4 《ヴェールのリリアナ
3 《未練ある魂
1 《四肢切断

-呪文(21)-
1 《強迫
1 《思考囲い
3 《石のような静寂
1 《ゴルガリの魔除け
4 《大爆発の魔道士
2 《機を見た援軍
1 《殴打頭蓋
2 《黄金牙、タシグル

-サイドボード(15)-
山本 賢太郎
プロツアー『運命再編』 / モダン[MO]
4 《湿地の干潟
4 《新緑の地下墓地
4 《吹きさらしの荒野
2 《神無き祭殿
2 《草むした墓
2 《活発な野生林
1 《
1 《平地
1 《
1 《地盤の際
1 《寺院の庭
1 《森林の墓地

-土地(24)-

4 《タルモゴイフ
4 《復活の声
4 《包囲サイ
4 《黄金牙、タシグル

-クリーチャー(16)-
4 《コジレックの審問
4 《流刑への道
4 《思考囲い
3 《突然の衰微
4 《未練ある魂
1 《真面目な訪問者、ソリン

-呪文(20)-
3 《虚空の杯
3 《石のような静寂
2 《原基の印章
2 《潮の虚ろの漕ぎ手
1 《盲信的迫害
2 《大渦の脈動
1 《ナイレアの弓
1 《殴打頭蓋

-サイドボード(15)-
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RESULTS

対戦結果 順位
最終
16 16
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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